課題の完了と後片付け。
誤字報告ありがとうございました♪
(無意識に訛ってました…)
「さぁ!課題終了だ!みんな、頑張ったな!」
父様の嬉しそうに弾む声とともに、今回の課題は完了した。
うん、完了という形で終了したのだ。やったね!
残っていた燭台の灯火は、私が火の妖精とお話をしている間に、シュトレイユ王子によって消されていた。
全く風を感じなかったのに。
つまり、狙った場所だけにピンポイントで風を起こすことも可能って事で。
すごく、器用な子なのかもしれない。
(これでまだ、魔法を習ってないんでしょう?かなり優秀だと思うんだけど!)
属性測って、それから授業が始まるんだんもの。
ここはスタートが同じだとしても、セシリアには基礎知識がある。
……腕はないけど、経験はあるんだ。
それはカイルザークも一緒。
むしろカイルザークは魔法をメインとした学校…前世でいう大学院まで修了している。
そして、私の様に知識だけを持ったまま、生まれ変わったのとは違って、身体がそのまま縮んでいるだけだから、魔力も、今までの経験も馴染んでいると思う。
そんなメンバーの中で見劣りもせずに、まだちゃんと習ってないはずの魔法を使って、危なげなく立ち回れる。
すごい事なんだよ。
(レオンハルト王子は先にダウンしていたからわからないけど、さらにお兄ちゃんだものね、きっと大活躍だったに違いない)
というか、ヴィンセント兄様もダウンしてたんだよなぁ。
この2人の立ち回りを見てみたかった。
ちなみにセグシュ兄様の立ち回りは、想像通りというか……騎士の基礎訓練頑張りました!といった感じの模範的な動きで、無駄の少ない、良い動きでした。
まぁ、魔術師団も騎士団員だもんね。
しっかり鍛錬してたんだろうね。
後ろでゆるく纏められていた鮮やかな赤い髪が、セグシュ兄様が動くたびにふわりふわりと揺れて、とても格好良かったのですよ。
そうなるとですね、レオンハルト王子とヴィンセント兄様……この2人ってば、兄弟かと思うほどにそっくりなんですよ。
まぁ従兄弟同士だから、そういうこともままあるんだろうけど。
言い方を変えるとね、ヴィンセント兄様はレオンハルト王子にそっくりなんですよ。
金髪碧眼の『the王子様!』な、外見のレオンハルト王子に、ね。
絶対に目の保養になると思わない?
見たかったなぁ。
……逆に今の姿は、ちょっと他所には見せられないね?!
完全にダウンしちゃってるんだもの。
今は『全力を出し切りました!』と、それぞれに転がっていて、ぴくりとも動かない。
レオンハルト王子に至っては、ソフィア王妃の膝枕でぐったり。
ついでに、ソフィア王妃の隣には母様が座っていて、その膝の上にはエルネストが同じようにぐったり。
これはこれで滅多に見られるものでは無さそうだし、可愛らしい光景なのだけどね。
って、何の気なしに周囲を見渡していたら、膝の上の2人と視線が合う。
合った瞬間に、どちらもバツが悪そうに顔を赤らめたり、思いっきり視線を逸らされたりしてしまった。
(恥ずかしかったか……ごめんごめん)
そっか…そういう年頃だっけ。
4歳は前世でいうところの幼稚園年中さんか。
ちょっとお兄さんお姉さんになって、色々出来るようになって、みんなの前でパパとママに甘えるのは、少し恥ずかしくなってくる歳だね。
エルネストに至っては、膝の上から退こうとして、笑顔の母様に頭を押さえられて、手足をばたつかせているのが……見えてしまった。
(これまた可愛らしいんだけど、言ったら怒られるよね?)
とりあえず見なかったことにして、くるりと背を向けると、目の前に両脇にカイルザークとシュトレイユ王子を抱えたセグシュ兄様がいた。
2人とも、手足をぷらーんと完全に脱力させて、セグシュ兄様に揺られるままになっていた。
「セシー!お疲れ。頑張ったね。……2人とも頑張りすぎてバテちゃったみたい。セシーは大丈夫?辛くない?」
セグシュ兄様も随分息が上がってるのに、気配りを忘れない。
こういう場面では、優しくてしっかりしたお兄ちゃん!なんだけどなぁ。
ここ最近は、フィリー姉様の言葉で台無しになっていた。
「大丈夫でしゅ……兄様もお疲れさまです」
噛んだ……。
私も、台無しだ!
「ははっ…セシーは大丈夫そうだね?みんなのとこに行こう」
セグシュ兄様に笑われてしまった。
最近、噛まなくなってきたのは良いことなんだけど、こうやって、突然噛むのは、やめてほしい……。
常に噛んでるよりは良いんだけどね、それでもこう、肝心なところで噛むのが、なんともきまらないし、逆に強調されて目立ってるような気が、しなくもない!
ま、呪いのせいってことにしとくけどさ。
さて、セグシュ兄様の後についてみんなが休憩している席へと向かう。
途中、変な違和感を感じて周囲をキョロキョロすると、理由に気づく。
……気づいたけど、気づかないフリをすることにした。
「まぁ…なんて可愛らしいのかしら?」
「これは…えっ?本物なの?!見てるだけで胸焼けが……」
これは母様とヴィンセント兄様の反応。
「素敵ねぇ。こんな使い方があったなんて」
「……セシーらしい、ね。ぐっ…あはははっ」
これがソフィア王妃とセグシュ兄様。
ま、こういう反応だよね!と、ニヤニヤしている父様とその隣で、妙に憮然とした表情で部屋の模様替えをしているルーク。
あれですよ……『監獄』で私が設定した内装を、父様に頼まれてルークが再現したのでした。
壁中が可愛らしくトッピングされたお菓子で埋め尽くされていて、お菓子好きな女子なら大喜び…なのだけど、苦手な男子には、ちょっと厳しいかな?という素敵空間になってしまった。
ちなみに子供たちの反応は…レオンハルト王子とエルネストが、目をキラキラと輝かせながら部屋の模様替えを眺めている。
王妃や母様の膝枕の状態で!
ちなみにセグシュ兄様に運ばれてたシュトレイユ王子とカイルザークは、魔力切れから、そのまま撃沈してしまったようで、ヴィンセント兄様同様、ベッドに転がされていた。
ヴィンセント兄様は、意識はあるんだけどね……身体が動かないらしいよ?
「普段がデスクワークの運動不足なのに、あんなに激しく動いたら…こうなるよね」
そう、力無く笑っていたけど、どれだけ激しく動いていたのか?
ほとんど本気のレベルで動いていたのだろうから、その場に居れなかったのが悔やまれる。
(絶対、格好良かったと思うんだよねっ!)
……こういう立ち回りってさ、魔物の討伐とか、模擬戦や実際の戦闘でしか、本来は見ることができないから、しかも、それって下手すると大怪我に繋がったりするわけでしょう?そういう場面をわざわざ観戦したい!とは思わないの。
でもね、今回は課題のお手伝いで、誰かを傷つける目的ではない行動での立ち回りだったから、素直に応援できる。
スポーツ観戦的な感覚って言えば良いのかな?
本気も『本気で楽しんでいる』の本気だから、きっと良い表情をしてたと思うんだ。
だから、本心から見てみたいと思ったんだ。