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電子世界のファンタジア  作者: 永遠の中級者
初めてのVRMMOと始まりの大陸
9/237

9 初めてのスキル(獲得編)*

 次の日、テストも終わった事で夏休みの初日。

 朝の分の家事を終わらせて朝に来ていたメールを確認すると、数分前に朱里からメールが届いていた。それによると朱里は早速『バーチャルリンク』に潜っているという。昨日は結構進行がぐだぐだだったけども、それにしても早くないかい?これはすぐに向かうべきなのだろうかとも思ったけども、後で良いかと本日の献立を何にするか考え始めた。


 昼食を済ませた後、連絡はなし。

 昼食前に朱里にメールを送ったのだが、未だに帰ってこないことをみると、未だに向こうに居るのだろうか?ふと思ったがその場合のメールなどのデータは一体何処に行っているのだろうか?それは今は置いておこう。


 どうせ昼食すらも忘れているだろうから昼食の残りを簡単にアレンジして包み、家族に外出の事を伝え、包みを持って出かけることにした。




◇    ◇    ◇




 現実に引っ張り出しました。案の定忘れてました。


「このサンドイッチ美味しい…」

「ありがと」


 予想通り昼であることも気づいていなかったようで、ゲートのある場所の端で空腹を思い出したかのように朱里が口いっぱいにサンドイッチを頬張っている。向こうの世界に居る時は基本電脳体なので空腹などその辺の状態は感じるとか感じないとかまだ謎だが、とりあえず外に出れば食欲は思い出すようだ。


「で、早速入って何してたの?」

「うぃ?一時間程他のゲームしたり、昨日の続きをしたり……そうだ、聞いてよ!なんか近々ネクスでイベントがあるんだって!」


 イベント?何かのお祭りだろうか。だけど序盤の拠点とはいえ、あんな初めの街で何かを催すものなのだろうか?


「なんか主催者が運営じゃなくてプレイヤーって話があったよ」

「プレイヤーも何かを主催したりできるの?」

「内容によるけど、簡単なものだと出来るみたい。今回のイベントはターゲットハントって言われてたよ」


 個人イベント、プレイヤーは参加するだけではなく主催側に回るという楽しみ方も出来るのね。初心者には出来ない楽しみ方だ。


「ちなみに開催時間は明日の昼頃から二時間らしいよ。出てみる?」

「気が向いたらね」


 時間が合えば出てみるのも悪くないけど、正直な話その時にならないと分からない。休み期間に入ったから昼頃の開催なら入ろうと思えば間に合うが、ログインしない可能性だって十分にある。だから断言はできない。

 そんな事を話していると誰かが近付いてきたような気がした。係員かな?


「御伽さん」


 係員にしては此方の名前を知っているようだ。『リンクカード』にでも書いていたかなと疑問に思いながら声の聞こえた方向に顔を向けた。すると其処には係員ではなく、長い髪に特徴的な髪飾りを付けた見覚えのある女性がいた。


「霞ヶ丘先輩?」


 霞ヶ丘閃奈、私たちの一年先輩であり生徒会所属。落ち着きつつも不思議な雰囲気を纏った彼女は生徒会でも人望が厚く、校内でも隠れファンが結構多い。生徒会の手伝いをしたことがあるので交流があるのだが、このような場所に興味を示す人ではなかったような気がするが?どちらかというと忘れている方。


「どうしたんですか?このようなところで?」

「『バーチャルリンク』に入りに来たの」


 訊いておいてなんだけど、此処に居る人の殆どは『バーチャルリンク』に入る為に来た人だからそういう答えが返ってくる事自体には不思議は無い筈なのだけど、まさかあの先輩も参加しているとは…。


(…凛、この人誰?学校の人?…)

(…朱里、自分の学校の先輩も知らないの?…)

(…ああ、先輩なんだ?…)


 以上、霞ヶ丘先輩には聴こえない程度の小声での会話。(約十秒)

 朱里、貴女一度会ってる筈なんだけど…。


「先輩はどれをやりに来たんですか?」

「?…『ゲーマーズ・ドライブ』だけど…」


 朱里、急に訊くものだから霞ヶ丘先輩が一瞬驚いたように…、え?今何と言いました?『ゲーマーズ・ドライブ』と言いました?まさかのファンタジー成分百%。(他のゲームは何があるのかまだ知らないけど)


「私たちもプレイしているんです」

「そうなの?」

「と言っても始めたばかりですけど」


 私たちもしていると知ったときに少し喜んだような?もしかするとアレなのだろうか、こう言うのも何だけど、先輩は人気はあるけど接点のない人からは何処か話しかけ辛いと遠慮されているらしいから、この話が出来るのが嬉しいのだろうか?


「先輩は今どこまで進んでいるの?」

「私は…昨日までは三つ目の"蒼の大陸"の辺り」


 プレイヤーだっただけでも驚きなのに、三つ目と言ったことにも驚きである。


 流石に何も知らないと言うのは迷惑がかかりそうなので、昨日の夜に少し調べてみたのだが、『ゲーマーズ・ドライブ』の世界には複数の大陸が存在して、誰かがその大陸のボスを倒すことで次の大陸への道が開放されるというのが攻略要素としてあるらしい。そして現在開放されている最新の大陸は数週間前に開かれた"蒼の大陸"らしい。つまり最新エリアである。ちなみに私たちがいる大陸は当然一つ目の"始まりの大陸"である。


「最新エリアじゃん!?」

「でもさっき昨日までって言いましたよね?」

「ええ。今は二つ目の大陸まで戻っているから」


 人のプレイスタイルも様々だから戻るのにも理由があるのだろうが気になる。何か其処に理由があるのだろうか?けど、戻っているのなら折角だから…。


「あの、私たちまだ初心者ですけど、ご迷惑でないのなら一緒にしませんか」

「…いいの?」

「はい、霞ヶ丘先輩がご迷惑じゃなければですけど」

「一緒にやろうよー」

「じゃあ…是非」


 その時の霞ヶ丘先輩はどこか嬉しそうだった。




◇    ◇    ◇





「やっぱりまだ慣れないわね。この感覚」

「尻尾なんて現実には無いからね。どんな感じ?」

「ちょっと重い」

「まあそれはそうだ」


 ログインを済ませてネクスの街中。

 霞ヶ丘先輩は次の大陸でのリスタートなので、本人はあまり時間が掛からないと言っていたけれど現在地からでも大陸の広さを痛感するので時間は掛かる事だろう。ネクスの街に来る迄のその間、何をしようか迷う。先輩には予め私たちのアバターの種族を伝えているので向こうから見つけてもらうまでは完全に暇なのである。こちらから誘った都合上、何処かに行くというのもさすがにできない。


「そうそう、これこれ」


 考えながら軽く街中を歩いていると、Akariが立ち止まって街の掲示板に貼ってある一枚のチラシを示した。


「あぁ、これ?個人イベントって言ってたのは?」


 張ってあったのは、Akariが言っていたプレイヤー主催のミニイベントのお知らせだった。開催日時は現実時間で明日の一時から始めてゲーム時間で二時間であり場所はプラクティスエリア内、その内容は主催者が指定したモンスターを探して討伐すること、景品もそのモンスターが持っているとのこと。指定モンスターは複数存在して、それら全てを主催者が用意したとか。…どう用意したんだろう…。


「一時からなら参加出来なくもないかな」


 飛び入り参加歓迎とも書いてあるので、参加登録なども特に必要ないようで、何なら遅刻してもなんとかなる。ただし、報酬は早い者勝ちである。


「じゃあ参加する方向でいいよね」

「ちゃんと昼食を摂ったらね」

「はーい」


 そういえば、一つ忘れていた。"明日"ということでしていなかったことがあったんだった。


 ウインドウを呼び出し、アイテム欄から一つのアイテムを選び実体化させる。それは巻物のような形をしていた。〈秘伝の書"序"〉である。


「あ、そういえばまだだったね」


 Akariも私がアイテムを呼び出したのを見て、自分も巻物を手元に呼び出す。まだ使ってなかったんだ。早くから入ってるものだからてっきりもう使ったのだと思ってた。其れなら一緒に開こうかと思ったけれど、変なのに絡まれたりするのは嫌なので、出来るだけ人の少ない場所へと移動して開くことにした。


「それじゃ私からいくよ」


 Akariが巻物開くと、そこから煙が噴き出したかと思うと大きなスロットのようなものが現れ、その中の三つの絵柄が回転を始める。一つずつ回転が止まり、異なる絵柄が並ぶ。左から赤い人の絵、靴の絵、そして足跡に×マークを付けたような絵。絵柄が決まるとスロットが消え、Akariに小さな光が降り注ぐ。


「あ、なんか得たっぽい」


 どうやらあれでスキルは獲得出来たようだ。


「技能スキルかぁ…〈無音〉?

えっと…使用すると一定時間足音が消え敵に気付かれにくくなります…これどうなんだろ?わかんないや」


 Akariは〈技能スキル〉を引き当てたらしい。獲得できるスキルはランダムという話だったが、〈術技〉か〈技能〉かすらランダムのようだ。内容より数を増やす事が目的なら仕方が無いか。

 ランダム性は置いておくとして、Akariが獲得した〈無音〉は聞いている限りでは其処まで悪いようには思えない。敵を避けたい時などには良いのではなかろうか。初日は逃げる事も多かった事だし。

 とまあ、他人の結果は此処迄にして次は自分の番だ。〈秘伝の書"序"〉を開くと、先程と同じように煙と共にスロットが現れ、回転を始める。そして次第に回転が止まっていき、三つのマークに決定する。一つはAkariの時とは違う青い人の絵、次に杖のような絵、最後に上向きの矢印の中に小さな炎のよう記号が描かれた絵。

スロットの消滅と共に光が降り注ぎ、スキルを確認してみると〈術技スキル〉の欄に新しい文字が増えていた。



―――――――――――――――――――――――


○エンフレア

 効果:攻撃に炎を伴わせる付加魔法。

    射程範囲にいる任意の対象に一定時間、攻撃に【火傷】性質を付加。

 性質:【火傷】

 消費MP:15


―――――――――――――――――――――――



「付加魔法?」

「詠、術技スキル増えたの?」


 そうらしい。

 〈技能スキル〉だったAkariは羨ましがっているが、付加はどういったものなのだろうか。






ステータス

未所属

詠 / 狐人

Lv 6

―――

―――

HP: 85 (HP+150) / MP: 165

STR(攻撃力):9 (STR+16)

VIT(耐久): 10 (VIT+10)

INT(知力): 21

MND(精神力): 25 (MND+5)

DEX(器用さ): 18

AGI(素早さ): 33 (AGI+10)

LUK(運): 16


BP : 5


装備

「ノーマルアロー」(STR+8)(重複)

「ノーマルダガー」(STR+8)(重複)

「旅立ちの帽子」(VIT+5、HP+50)

「旅立ちのシャツ」(VIT+5、HP+50)

「旅立ちのロングスカート」(MND+5、HP+50)

「ノーマルブーツ」(AGI+10)





ステータス

未所属

Akari / 鬼

Lv 7

―――

―――

HP: 175 / MP: 90 

STR(攻撃力): 30 (STR+15)

VIT(耐久): 24 (VIT+20)

INT(知力): 15

MND(精神力): 17

DEX(器用さ): 20

AGI(素早さ): 21 (AGI+5)

LUK(運): 11


装備

「ノーマルブレード」(STR+15 AGI-5)

「ノーマルシャツ」(VIT+10)

「ノーマルズボン」(VIT+10)

「ノーマルブーツ」(AGI+10)




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