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電子世界のファンタジア  作者: 永遠の中級者
翠の大陸 初めてのアップデート
67/237

64 カバーミーつってんだろ。

サブタイトルについては深く考えないでください。

書く前の目安的な、予定的な、アレなんです。

「思ったよりやり辛いよ、これ」


「武器は最初から禁止されてたけど、まさか此処で魔法まで禁止されるなんてね。これはいつも以上にフォローし合わないと…」


「詠!後ろ危ない!」


「危な……って、前!」


「あ、うわっ!」


 此方を見て、前方の敵の存在を瞬間的に忘れていたAkariが敵からの攻撃を貰ってしまう。防具は装備してあるが、そもそも相手の攻撃力がそれほど高くない為ダメージも大したことは無い。

 だけど、その攻撃で僅かといえどHPが変動した瞬間――――


「クォラァァァァァぁ!!」


 先程まで居た辺りの敵が突如消えて、代わりに怒声が響き渡る。ちなみに失敗といた感じのアラームも。


「触れられるなと言っただろう!!そんなことでは実践で使うなんて三日早いわ!!」


「三日かよ!?」


 などと突っ込んでいるうちに、続けるかどうかの選択肢が目の前に現れる。

 どうして怒られたりしているのかと言うと理由は少し遡る。




 皆が休憩中の中、ログハウスの裏に居た人物に接触を試みた詠とAkari。

 その人物は都合が良いことに一行が探していた人物であった。その人物は個性的でありながらNPCであり、話しかけたことでクエストが次へと進んだ。


 そして次に出された試練というのが、武器を外した状態、つまりは素手で用意された敵と戦えというもの。

 それも、単に戦えば良いというわけでは無く、相手の攻撃を一度も受けること無く此方の攻撃を連続で数回当てろというもの。ダメージは関係ないのでスキルもそれほど関係ない。

 魔法が使えれば楽だったのだが、案の定使用は禁止。


 そういう制限の下で試練は始まった。

 出てきた相手は通常の敵とは違った特殊仕様のようなもので、この敵の攻撃でHPが尽きる事が無い優しい仕様になっているのだけど、面倒な一面もある。

 この敵、始めは動きが遅いのだけど、何度か当てていくとスピードが上がるうえに活発になっていって徐々に難しくなっていくのである。

 幸い、ノルマは二人で共通なのである程度の所まではカバーし合うことで数を重ねることが出来るのだけど、お陰でまぁ……こんな感じである。


「そう難しいことではない。一人でこれを熟す者も居るのだからな。君たちは二人だ。その利点を生かし、次へと進んでみよ!」


 …というのはNPCのお言葉。

 確かに一人でするよりは簡単かもしれないけど、思いのほか素早いんですよ…

 それと、これが済んでも"次へと"と言っているのでまだ終わらないようだ…


 まだクエストは終わらないのは分かってしまったけど、まずは今の内容に集中しよう。


「始めは楽なんだけどねぇ」


 言いながらAkariが動く敵に触れる。

 触れたと同時にカウントが浮かび上がり、敵は突かれたように少し距離をとる。


「今のうちに!」


 遅いうちに回数を稼ごうとAkariが畳みかける。

 回を重ねていることもあって、その動きは軽快で、カウントが2…3…4…と次々と変わっていく。この辺りから敵の動きも変わってくる。


「後ろに敵が出てくるのはもう分かってるから!」


 詠は背後に追加された敵に、回し蹴りの要領で触れる。

 カウントはさらに進み、敵の速度も少し上がる。


 そうして、互いにフォローしながらなんとかカウントは十も後半へと差し掛かろうとしていた。この辺りが結構辛い。


「あーっ!この素早さどうにかならないかな」


「どうにかする方法があったらとっくにしていると思うのだけど」


 そんな愚痴は置いておいて、本当にこれをどうにかしないと終わらない気がしてきた。周りを数体で囲まれては一定距離を空けて走り回られてては、少しばかり鬱陶しくなってきた。


 ……ん?何か違和感がある。どうして周りを走るばかりでさっきから攻撃をしてこないのだろう。此れまでだったら後ろに回って攻撃してきたのに…。

 もしかして…


「急にどうし―――」


 ―――――――――サッ


「やっぱり来た――」


 詠が数歩歩いてから後ろを向いた途端、その背後に先程まで周りを走っていた敵の一体が着地する。すると―――


―――――――――ドスッ


 それを読んでいたかのように、回転して向きを戻した詠がそのまま攻撃をヒットさせる。

 攻撃を受けた敵は少し突き放された後、再び周囲を囲むように走り始めた。


 …やっぱりそういうこと。一応難易度を加減してくれていたようだ。


「よく分かったね、今の不意打ち」


「どうやら…動きに法則性があるみたいよ。クリアしやすいように設定したのかもしれないけど」


 この敵たちは回数を重ねていく事に速度が上がっていき、厄介になっていく。だけどある程度速度が上がってからの行動は思ったよりも単調になっていく傾向のようである。

 相手は必ず背後を取るように動き、背後に居るときのみ攻撃をする。

 先程周囲を動くだけで攻撃に移らなかったのは、詠の後ろにAkariが居て、お互いがお互いの死角をカバーしていたからだと思われる。試しにわざと背後に隙を作れば案の定相手は動いてきた。

 そして再び背中を空けないようにすれば、また攻撃のチャンスを待つために走り回る。

 法則が分かれば、打てる手はある。


「そう言われれば簡単に思えてきた!」


「だからってヘマはしないでよ」


「分かってるよ」


 動きが予測できるようになれば、後は行動する。

 …と言っても、一斉に動けば多分ミスするだろうから、此処からは冷静に着実に。


「よし来た!くらえ!」



「次は私ね」



「はいはい待ってたよ!」


 交代に隙を作っては、予想通りに動いてくる敵を攻撃する。

 そしてカウントは着実に増えていき、それほど時間を使うことも無く終わりがやってきた。


 法則に則って進めていくこと数回、攻撃を当てて浮かぶカウントが二十になった瞬間、対峙していた敵たちが急に力を失い、次第にその姿を消滅させていった。


「これで終わった…?」


「…みたいね」


 終わりと分かった途端、Akariがその場に座り込んで休み始めていた。

 正直気持ちは分かるけれど、休むにはまだ早いとか言われそうだなぁ…。


「よくやった!だが、休むにはまだ早いぞ!」


 ほら。

 やって来たNPCがそう言った途端、Akariが分かり易いぐらいにげんなりした。


「このまま、最後の試練に移ろうと思う!」


 依頼人を探すに始まり、制限をかけた鍛錬に続いて、次でクエストも最後。

 なんというか、雰囲気的に言いそうなことが予想できそうだけど、此処まで来たら何でもいいやといった感じにもなる。


「私と勝負だ!勝てば合格とする!」


 練習からの実践。やっぱりそういう展開になりますよね。


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