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電子世界のファンタジア  作者: 永遠の中級者
夏の終わりと蒼乱の大陸
82/237

78 気付いた時には移動していた話

――――パラリ。


――――パシュゥ。


 背後に現れた敵たちが一体残らず光となって消えていく。撃破より少し前にも敵が湧いたけれどそれすらもあっさりと倒される。


 『サークルブルーム』の登場に状況は随分と変わった。撃破どころか足止めすら苦労していた追加分の敵を連携でほんの僅かな時間で倒して、そのまま蟹との戦闘に突入していった。

 レベルは先程二体を相手していた時より高いというのに、勢いに任せてどんどん押している。戦力が固まっているからだろうか。当人たち曰く「一体の方がやりやすい」とのこと。確かに。


「下手なことされる前に片付けるぞ!」


 そう言う通り、広範囲に泡を巻かれたり、他の敵が湧く前に決着を付けようとダメージを恐れず数名が突っ込んでいる。その勢いのままに蟹のHPを確実に溶かしていく。あれ、さっきの戦闘よりも早いんじゃないの?


「〈スパークル・エッジ〉」


「〈ライトニング〉!」


 ちなみに先程使っていた過程も引き続き使われている。その為、一定間隔毎に閃光が迸り、蟹の行動が阻害されていく。そのお陰で特攻組が思いの外ダメージを受けていない。…相手が一人ならこの方が効率が良いのではと、この光景を見ていると思ってしまう。一応レベルは上がっているはずなんだけどなぁ…


「おらぁ!」


「よし、チャンスだ!」


 前衛組の大胆な攻めにより、蟹は体勢が崩れて甲羅の下が露わになった。弱所が露わになって潜り込まなくても良くなったからか、四方八方から一斉に削りにかかる。一瞬脳裏に昔話的なものが過ぎった気がしたけれど深くは考えないでおこう。ここはゲーム。あれはエネミー。割り切ろう。




―――――そんなこんなで。




【☆レベルアップ☆ ポイントを振り分けることが出来ます。】



 二体を同時に相手していた時よりも早い時間で蟹は崩れ落ちた。

 ちなみに今回は、前回のように爆発はさせていない。というか、使おうかとするとやっぱり気配を感じてか先手を打たれるのだ。なので私はほぼほぼ何もしていない。途中からそのフェイントだけをしていた。だけど特に怒られる事は無かった。集中しているというのもあるのだろうが、此れまでの戦闘でレギオンメンバーだけでなく、あちら側にも使える手を把握された上でそっとしていた節があった。…その目は何。


「さて、このまま次に…」


「む、この光は何だ?」


 ドロップ品も目新しいものがなく、早々に進行に切り替える面々が次の道を見て気になっていた。後から戦闘に乱入した『サークルブルーム』は先の道をまだ確認していなかったから今気になるのも当然か。


「ほら、行くんじゃないの?」


「いやすまない、勿論進むが、ふと大丈夫なのかと思ってな」


 光が漏れて明るくなっている道に少なからず心配があるようだが、そう身構える必要は無いのでは…と思ったけど、不意打ちの湧きをしていたからなぁ。確かに油断は出来なかった。


 道中に敵が湧く気配はなく、漏れて壁に反射している光も少しずつ強くなっている。もうすぐ着くのだろう。

 そうして道を抜けた先にあったのは湖だった。


「光りの正体は此れか…」


「水自体が光ってるの?」


 一面に水が広がっているが、天井などは地下ということが分かるぐらいに岩で覆われている。俗に言う地底湖というものだろうか。


「ふむ……水が光っているというよりはその向こうにあるものが光源ってところだろう」


 湖全体が光っているように見えるが、それは広がっているだけで、光の強さには波があった。というより、内にいくほど明かりが強く、外側にいくほど明かりが弱い。そしてその最も光が強い場所にはただの水ではない何かが存在していた。


「まさかボス戦にでも突入するか?」


「いや、そういったものでは無さそうだ。それに罠と言うわけでも無いだろうな。」


「結局は調べないと分からないってことじゃん」


 まぁ危険物ではないことが分かっただけまだ良いのでは?


 水の中の光源は未だに一定の明るさを保ちながら輝いている。

 湖はそれなりの深さまであり、奥に進むにつれて深くなるようだが、光源の場所は意外と手前付近にあり、割と光源の辺りまで行けてしまうのだ。それ故に数人が興味本位でその付近まで入っていっていたりする。


「近くで見てみると渦になっているな…」


 光源の渦は思ったよりも大きさがあり、直径なら人一人はあっさり収まる程に大きい。その代わりに深さで言ったら、この場所まで沈まずに行けたことから察せるように言うほど深さは無い。薄めの渦。下手に飛び込んだとしてもすぐに足が着くだろうから危なく感じない。渦特有の回転も其処まで早くはないことだし。


「危険性は無さそうですが、それなら何の為に存在しているのでしょうか?」


「ダンジョンギミックの初動…にしてもその先は見当たらないな…」


「では、風景としてのステージギミックということであるか?」


「いやそれなら、スキルも道具も無しに其処まで行けるようにする必要は無くないか? 上級関連ならその辺の有無で人を選ぶだろうし」


 渦に分析から戻ったメンバーを加えて『サークルブルーム』内では推測が飛びかっている。此処が最奥であるのでこれ以上進むことは無く、折角なので休憩を込みで過ごしている。大半がその渦に関心が向いているけれど。 


「確かに渦になってるね」


「だからそう言ってたじゃない」


 『サークルブルーム』の面々が水から上がった後、『Celesta Sky』も渦の近くまで行ってみた。特に分析をするという訳では無く、ただ見に来た程度だけれど。


「…あれ?」


「どうしたの?」


「今、渦の中に景色が見えたような…?」


「景色?」


 るる。が渦をじっと見ていてそんなことを言った。だけど渦を見ても光が渦巻いているように見えるだけで景色など何処にも見えなかった。水の底が見えて見間違えたのだろう。


「ちょっと眩しいだけだけど?」


「いえ、確かにこの辺りに…―――」


 るる。が気のせいでは無いと渦の中を指差した。その時だった。


「ぇ、なに―――――――」


「ちょ、ちょっと!?」


 渦がさらに光を発したかと思うと、るる。が渦の中に吸収されたのだ。慌てて水中を確認してみたが、渦の下の水中に姿はなく、るる。は何処かへと消えていった。


「嘘ぉぉぉ!?」


「どうした!?」


「渦の中に消えていった!」


「はぁ!?」


 様子を察して水の中へと来た面々にわんたんたちが説明をする。慌てていて雑になっている説明でも、要所過ぎて伝わったらしい。…逆に内容がそれしか無いけれど。


「もしかして…」


「先輩?」


 そんな横でせんなは冷静に何かを考えてからぼそりと呟いた。すると、せんなは思い当たったかのように何の躊躇いも無く渦に向かって進んでいく。他のメンバーが止めようとしたが、それより先にせんなは渦に触れた。


 すると、せんなも先程と同じように姿が消えた。


 それから、なんで今のを見て突っ込んだ!などと周囲が慌てていると、ぽんとシステムアナウンスが表示された。誰かからメッセージが来たらしい。こんなタイミングで誰かと思って確認すると、差出人はついさっき目の前から消えた"せんな"からだった。



 ―――― ソレ、ワープ――――



 何故かカタカナで書かれていることが気になるがどうやら無事らしい。そして端的に書かれたその内容で渦の正体がはっきりした。


「この渦は別の場所に繋がってるらしいです。その証拠にこうして無事みたいですし」


「ワープ? …そうか、そのパターンがあったか!」


 他のメンバーにも渦の正体を知らせてから先に渦に近付いていく。まだ少し恐怖はあるけれど、ワープだと言うのなら恐れずに渦に触れる。

 すると、突然周囲が光に覆われて反射的に目を瞑ってしまう。そして次に目を開けた時には空から光が差し込み、地底湖とは違う別の場所に自分が居た。


「此処は…?」


 周囲には一緒に居たメンバーは居ない。先程までとは違う場所を見て、ぼそっと口から疑問が零れでた。その答えはすぐに返ってきた。


「此処は海上遺跡。蒼の大陸にある場所の一つ」


 近くに現れたせんながそう言った。



最近何故か某グランドな時の王の音楽がふと頭の中に流れる。

ゴー〇ト、エ〇ゼイド、ビー〇ドー!

※全然本編と関係ない話



レギオン『Celesta Sky』 

詠 / 狐人

Lv 27 → 28

―――

ターザンの同盟者

HP: 124 → 126 / MP: 245 → 251

STR(攻撃力): 34 → 36

VIT(耐久): 38 → 39

INT(知力): 64 → 66

MND(精神力): 77 → 82

DEX(器用さ): 49 → 53

AGI(素早さ): 108 → 113

LUK(運): 29 → 30


BP : 40 → 43


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