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電子世界のファンタジア  作者: 永遠の中級者
夏の終わりと蒼乱の大陸
73/237

69 ようこそ、レギオンホームへ

某神様の新曲により

筆者は テンション が上がった。◁



 入り口の布を除けて中に入ると、中心に木で出来た大きな丸テーブルと同じく木製の椅子があった。周りを見渡すと拠点内はこの一室だけで無く、同階の他の部屋や吹き抜けた二階も確認ができ、全体的に外見よりも生活感が感じられる造りとなっていた。

 そしてその中心には誰かが座っていた。その誰かは拠点に人が入ってきたことに気付くと開いていたウインドウを閉じて此方に向き直った。


「すみません。お手数をおかけして」


「別に構わない…が、いい加減此奴も学習してくれれば助かるんだがな」


「だからこれくらい良いじゃん。ゲームなんだし」


「ゲームであろうが現実であろうが、少しはマナーをだな…」


 シグとフィルメルが中心に座っていた人と会話を始めた。中に居たのだから当然だろうけど、どうやら知り合いらしい。


「…他のメンバーはまだなのか。」


「はい。一応見つけたことは知らせているのでもうすぐ戻ってくると思いますが。

それより…其方の方々は?」


 辺りを見てまだ自分たち以外に人が居ないことを思ったシグに応えた後、その人は未だ入り口付近で居た詠たちに話題を移した。


「報告した、迷惑をかけたプレイヤーたちだ。」


「それは…今回はご迷惑をおかけしました。」


「あ、いえ、そんなに気にしていないので大丈夫です」


 シグの言葉で理解したその人は立ち上がると、ゆっくりと此方へ歩み寄ってから謝罪の意を示した。この人自体からは何も迷惑はかけられてはいないので、これは身内の不手際を指してのものだ。

 此方が気にしていないと言っても念入りとばかりに少々の間は続けられた。そしてそれもようやく終わると、改めてとばかりに内容を切り替えた。


「申し遅れましたが、私はこのレギオン【サークルブルーム】の二代目リーダーのマリナです。こちらつまらない物ですが」


「ああ、これはご丁寧に」


 手渡されたポーションを受け取りながら目の前のプレイヤーを見た。

 目の前のマリナと名乗った女性プレイヤーは一言で言ってフィルメルと同じタイプだった。語弊があるかもしれないけど、別に問題を起こすといったものではない。同じと言ったのは、その姿がフィルメルと同じく見慣れない姿だったのである。その姿は基本的な種族の特徴に該当しないので彼女もまたフィルメルとは別のものに種族を変えたことが予想出来る。


 なんて観察は一度置いておき、名乗られたので此方も簡単に紹介を済ませることにする。紹介を一通り終えると立ち話も何なのでと席に通された。


「俺はその子らの仲間を探してくる」


「あ、お願いします」


 皆が座り、何かが始まるかのような雰囲気になったと思ったら、座らずに後ろに立っていたシグが先程のことを覚えていたらしくホームから出て行く。


「あら、もう一人居るのですか?」


「はい、合流する予定だったんです」


 などと、丸テーブルを囲って会議のような雰囲気を出しているけれど、することは当然ただの世間話である。


「はい、質問!」


「何ですか?」


 世間話が続き、徐々に打ち解けてきた時、頃合いを見ていたかのようにわんたんが切り出した。


「さっきから気になってたんですけど、その見た目って普通の種族じゃないの?そっちもだけど…」


「ああ、私たちですか。これは上級種族なんです」


「あー、やっぱりか…」


「そちらは分かっていたんですね」


 まぁ、転生システムの話は以前に訊く機会があったからね。主に経験者の先輩絡みで。とは言ってもそれによって転生できる種族のことはあまり覚えていないのだけど。覚えているのは先輩の種族である"天使"がレア種族であるということぐらい。


「私たちの種族は種族の中でも精霊種と呼ばれるものです。その中で私が"ウンディーネ"でフィルメルが"シルフ"なんです」


「あー、確かに精霊ですね。ってことは何か水とか風とか起こせたりするんですか?」


「いえ、噂では固有能力に精霊らしい特性があるらしいですが、今はこれと言って違いは無いですね。水なども魔法で出せますし」


 「何そんなに有名な名前なの?」と隣に座っていたるる。に小声で訊いてみると、ファンタジーでは使われることの多い名前らしい。そういえば先輩もその名前を以前に言っていた気もする。


 と、そんな会話を訊いて、たんぽぽは別の箇所が気になっていた。


「…固有能力?」


「ご存じないですか? 固有…種族専用の能力というものがそれぞれに設定されているのですよ」


「へぇー。例えばどんな能力が有るの?」


「…それが、私もまだ取った事は無いので内容までは知らないんですよ」


 はっはっはと言った笑いでも付きそうな抜けた返答をするものだから、質問をしたAkariを含め皆が崩れた。知らないんかい!ってな感じで。


 そんな時だった。

 入り口から何かが入ってくるような気配がした。シグかと思い、振り返ってみたがそれはシグでは無かった。


「む、見たところフィルメルは確保したようだが…これはどういう状況なのだ?見知らぬ顔が居るようだが?」


「お帰りなさい。この方々はお客さんです。」


 入ってきたのはAkariに似た特徴をしている鬼の侍だった。マリナの反応から見て恐らく【サークルブルーム】のメンバーなのだろう。


「それより、レツオウさんはお一人ですか?誰かと行ったと思っていたのですが?」


「いや、私は一人であったぞ。共に行ったのはゴードンたちだ」


「…そうでしたか?」


 どうやら勘違いしているマリナを気にする風もなく、レツオウは自らの要件を切り出した。


「それより少々伝えておきたいことがある。やはりダンジョンが存在した」


 少し聞き取り辛かったけど、その報告は此方の耳にも届いた。 



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