表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
191/462

side エルネスト。頑張る。

誤字報告ありがとうございました!

うっかり185話と186話が題名だけ違ってて中身同じと言う、なんだかわけのわからない更新詐欺のような状態になってました。ごめんなさい。


直しました+結果的に毎日更新という意味では1話分たりない状態になってしまったので、本日は2話更新とさせていただきました。

(本日更新分→190話。追加更新分→191話となります)


報告、本当にありがとうございました……全然気づきませんでした。

 



 あまりにも質問が細かすぎて、段々答えるのが面倒になってきた頃、唐突に質問が終了した。


 そして……。

 王都で離れ離れになっていた同乗者の消息を聞く事になった。

 幼い4人の子供達は無事で、それこそボク達のような『籠』に閉じ込められることもなく、降ろされた先の商館で、たくさんの里親達に見守られていくこととなったと言われた。


 実際の『里親』は商館の主人の事だが、暮らしていく場所は商館の使用人達と一緒の棟なので、たくさんの『家族』に囲まれたような賑やかな環境で暮らしていくことになるそうだ。

 なのですでに今の彼女達の身分(たちば)は使用人だ。


 物事が分かるくらいまで成長すれば、商館の手伝いから始まって、本当の使用人・従業員として働いて暮らしていくのも良いし、もし他の仕事に興味があるのであれば、その仕事に少しでも近づけるように、斡旋や修行等のフォローもしてくれる。


 商館の主人が行なっている慈善事業の一環で、本来は『教会から紹介された孤児』を引き取り、育てるという行為だったそうだ。



(……教会の紹介どころか、実際に動いていたのは人買いだったのだけどな)



『子供を引き取って、街の将来を担う優秀な人材として育てあげる』という孤児には夢のような環境を提供してくれていた商館がまさかの人買い騒動に巻き込まれてしまった。という様相だったそうだ。


 そんな説明とともに、ドアが開くと体格の良い青年に抱えられて安心して眠っている、双子の姉妹が連れてこられた。

 青年は、商館の使用人だという。


 双子の片方は完全に眠ってしまっていて、もう片方も青年と共に来ていた女性に手を繋いだまま寄りかかるようにうつらうつらとしてしまっていて、抱えられるとすぐに眠ってしまった。

 あとの二人……さらに幼い二人は、連れてこようにもぐっすりと眠ってしまっていて、無理に連れてくるのもかわいそうだったのでごめんなさい。と言われてしまった。



「この子達もキミのことを心配していたようだったから、キミも良ければ商館(うち)で……と申し出たんだけどね、もう、引き取り手が決まっていると伺ってね。一先ずはお互いに会って安心できたらと思ったんだけど……寝てしまったんだよ」


「いえ……新しい家がそれだけ安心できるのであれば…いいです」


「この子達は独り立ちするまではあの商館にずっといるからね。よかったら、時々顔を見に来てくれると嬉しいよ」



 ……王都にある名の知れた商館、ということらしい。

 それならいつでも会いに行ける?のだろうか?

 でも、生きて行けるならいい。欲をかくなら笑って暮らせて行けるならもっといい。


 顔を見せにわざわざ連れてきてくれたことにお礼を言うと「君も頑張るんだよ」と頭を撫でて帰っていった。

 ドアの向こうに消えていく背を見つめながら、ふと思った。


 そういえばボクは、どこに引き取られることになったんだろう?



「……そろそろ良いか?」



 かちゃり。とティーカップをソーサーに置く音が聞こえて、視線を戻す。

 いつのまにかにテーブルの上には書類がいくつかおかれていてそれにサインをしろという。



「キミの身元引受人はガレット公爵家で、養子として迎えるそうだ」


「は…ぁ?」


「公爵家だ」


「……使用人の養子、ですよね?」


「公爵の、養子だ」



 ……あの幼い2人や双子達のように、使用人として引き取られるのかと、その先が公爵家だと思っていた所でのまさかの、公爵への養子発言で変な声と、思考が停止した。


 そんなボクの様子を全く気にも止めずに、エルフは淡々と詳細を説明していく。



(里では恥だと、忌み嫌われていたボクが、人族では貴族の仲間入りをするとか、全く理解ができない)



 それでも養子の手続きはすでに完了していること。

 なので今日からボクは『公爵家の子息』という身分になること。

 ……軽率な行動は全て、その公爵家への評判となって返っていくので、気をつけること等。


 それに納得したならここにサインしろ。と言わんばかりに、紙とペンが差し出された。

 納得も何も、これって、選択肢にYESしかない話だよね。



「……周囲より抜きん出て優秀な子を自分の養子として引き取ることは、人族にはままある事のようだからな」



 そう言うと、サインさえ貰えれば用はないと言わんばかりに、説明もそこそこに退室していってしまった。


 ボクは『優秀』だから引き取られたのだろうか?

 では、優秀ではなくなってしまったらどうなるのだろう?

 でも、優秀ってどう言うものなんだろう……。


 とにかく頑張らなければならないことだけは、わかった。



 ……今思えば、あれがまさかのユージアの父親で、ボク達の講師で……。

 晩餐会で再会したセシリアはしっかり令嬢だったし、あの無愛想なエルフにえらく気に入られていたようだった。

 そのセシリアの『兄』になったらしいボク。


 しかも、数日後にはもう一人、弟が増えていた。

 ボクと同じ境遇だったと言うカイルザーク。

 ご丁寧に頭髪の色までボクとそっくりで。



 ボクはこの2人の優秀な兄に、なれるんだろうか?

 ……頑張るしかない。







 ******







 そんなボクの気持ちとは裏腹な出来事が多々起き続けて、そろそろ疲れてきたよ……。


 セシリアは魔力測定会で騒動を起こしていたそうだ。

 その後の誘拐騒ぎ。


 やっと帰還したと思ったら、兄になったはずのボクを通り越して一気に成長していたセシリア。

 びっくりしてるうちに今度は属性検査で姿を消した。

 メアリローサ国の国宝級の魔道具(アーティファクト)とともに。

 ついでにユージアとその父親であるあのエルフも巻き込んで。



「まぁ……ハンスもついていったし大丈夫なんじゃないかなぁ」



 騒然となった場で、青髪の少年が肩を竦めながら軽く笑う。

 この少年、レイの姿をしていたゼンを、恐ろしいオーラを放ちながら教会から連れ帰っていった『人』……だと思っていたら、やっぱりだけど『人じゃなかった』この国の『守護龍』なのだそうだ。


 よくよく見ると、その少年の手には…ゼンのしっぽがしっかりと握られていた。

 セシリアを中心に突如現れた魔法陣の中に飛び込もうとしたゼンを、しっぽを掴んで阻止したらしい。

 力持ちだ……。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ランキング参加してみました。
小説家になろう 勝手にランキング
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ