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電子世界のファンタジア  作者: 永遠の中級者
翠の大陸 初めてのアップデート
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63 沈黙のドライアド

 人捜しをする一行の前に現れた人面樹ならぬ人体樹…とでも言えそうなもの。木のエネミーとは少し違うようではあるけれど万が一の為に敵対するかもと警戒したり、純粋に観察したりと、それぞれの反応を見せていた。


 すると、突如として人体樹の目と思われる場所が開き、その目で近くに居た一行のことをゆっくりと、それでいてしっかりと見返していた。


「やっぱりこれ動いてるよね!?」


「思いっきりこっち見てるんだけど!?」


「…けど、見てくるだけで特にこれと言って何も起こらないわね」


 人体樹は今も見続けてきてはいるが、それだけでその先がない。これと言って此方に対して何もしてはこない。

 正面で手を振ってみても目でそれを追いはするけれど、それだけ。


「…本当に何もしてこない」


「これってもしかして何かのクエストかイベントのものなのかな?」


「え、まさか、これが鍛えるぜの人…!?」


 流石にそれはない。もしそうだったら進展あるはずだから。


 けど、確かに何かのイベントなどに関係するものというのはありえそう。もしそうなら別のクエストを進めているからこれ以上の進展がないのか、それとも条件が必要なのか…。

 クエストは複数受けられたはずだから前者なら少し疑問が残るけど…。もしかしたら特殊なものなのかもしれない。


「…ん?」


 などと思いながら人体樹を観察していると、人体樹の上部辺りに文字のようなものが見えた気がした。あ、一応名前あるのね


「何々……、ドライ…アド?」


「え? 何言ってるんです? 例えるならドライアドよりトレントの方が近くないですか?」


「…それだと木の要素が多い気がする。どっちかというとアルラウネがワンチャン」


 …ワンチャンも何も、何言ってるの…


 皆、人体樹のことを指しているのはすぐに分かったらしい。訊くと今出た名前はファンタジーにおける植物系の生物の名前によくあるものだったらしい。…一応皆も呼び方について言ってたのね。……だけど既にドライアドって名前があるんだけど。


 それを伝えると皆にも見えたようだ。


「本当ですね。名前があります」


「おーい、ドライアドさんやーい、あっそびっましょー」


 …なんて呼びかけても特に変化はない。

 今はこれ以上調べても進展はしないかなぁ。というか、本題を忘れてるから。


「とりあえず、これのことはまた今度にしておこうか」


「そうだね、何も起こらないし」


 一応、此処の場所はまた来られるようにマップにマーキングしておいて、人捜しに戻ろう。…マーキング機能ってきっとこう使うんだろうなぁ。






◇    ◇    ◇







 再び人捜しに戻り、人体樹から離れてまた森の中へ。

 捜索に戻ってもやっぱり当てはなく、見つけた場所を手当たり次第に確認していった。


 道中で敵が沸いたり、遠くの方でプレイヤーらしきものが愚痴を言いながら去って行くのを見たりしながらも目当てのものはやはり見つからない。


「あー、何処にいるのさ…」


「流石にそろそろ見つかっても良いと思いますよね…」


「Akari、次はどっち?」


 木に登っているAkariに次の方向を訊く。

 すぐには返事が戻ってこないところを見るに、見つけるのに時間がかかっているようだ。少し待っていよう。その間にマップを確認しておこう。


「…来た道の近くにも空間がありそうだよ」


「……そっちは多分もう見た所だと思うわ」


「え、嘘!?」


 マップを確認して分かったが、見た見てないとは別に、どうやら何処かで方向が逆になっている可能性がある。

 その証拠にマップを見てみると、先程のマーキングの場所の近くから表示されておらず、既にマッピングが済まされている辺りに自分たちが表示されている。

 道と呼べるようなものはないので道を間違えたというわけではないが、軽く迷子であった。


「え、じゃあどうするのさ!」


「マップがあるから、それほど問題にはならないとは思うけど……とりあえずマップを見ながらまだ行っていない方向に進むか、時間のことを考えて一度戻るか…」


「あ、今向こうに何かが見えた気がします!」


 詠の台詞に被せるようにるる。からそんな言葉が出た。


「なになに?」


「何かって何? 何もないけど」


「あれ?」


 るる。は一体何を見たのだろう。

 マップで確認すると、その方角はまだ行っていないようで、何も表示されていないので何かがあるかどうかも分からない。


「…確認の為にその方角に行ってみる? どうせ当ては無いし」


「そうだね。どうせ見つかるまで探し回らないといけないし」


 これで居なかったら今日の所は此処までにしておこう、そう決めて一行は何かが見えたという方向へと足を進めた。

 足を進めても先程目撃したと報告するようなものはこれと言ってない。一瞬だけなら光が瞬いたぐらいと思うが、そう見える可能性がある反射要素も見つからない。


 そろそろ諦めようかとしていた一行の前に一軒の建物が見えた。


「さっき見かけたのってアレ?」


「いえ…違うと思いますけど…」


 目の前に現れた建物は木組みのログハウスだった。

 もしかしたらと思って、鍵もかかっていないようだったので扉を開けてみると、割としっかりとした内装をしていた。内装は有りました。


「誰の家だろう?」


「こんな場所に一軒だけっていうのが何か怪しい…」


 一軒だけなのでターザンの所のような集落というわけでは無く、街から離れたフィールドの中、もしかしたら何かしらの罠だったりするかもしれない。


「…あっちも見てきたけど誰も居ない」


「特に何かが起こる気配もない…ただの一軒家ってこと?…いやこんな場所で只のって言うのも不思議な気もするけど」


「…とりあえず、休憩場所って考えてもいいんだよね」


 そう言って、皆はそれぞれ椅子に座ったりと休憩を始めた。こんなにリラックスされると警戒しているのが馬鹿らしくなってきた。


「んー……あ!」


「何!?…どした!?」


 此方も休もうかと思ったら突然窓の方を見ていたわんたんが声を上げた。


「あれ!」


 それに従って同じ窓から外を確認してみると、ログハウスの裏側、庭のように開かれたスペースの中心に、黙々と腕立て伏せをする一人の男の姿が――


「「へ、変態だ!」」


「第一印象がそれって失礼でしょ!!」


「そうですよ。もしかしたら家主さんかもしれませんよ!」


「そうなると私たちがアウトになるんだけど…」


 家主だろうと無かろうと、私たちが不法侵入をしていることには代わりないんだけどねぇ……。


「もしかしたらアレが探してた人かもしれないし、少し行ってくるわ。行くよAkari」


 残りの三人はログハウスの中から様子を見、詠とAkariがその人物と接触を図る。

 果たして、この人物が目的の人物なのか…


執筆再開したけれど、間隔が開いたことが災いして筆が進まない…

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