〜初戦〜
まず、向かうのはリーシャンの街。この街には冒険者ギルドがある。冒険者ギルドで登録すると、晴れて冒険者になる。
ということなのでリーシャンに行くのだが、二時間程歩いたところで、狼のような魔物に出会った。恐らくウルフだろう。
訓練中に良く見かけていたウルフよりも小さいので子供なのだろう。
簡単に倒せるのでさっさと終わらせよう。
僕は何時も通り”縮地”でウルフの懐に接近。動物的な勘で一瞬反応するが遅い。
避けようとしたウルフの首を振り下ろした剣で切り落とす。
魔物は生命力が強いので、首を切り落とさなければ死なない。でも、血が吹き出た生首と胴体は本当にグロい。
頑張ったら首を切り落とさなくても、狩れるようになれるかな?
冒険者ギルドでは、討伐した魔物の買取もしてくれるらしいので、持っていくことにする。
なので、『魔法の袋』に入れて行くことにする。
この袋は空間魔法を袋にかけたもので、内容量がほぼ無限になる。因みに開発者は僕。
現代の魔法は、火、水、木、光、闇属性があるのだが、これらに属さない魔法がある。
それが空間、時間、天候の魔法だ。これらは、父によると古代魔法と称され、現在は使い手がいない、失われた魔法らしい。
古代魔法はスキルとしては習得出来ないので、スキルにより半自動的に術式が組まれる【魔術師】は、一から術式を組もうとは思わないので、習得出来ない。
その他の職業はまず魔力を認識出来ないので、習得出来ない。
【無職】は言わずもがな。
まぁ、何時間も瞑想して、自分の内側に向き合い、魔力を認識出来たら誰でも魔法を扱えると思うのだが。
そんな失われた魔法の事が屋敷の書斎の隅にあったのだ。
僕は順番に読み進めていたので見つけることが出来た。すごく古臭かったので、読むのを辞めようかと思ったが、読んで良かった。
普段から術式を自力で組んでいる僕は、古代魔法は現代魔法が派生したものだとわかった。
つまり、現代の魔法は全てが簡略化されている。古代の人々はスキルで魔法を半自動的に組み、そこから自力で様々な魔法に派生させているのだ。
そして、本で術式を見て僕は思い出した。
夢の中では、古代魔法で無双していた。
――と、考え込んでいるうちに街の防壁が見え始めてきた。
大きな街や都市には、魔物の侵入を防ぐため防壁に囲まれている。それがいい目印になる。
あの小さなウルフ以来、魔物に出会うことなく順調に来れた。でも、欲を言えばもう少し資金が欲しかったので、魔物に出会えたら良かった。
ドラゴンとかだとさすがにキツイけど。
入場料を支払い、防壁の門をくぐる。
――さあ、いよいよ僕の冒険者としての人生が始まる。