エピローグ
駅のホームで、クレナはジュナと共にいた。
「クレナ…。本当に行くの…?」
「うん。もう決めたから。」
「……。」
「それに、これもあるし。」
そう言ってクレナが取り出したのは、毛糸で作られた小さめの人形。
「これって…、ケイが作ってた…。」
「うん。ケイとの約束。私に持っててほしいんだって…。」
「そう…。」
そのまま暫くお互い黙っていた。
「…ところでさ、クレナ…。」
「何?」
「これから、どうするの?」
「また人形師の仕事をしようと思う。この大陸全土に動くタイプの人形は広まってるらしいし…。」
「そう…。今度はヘミルダに迷惑掛けないようにね。」
「わかってるよー。」
そこへ、電車がやってきた。
「それじゃあ、またね。また連絡するから…。」
「私も…。何かあったら連絡してよね。」
「うん、わかった。」
そして電車のドアが閉まり、ゆっくりと動き出した。
「またね…。クレナ…。」
ポツリと呟いたその声は、電車の音にかき消された。
座席に座ったクレナは、外の景色を見ながら、今までの事を思い出していた。
ジュナと初めて出会った時の事、先輩達の事、亡くなった時の事、シア、カナデ、ケイを作った時の事、皆で一緒に過ごした事、
そして、壊した時の事…。
「本当に…ありがとう…。」
そう呟いたクレナの頬を、涙が一筋つたっていった…。
これでDolls終了です。今まで見て下さった皆様、ありがとうございました。