6話
まだまだ暑い日が続きますね。皆さま暑さ対策は大丈夫でしょうか。私はガンガンクーラーをかけてます笑
宮廷騎士達が王の勅令を伝えてから、既に三日が経っている。
なんでも歴代王が眠る霊園にはその昔、魔王を倒した勇者が使っていた剣が祠の中で安置されているらしく、その剣は地面に刺さり選ばれた者しか抜くことが叶わないらしい。
ナゼいきなり剣を抜ける者を探しはじめたかと言うと、これまで静かだった魔族達が突然人の住む領地に攻め入って来たらしいのだ。
勇者が魔王を倒してから、人間と魔族は完全に棲み分けがされており、大陸の隅の方に追いやられていた。
数も少なくなり、縮こまって生活していた魔族達だが、最近新たに魔族達を統べりあげた新たな魔王が誕生したというのだ。
新たな魔王が統治し始めてから魔族達は魔物などを使い人が住む地を襲い始めたって訳らしい。
一介の冒険者に過ぎない自分にとっては雲を掴むような話で、実感が湧かない。
どうせ王国に使える騎士達とか、名を馳せた冒険者達がどうにかするだろうぐらいの感覚だ。
所謂、他人事の様な感じである。
なので、いくら王からの勅令と言えど、自分はすぐ霊園に行く気がしなかった。
「なぁ、コウ。お前は霊園に行かないのか?」
「あ?いつ行こうが俺の勝手だろ?そういうお前はどうなんだよ、リサ。」
「私はお前が行く気がになったら、一緒に行こうと思って……。」
「は?なにそのツレションみたいなの。子供かよ。そんなの俺の事関係なく一人で行きゃいいじゃん。」
「お前ッ、女に向かってツレションとか言うな!それに、それこそいつ行くかは私の勝手だろうが!」
「そう!いつ行くかは個人の自由、自由なのです‼︎そんな男は放っておいて、麗しのレディーよ、私と一緒にいきませんか?」
俺とリサは声のする方に顔を向ける。まぁ、向かなくても誰かは分かってるんですけどね。
「やぁやぁ、ご機嫌はいかがかな?リサ殿に……………草を採るのと使いぐらいしか能のないボンクラよ。」
手を使いウザったらしい前髪を掻き分けつつ、話しかけてくるのは俺らと同じ冒険者の、オットー・フォン・フリードリヒである。
冒険者をしているが、有名貴族の嫡男らしい。こんなでも俺やリサより上の四つ星ランクだ。
「や、やぁ、お元気そうだな、フリードリヒ殿。」
リサは若干後ろに引きつつも、挨拶を返す。」
「オットーと呼んでくれと言ってるいるだろう?リサ殿。いつになったら呼んでくれるのかな?この恥ずかしがり屋さんめ。」
「ハハ、ハハハ……………。」
リサは指で頬をかき、困った様子である。
分かるよ、コイツなんか言動うざいもん。
「宜しければ、霊園に行く前にランチでも如何かな?美味しいお店を知ってるんだ。……勿論、二人でね?」
リサに告げるとオットーは俺の方を見て「フッ」と笑みを浮かべる。
結構な頻度でリサと行動を共にする俺が気に食わないのか、俺に対してはいつもこんな態度をとってくる。
いや、もう勝手に行きゃいいじゃん。知らんよ、俺は。
「いや、遠慮させてもらうよ。悪いな、フリードリヒ殿。」
知らんと思いつつも、何かと言われ続けるのも癪に触るので笑ってやる。
「 振られてやんの、ププッ。」
「……ふん!今回は偶々だ。リサ殿はお腹が空かれておられないのだろう。リサ殿、今度は遠慮せず、ランチ致しましょう。それでは。」
そう言って踵を返し、去っていった。
なんだったんだ?アイツ、結局霊園の件はどうなったの?
オットーが去っていった後、なんとも形容しがたい余韻が残ったのであった。
最後までお読み下さりありがとうございます。予想外に文量が多くなり中々進みません。私の技量不足で不徳の致すところです。続きが気になった方は宜しければ、次もお読み下さい。
それではまた\( ˆoˆ )/