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電子世界のファンタジア  作者: 永遠の中級者
夏の終わりと蒼乱の大陸
87/237

83 正しい大陸の入り口付近

「着いたな」


「へぇ…。変な進み方したと思ったけれど、変わった場所になってるのね」


 船は無事に目的地に到着し、一行はとある街にやってきた。

 中から見たら、その街は言うなれば長い筒のようになっている。街がカプセルのような入れ物の中に作られ、それが海面よりも少し低い位置に存在する。その為、此処に入る船が下り坂ならぬ下り波に乗って低い位置に降りてからパイプのような入り口に入った。其処までの道はこの大陸特有の重力を無視したような特殊な波で、通り道の部分だけが海が開かれていた。

 街の中は商店街のように大きな道を中心としてその両側に建物が並んでいるような形になっている。街と言うより地下通路のように思えなくもない。故に進行方向が分かり易い。船着き場を除けば大体二方向だけだから。


「この大陸に来た者の殆どが始めに訪れる街だ。基本の補充は大体出来るようにされてる」


「始めが小島だったのだけど…」


「例外もある」


 確かにあのショートカットの移動方法は一般じゃないね。比べてたら駄目だ。

 それで、簡単に街を見てみれば、シグが言うように確かに色んな商店施設の看板が確認出来る。というより基本は押さえたといったラインナップ。


「さーて、回復アイテムも貰ったことだし、このまま何処かに行く?」


「回復って言うけど、どんな効果が出るかは分からないよ?もしかしたら美味しいだけでHPもMPも変化がない可能性だってあるし」


「…そもそも味覚って実装されてた?」


 実は船が到着したときに、退治した報酬ということなのか、全員に回復アイテムが渡されていたのである。回復というより、残った蛸足を使った料理アイテムである。片付ける時に、足は預かると言っていた理由は食料にするということだったらしい。

 料理はそれぞれ効果があるらしく、単純に回復をするものもあれば、能力に補正が付いたりするものもあるらしい。味も食感も其程無いのだけど。

 そういう理由で、回復面の補充は少ないとはいえ成されたと見なしたのか、早速何処かへ行く気満々らしい。まぁ、先程までいた小島よりは選択肢は多いからね。


「これどっちがどっち?」


「向かって奥に行けば大陸内に、手前側に行けば前の大陸への道だ」


「へー、じゃあ試しに大陸内にでも…」


「勝手に進まない」


 今にも進んでいきそうなAkariを取り敢えず止める。勝手に進まれて何か問題を起こされてもアレだからね。念を入れさせないと。


 ということでAkariを捕まえたまま、万が一の為の補充へ。近くに道具屋があったのでそのままゴー。


「気にしてなかったけど、あのダンジョンで結構減ったなぁ」


「…船でもね」


 今更ながら小島でも補充出来たなぁ…と思いつつ、使った分に加え念の為の追加分も購入し、使い方が分からないけれど一応他のアイテムも一、二個常備しておく。アイテムの枠が圧迫されたらまあ…空ければいいし。


 補充と確認をしていると、シグが早々に店を出て行こうとした。どうやらもう行くらしい。彼は交流があるだけで基本はソロで活動しているので別れるのは不思議ではない。


「レベルのことを考えて数日はこの辺りに居る。君らもその辺は考えた方が良い」


 そう言い残してシグは店外へと出て行った。


「そうか、レベルか…」


 船上での戦闘でもそうだけど、大陸が進んだことで敵の水準は上がっている。此処までイベントみたいな戦闘しか無かったけれどそれは確かなはず。そしてうちのレギオンの誰よりもレベルが上のはずのシグが、その辺りのことを見越して遠くへは行かない選択をした。此方も少し考えた方が良いのではないだろうか?


「私たちも近場で行動した方が良いのかな?」


「この辺りのことがまだ分からないのでそれでも良いかも知れませんね」


「情報と経験値集めってこと?」


「…そういうところかな?」


 ぶっちゃけると、先輩が最初に合流したときに、転生後の状態でこの辺りを戻ったという事実だけで、このままの状態でも進めないことはないという結論が出かかったのだけど、転生システムってステータスにも何かしらの残滓的なものがあっただろうか?あったならまた結論が変わるのだけど。


「そんなにレベルを気にしなくても、ある程度なら誤魔化せるんじゃないの?」


「あー、装備とか耐性とかでも結構違うもんね」


「誤魔化す…って言い方が…」


 確かにレベルだけでなく、その辺りを踏まえることでも状況は変わってくる。現に此処に来るまでは相性的に炎が通り辛いことも屡々あった。というか、誤魔化すって表現は合ってるの?


「それなら次は装備だね。確か向かいにお店があったと思うよ」


 その言葉通り、今の建物に入る前に、向かいの建物の前に武器のような看板が出ているのは確認している。


「ならついでにクエストを受けられるような場所も探さない?」


「そうですね。もしギルドなどがあるのなら情報を集めるには良さそうですし」


 ギルドがあるのなら、人が集まっている上に、クエストも受けられる。街の外に出る前に少しは大陸のレベルが分かるかもしれない。それで問題があるぐらいなら…すぐ戻ろう。


 そういう順序を組んだ一行は、次に行くために出口の扉に手を掛けた。



街のイメージは、ボトルシップみたいな感じかな?

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