15話
いつもありがとうございます!
「魔王の手先だと‼︎他の魔物を引き連れて来たと言うのか?」
「いえ、ユリアン様。今のところその一体しか見当たらないそうです」
質問したユリアンに騎士は答える
………え、来ちゃったの?マジで魔王の手先来ちゃったの?見間違いとかじゃない?あれでしょ?絶対これ俺に戦えて言うやつでしょ?
ナイワー、魔物と戦ったことがあるとは言え、スライムとかゴブリン程度しか相手にしたことないのにいきなり魔王の手先とか。これ俺死ぬでしょ、どう考えても…………
行きたくねぇなぁ…。でも行かないと後でトーマスにドヤされて、ボコられるだろうからなぁ…。
行くも地獄、行かぬも地獄だな……
…いや、あれだぞ?何も俺一人で生き必要は無いわけで。リサとかユリアン、コイツら連れてけばいいんだろ?で、コイツらを戦わせればいいんだよ
そうだよ、コイツら普段から俺に旅に行くぞぅー、とか五月蝿いからな。こういう時に使わなくっちゃ!
「リサ、ユリアン。俺は今からそいつを倒しに行こうと思う」
「な、イキナリどうしたコウ!お前がそんなことを言い出すとは、どういう心境の変化だ?」
「うん、それは僕も気になる。今まで絶対魔物とか戦おうとしなかったのに」
「いや、俺は気づいたんだ。勇者の使命ってやつを………。今、城下町の近くに魔王の手先と思われる奴がいる。それなのに勇者である俺が行かないわけにはいかない!この街には大勢の人々が住んでいるんだ。その人達の為にも、勇者である俺が行かないと……」
「「コウ……」」
「俺は今から行ってくる………止めてくれるなよ?」
「何言ってるんだ、コウ。止めるわけないだろ?私もお前と一緒に行くぞ!お前だけ行かせるわけにはいかない!私もお前と戦う!」
「そうだね。僕も行くよ。僕に任せな、コウ。僕が君を守ってあげるよ。……フフッ、勇者を助け守る僕………カッコいい!」
「お前ら………」
ヨシッ!俺の好感度を上げつつ、コイツらを自主的に来させることができたぞ!
よしよし、これでコイツはついてくる。あとは俺の代わりにコイツらを焚きつけて戦わせれば全てオッケーだ
「それじゃ、あんた、俺達をその魔物がいるところまで案内してくれ」
「は、はい。馬を用意されてありますので、ついて来てください」
行きたくないけど、出発!
城下町を出てから、随分と経った。もう既に帰りたいと思い始めている
やっぱ帰ろっかなーと思っていると前方に見知った人物が見えてきた
トーマスと率いられた騎士達に………アレは………オットー?なぜアイツがここに?
俺が不思議に思いつつ彼らに近づいて行くと、どうやらあちらをこっちに気づいたようで手招きしている
俺らは馬の速度を落とし、馬から降りる
そのタイミングを見計らってトーマスが話しかけて来た
「来たか。お前が来るか半信半疑だったが……遂にお前にも勇者としての自覚が現れたということだな…?」
「ああ、うん……そう。…それよりオットー、なんでお前がいるんだ?」
「ふん、何を言っている。私は貴族だぞ?騎士には私と親しい奴もいる。すぐ情報は流れてくるのだ。それに私は四つ星の冒険者だ。強い私が来なくてどうするというのだ?…名ばかりの勇者殿よ」
「ああ…そう…。」
俺が勇者になったことが未だに納得がいかないらしいな、コイツ。まぁ、俺にとってはどうでもいいけど
すると俺の後ろからリサとユリアンが出てきた。そしてまずリサがオットーに話しかける
「フリードリヒ殿、お久しぶりです。お元気そうでなによりです」
「リサ殿⁉︎……お久しぶりです。貴女もここにいらしてたのですか…」
「…はい。コウについて来たのです」
「そうですか………」
「…………………。」
「…………………。」
気まずい雰囲気が漂う。そっかそう言えば、オットーのやつリサにプロポーズして答えを聞く前に玉砕したんだっけか?
アレを思い出すだけで涙が出てくるぜ…
気まずい雰囲気を壊すかの様に今度はユリアンが前に出てきた
「やぁ、トーマスにフリードリヒ殿。調子はどうだい?」
「ユリアン様!貴方様もいらっしゃたのですか!」
「ユリアン王子。お久しぶりでございます!」
「うん、久しぶり。僕もコウについて来たんだ。それにしても、魔物はどこにいるんだい?さっきからこうやって話しをしているけど、大丈夫なのかい?」
それに対しトーマスが答える
「はぁ、それが…あそこにいるのがそうでございます。……強い魔力を感じ私達が駆けつけたのですが……。全く動こうとせず、牽制をかけてみても意味がなく……口を開いたかと思えば、勇者を出せの一点張りで……」
トーマスが指差した方向には一体の魔物がいた。
最後までお読みくださりありがとうございます。如何でしたか?続きが気になりましたら、是非、次回もお読み下さい!楽しいと思って頂けたら幸いです。それではまたm(__)m