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電子世界のファンタジア  作者: 永遠の中級者
翠の大陸 初めてのアップデート
51/237

48 階層式

ということで今回から31日まで毎日投稿します。

その代わりに年始はサボります。

「にしても、このダンジョンどのくらいの深さがあるの?」


「私が行ったことがあるのは十一階層まで」


「今何階層?」


「四階層入ったところ」


 鉱石を収集する目的のダンジョン探索は地下四階へと進んだ。経験者の先輩によると、このダンジョンはボスダンジョンのように幾つもの階に分かれているようで、何処まで続いているのかは先輩も把握していないらしい。その前までで目的は果たせるから。


 正直な話、私たちもこれ以上は別に進まなくても良かったりする。実は言うと四階に辿り着くまでに目的であった鉱石アイテムは三つ以上獲得しているのだ。

 入って少しした頃に獲得したのと同じように戦闘での戦利品だったり、素手でも出来る採掘ポイントを発見してそこで掘ってみたり、後は道中見つけた宝箱だとかで揃っている。宝箱からもやけに鉱石が出ている気がするがクエストであることが影響しているのかもしれない。

 その結果、今手元には、「ストーンコアル」が四つ、「ブラッドパーズ」という紅くて少し透けている鉱石が三つ、「トーンジェム」というモノクロな鉱石が一つ、そして「黒曜片」という黒曜石という鉱石の欠片が一つの計九つ。十分すぎる収穫だと思う。

 だというのに、さらにダンジョンに潜っているのは何処まであるのかと言うただの興味である。


「このダンジョン、最奥まで行った人って居るのでしょうか?」


「どうなんだろうね。途中で帰ってそうな人達なら何度かすれ違ったけどね」


 そう言う通り、此処まで来るまでに既に二度、プレイヤーのパーティとすれ違っている。そのプレイヤー達はそこまで疲労した雰囲気もアイテムが尽きたという感じも無かったので、途中で目的を果たして帰って来たというところだと予想した。…実際は如何なのかは分からないけど。


「そういえば…」


「どうしました?」


「前に誰かが言っていたのだけど、このダンジョン、地下三十階くらいはあるって」


 先輩が聞いた話ってことは、それを言ったのは攻略組とかトッププレイヤーとかなんだろうなぁ…。その辺りの人なら挑んでても納得できる。


「三十…それ帰りのことも考えたら結構キツイね…」


「だよね。三十で終わりだとしても、帰りもあるから合わせて六十くらい階層を経験してるようなものだもん…」


 俺の前に道は無い、俺の通った後に道が出来る。

 …みたいなことを誰かが言ってた気がするけど、この場合は後ろに安全な道が出来ているとは限らない。通った後でもプレイヤーが居なくとも敵は湧くのだ。湧くものは湧く。

 幸いなのは、時間がかかっていれば敵だけでなく一度取った宝箱も戻っている場合もある為、また回収できるということもあるが。


 などと考えていたが、そういう心配はあまり必要ないらしい。


「多分、十階毎に帰り用の転移装置があるから、区切りのいいところまで行けばそれですぐに帰れる。私も十階でそれを見たから。」


 一応帰りのことも考えてくれているようだ。ただし中途半端な所までの人は徒歩で帰らなければいけないけど。あ、そういえばダンジョンから外に出る転移魔法ってあったね。それなら気にせず帰れるのかな? そもそも使えるのかしら?此処ダンジョンだけど位置は街の中だし…?


「まあ、延々彷徨ってるよりかはマシじゃない?」


 方向音痴は其処まで行くまでに迷うと思うのですが?

 ちなみに先輩曰く、そういった階には確定でレアエネミーが居るらしい。さも番人かのように待っているとか。それレアって言うのだろうか。どちらかと言うとボスじゃないの?


「…また敵」



―――――――――――――――――――


サンドモール / Lv 10

サンドモール / Lv 11

ドグウ / Lv 18

ドグウ / Lv 16

サンドモール / Lv 13


―――――――――――――――――――



 都合などお構いなしに湧いたのは、数匹のモグラともう何度目かの遭遇となる土偶。土偶は相変わらず他よりもレベルが高いけどなんでだろう?

 そんなことは置いておいて、一行は戦闘へと突入する。






◇    ◇    ◇






 戦闘終了。ドロップ品でまたも鉱石アイテムが増えた。落ちたのは黒曜片。鉱石だけど欠片です。


「あれ? もう階段に着いちゃったんだけど」


 その言葉の通り、少し離れたところに次の階への階段が見えた。どうやら気付かぬうちに大きく移動していたらしい。別にこの階にそこまで用があったわけではないのでそれはそれでいいけど。


「どうする?行く?」


「うーん」


「じゃあ、次の階を終えてから切り上げることにしましょうか」


 私がそう言うと、数人が「はーい」と返事をした。なんか…保育士な気分。

 そういうことなので階段を降りて地下五階に。


 五階に降りて来てみると、そこは今迄の階とは少し構造が違っていた。これまでは簡単な迷路を元にした巣穴といった感じになっていたのだが、この階は迷路と言うには露骨な形で、内側への道以外は行き止まりになっているのが行かなくても確認できて、それでいて壁が丸みを帯びているというか、この階自体が円状になっているようだった。


 こんな変わった階層に反応を示したのは先輩だった。


「形状が変わっている?」


「え、そうなの?」


「前に来た時の五階層は他と一緒の形だった。だけど今のこの形は区切りの階層のそれ。」


「レアエネミーが確定で居るって奴?」


「ええ」


 どうやら五階層が十階毎に用意されているという中間地点の内容に書き変わっているらしい。どういうことかと皆で考えると一つの解に至った。考えられるのはこの前にアップデート。それでダンジョンが調整されたのだと。それで十階毎だった中間地点が五階にあるということは五階毎になったのだろう。レアエネミーを増やしたというより、転移装置を増やす目的だったのだろうか? 転移装置は純粋に有難いけど。


「奥に進んで行けばいいんだよね」


「…これなら迷わないかも?」


「変わった形ですね」


 三人が先に言っているので、付いて行くように詠たちも奥へと向かう。

 道が狭いからなのか、そう設定しているのか、道中は敵の姿は全くと言っていい程見当たらない。


 そして曲がる道を抜けて、一行は開けた場所へと出た。その場所の中心では今正に敵が湧いたところだった。



―――――――――――――――――――


クレイドールM(メガ) / Lv 15 (レア)


―――――――――――――――――――



 こちらが挑むのを待っているかのように静かに佇んでいるのはそこそこサイズのある土人形だった。その見た目は此処にくるまでに数回と見た土偶に似ているかもしれない。アレよりもデザインがゆるい。


「…待ってるね」


「…そうね」


「これ、関わるまで待ってくれるのかな?」


「…さぁ」


「待ってくれるんだった少し可愛いかも」


 ………。



――シュッ――――シャッ



「ちょっとぉお!?何しれっと矢を放ってるのさ!?おかげで向こうさん、こっちに来たじゃん!」


「いや、話が脱線してたから、戻す意味でさっさと始めてしまおうかと思いまして…」


「急に思考が雑になってない!?」


 そんなことはないです。

 攻撃があったということでずっと待機状態だった土人形は、こちらを敵と認識し、こちらへと向かってくる。戦闘が始まる。


「あー!もうやるしかない!」


「もともと戦闘するしかなかったと思うけど」


 そう言っている間にもクレイドールMが接近してくる。見た目の材質は土偶と似ているように思えるが、ドグウよりも速度がある。


 接近したクレイドールMは、何処からか出した岩をこちらへと投げて攻撃してくる。一行はそれを逃げて躱す。


「危なっ!?」


 一定間隔毎に投げられ続ける岩を躱しながら各自クレイドールMへと接近する。

 一行がばらけたことでクレイドールMのターゲットも拡散する。そして狙われたのは―――最も近くに居たAkari。


「え! まさかこっち狙い!?」


 距離が近い為なのか、岩を投げるのではなく腕で薙ぎ払うような攻撃に変更してAkariを襲う。Akariには悪いけどこれが結構隙だらけだったりする。


「《フィーア・エンフローア》!」


 スキルの発動と共に、詠を中心として円状に朱色のゾーンが広がる。そしてその中に入っていた全員の武器が炎のように燃えるオーラを纏う。複数の強化を一度に行える範囲型の付与魔法。

 詠は周りの位置を確認してからその中心であろう場所に移動し、唱えたのでこの場に居た全員がその恩恵を得ることが出来た。範囲がどれくらいかまだイマイチ把握していないけど、皆が意外と近い場所に居たから全員に付けることが出来た。


「《スラッシュカット》!」


 スキルの光を帯びたAkariの剣がクレイドールMを斬り裂くとともに、その場所から付与された炎が巻き上がる。攻撃を受けたクレイドールMはよろけたことで反撃は来ない。そこそこ効いてるようだ。

 攻撃を当てる度に行動が止まって隙が出来る。畳み掛けるチャンス。


「《ラインエッジ》!」


「《ブラッシュ》!」


 駆け抜ける斬撃と左右への二連撃、そして接触の度に上がる炎。わんたんとAkariによる連続スキルと付与によって巻き上がる炎でさらにHPは削れる。

 その他にも叩き込まれる連携でクレイドールMの残りHPは僅か。


「…《スパークル・エッジ》っ」


 背後に急接近して跳躍。クレイドールMの後頭部付近でちらついた閃光が、次の瞬間、落雷のようにクレイドールMの身体に突き刺さり、その身体は二つに裂かれて光へと消えていく。

 消えていく土の身体の中心に刀剣を収めるせんなだけが立っている。



【クレイドールMを倒した。】

【☆レベルアップ☆ ポイントを振り分けることが出来ます。】



 戦闘終了と共に経験値が割り振られ、レベルが上がる。そういえば経験値がそろそろだったね。

 クレイドールMからのドロップ品はよく分からない人形だった。先輩に訊いてみたところ本当に人形だった。装備品でもアイテムというわけでもなく、まさかのぬいぐるみ。こんなのもあるんだ。


「さてと、レアが居たんだから転送装置もあるよね。此処から出ようよ」


「そうね。予定も此処までだったし帰ろうか」


 戦った広場の先は初めのようなカーブした壁に囲まれており、それを通り抜けた先に次への階段と一緒に転送装置と思われる変わった床があった。確認を取ったところ間違いないらしいので、皆で地上へ戻るためにその床に乗った。

 乗って少しすると床からの低い音と共に光に包まれた。


レベルこれで合ってたかな?

ステータス変化久しぶりすぎる(;・∀・)



ステータス

レギオン『Celesta Sky』 

詠 / 狐人

Lv 21 → 22

―――

ターザンの同盟者

HP: 110 → 112 / MP: 194 → 197

STR(攻撃力): 25 → 26

VIT(耐久): 25 → 26

INT(知力): 49 → 51

MND(精神力): 57 → 60

DEX(器用さ): 39 → 41

AGI(素早さ): 77 → 81

LUK(運): 27


BP : 22 → 25

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