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電子世界のファンタジア  作者: 永遠の中級者
翠の大陸 初めてのアップデート
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60 リターン・オブ・ターザン

そういえば、「リターン・オブ・サタン」ってパックがあった気がする。バッツのやつ。

だからって何か有る訳ではないけど。ただ思い出しただけ。

 動きが止まったエネミーたちが全てポリゴンの光となって飛散する。


「戦闘しゅーりょーっと。」


 ターザンが現れてからの戦闘は思っていたより戦い易かった。

 戦い易いと言うよりは、支援魔法を使ったりは無いが、ターザンが威力はそれほどでも適度に援護を行なって、相手を引き付けてくれることが多かったので随分と余裕が持てた。追いかけてくる程面倒そうな相手だったから尚更。


 そして戦闘後、助太刀をしてくれたターザンは例によって森の中へと消えて行った。

 助太刀であって、パーティを組んでいる訳でもなければ、何かを話しに来た訳でもないからね。当然である。


「いや、アジトまで連れてってよ!?」


「またそんな無茶振りを…」


 …などと分かっているはずなのに、現在の目的地が目的地なだけにそんな発言があったりした。

 だからアレは案内役でもないので無理です。


 森の中へとターザンが戻っていってから少し、また一行は仕方ないので自分たちで目的地へと向かって進み出すことにした。

 方向を改めて確認するために地図を見る。

 確認したから気付いたのだけど、先程助っ人をしてくれたターザン、明らかに目的地とは違う方向に去って行ったんだよね…。追わずに確認して良かった。


「それにしても中央から遠かったっけ?」


 遠かったっけ?と訊かれてもその辺りはよく分からない。

 あの時は迷っていたこともあれば、予想外のこともあったりしたので、体感としては色々あって遠いと言うよりは長かった気がする。


「そもそも大陸自体が大きいからある程度遠くても不思議じゃないよ」


「いや、それを言えばそうなんだけど。…というか、それを言ったらこの距離がまだ近い方ってことになるから!」


 それもそうでしょ。

 とはいえ、近い方だと言っても森の中でさらに上下の移動もあるから、疲労面ではそれなりのものではある。


「そういえば、大陸で思い出しましたけど、まだこの大陸をあまり見てませんね?」


 言われてみれば、この大陸に来てから、ターザンに会ったり決闘をしたり新しいシステムに触れたりとしているけれど、まだ大陸の全部を見た訳ではない。(別に以前の大陸も全部見た訳でも無いけど)

 それどころか、あまり触れていないのでは?

 今回はAkariがボス関係のことを言ったりしていない気がするし。


「確かに特に回ったりすることもなく、流れで修練島に行ったりしたからねぇ。この島自体はまだ巡ったりしてないね」


「というか、後追いだから別に回らなくても先には進めるもんね」


 その通りである。

 前の大陸ではAkariの要望で少しばかりダンジョンを回ったりしたけれど、既にそれをしなくても次に行けなくもないようになっているはず。

 次へ進むための場所も既に知っていることだし。だから実力さえあればいつでも行くことが出来ると思われる。


 それに、修練島が追加された今はレベルを上げたいだけならば、ステータスの底上げも出来るかもしれないそちらの方が良かったりする。必然的なのか、大陸全体を回る必要性が低くなっている。


「だけど、何かあるかもしれませんよ?」


 そこなんだよね。

 必要性が低くなっていると言っても、それが全てではないし、実際に行けば何かしらあるかもしれないのは、現実でも電脳でも変わらない。


「それなら、今の目的が済んだら行ってみようか」


 どうせ急いでいる訳ではないので、大陸を歩いてみても別に構わない。


「じゃあスキルが手に入ったら行きますか!」


「…意外とそっち方面に目当てのスキルがあったり」


「そうだった場合は……策士だね!」


「いや何が。」


 そうこう言いながら森を進み、かなり目的地の近くまでやって来た。

 もう少しで見えてくるかなといったところで、風で揺れる木々の音に混じって何かの声が聴こえた。


「…何か聴こえた?」


「聴こえましたね。それも現在進行形で」


 始めは小さかったものが少しずつ、聴こえ易くなってきた。

 この聴こえ方は近付いてきているらしい。


「待てええええ!」


 そんな声と共に一瞬の輝きが見えた。

 木々で隠れてはっきりとは見えなかったが、確実に誰かが居る。


 そして、前方上空の木陰から何かの影が飛び出した。


「今のって…」


「ターザンだよね…」


 ターザンが一行の視界を横切ってからすぐに、今度はプレイヤーと思われる者たちがそれを追いかけては去って行った。

 プレイヤーたちはターザンだけを意識して、追いながら攻撃したりしていた。


 …なんと随分と覚えのある状況であろうか。


「そういえばあんなイベントあったっけ」


「あの人たちも盗まれたのね」


 先程の光景は、詠たちもこの大陸に来てすぐ辺りに出くわしたターザンイベントだろう。

 あのイベントの結果次第で、援護を受けられるようになったりあの場所を利用できるようになるんだよね。今更ながらよく上手くいったものである。


「そういえば、アレって追わなかったらどうなってたんだろう?」


「盗まれてそれで終わりでしょ」


「いや、別イベントの発生条件だったりとか…」


「…特にそういうのは無いと思う」


 盗まれたものによってはそのままにする人だっているから、その辺りで差を作らないように?している可能性もあるかもしれないけど流石に其処まではないでしょう。

 逆に私たちみたいに初見で追って行った人は、その別のものが気付かぬうちに出来ない様になってしまうから。


「あ、見えた」


 話している間にも目的地が目と鼻の先にまで来ていた。

 すぐ近くには上へと昇る為の既に懐かしのバウンド場所がある。


「相変わらず上にあるなぁ」


「そりゃそうでしょ」


 一行は上を目指してバウンドで少しずつ上がっていく。


レベルはまだ上がらぬ。

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