婚約破棄からの国外追放
本日、2話目ですm(_ _)mペコリ
何なの?この茶番。さっさと、婚約破棄しなさいよ!するつもりなんでしょ?
「なんだ?レリーナ。異論があるのかい?」
レリーナは優雅に微笑んで、壇上にいる婚約者(もうすぐ婚約破棄)とその横にいるご令嬢を睨みつけた。
「異論、ですか?そうですねぇ。まず、そんないじめをしませんわ、ライザ?いいえ、ライルーク殿下?」
あら、本音が出てしまったわとレリーナは口を手で覆った。
地雷をぶち抜いたのか、ライルークは顔を真っ赤にした。滅多に怒る顔を表に出さないのが彼である。しかし、見たことがない彼の様子に隣のご令嬢は狼狽している。
「はぁ!?『やってない』とでも言いたいのか!」
「ええ、そうよ。そんな生ぬるいいじめなんてやる性分ではないのよ、わ・た・し・は!」
レリーナはイライラしてきたがために、口調が素に戻ってしまった。
「王族である私に対して、何という口のきき方だ!不敬罪だ!」
不敬罪?そんなもん、今はどうだっていい。両親とお兄様には話はしてある。後1分で日付が変わる。レリーナは思わず、ニヤッと笑ってしまった。
「おい、レリーナ。何笑ってる?」
「何もありません。それよりも、婚約破棄するんでしょ?するなら、こんな茶番をもうやめて、ちゃっちゃとしてくれないかしら?もう、うんざりなのよ!貴方様の婚約者であるのが!シーナ嬢!」
いきなり、呼ばれた王子の隣のご令嬢シーナは背筋をピンッと伸ばして返事をした。
「私は彼の婚約者の座を貴女に譲るわ。身分が足りないでしょ?はい、これ。養子縁組の書類。もう、日付が変わったから、シルーバ公爵の代理人として渡すわ。もう、身分は気にしなくていいわよ。すでに公爵ご夫妻とご令息のサインはしてあるから、心配しないで」
そう言って、シーナ嬢に書類を握らさた。
「あの、これ一枚ですか?」
「ええ、そうですよ。ご心配でしたら、公爵閣下と話し合われてください」
そんなやり取りをポカーンと眺めていた、ライルークが我に返り、言い放った。
「今をもって、レリーナ・シルーバ公爵令嬢とn」
「殿下、私は昨日をもって、勘当されました」
レリーナは言葉を遮って言い忘れたことを話した。ライルークは憎々しげに彼女を睨み、言い直した。
「――レリーナ・シルーバ元公爵令嬢との婚約を破棄し、シーナ・ハイフル子爵令嬢と婚約をする!数々のシーナ嬢に対するいじめ、私に対しての不敬罪。よって、彼女は……」
お待ち下さいとシーナ嬢は彼の言葉を遮った。
「死罪だけはどうか、どうか避けてください!何から何まで私のために用意してくれたので、その恩に感謝したいのです!」
強く懇願した。レリーナ自身も想定外だったようで、目を一瞬見開いた。
「……わかった。シーナ嬢に感謝するんだな、レリーナ。彼女を国外追放とする!」
会場がざわついた。そんな中、レリーナは勝ち誇ったように微笑んでいた。
「私はこれで失礼します。ライルーク殿下、そして、新たな婚約者であられるシーナ様の幸せを遠い地から願っております。シーナ様を不幸せにしたら、遠い地からでも、地獄からでも、殴りに来るつもりですから、お忘れなく」
そして、ごきげんようときれいなカーテシーをとり、会場を後にした。
会場を後にし、目的の場所へ向かおうとしていて時、誰かに呼び止められた。
「あら、シルーバ公爵令息ではありませんか。私に何か御用でしょうか?」
「なんで、他人行儀なんだい?」
勘当されたのをお忘れなのかしら?と思いながらも、レリーナは何も言わず微笑んだ。
「国外追放って、ひどくないかい?覆してこようか?」
やっぱり、お兄様はお兄様です。
「結構です。遠い地に行くのもいいかもしれません」
レリーナは遠くの星を眺めた。
「お世話になりました。お兄様もお元気で。お父様には体を大事にしてとお伝え下さい。お母様には私のことより、シーナ嬢のことを気にして上げてと」
元兄に微笑みかけ、その場を立ち去ろうとしたが、抱きとめられた。
「どこに居ようと僕とレリーナは兄妹だ」
レリーナは兄のぬくもりを感じながら、必死に涙をこらえていた。
兄から開放されたとき、涙腺崩壊してしまった。泣きじゃくりながらも、笑って、
「それでは、ごきげんよう」
と今日一優雅で、美しいカーテシーをとった。
そして、振り返らないようにまっすぐ前を見て、目的地まで、走った。重いドレスを着ていた中でも、賢明に。ヒールを履いていないと思われるぐらい早く。
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獣並みの速さで走る妹の後ろ姿を目に焼き付けるようにシルーバ公爵令息は見ていた。
そして、その姿が見えなくなったとき、その場で祈りの姿勢をとった。
「最高神 レレルヒート様。どうか、どうか、妹のレリーナが幸せに過ごせますように」
その願いを聞き入れたかのように星たちが夜空にきらめいた。
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