表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
電子世界のファンタジア  作者: 永遠の中級者
初めてのVRMMOと始まりの大陸
5/237

5 初めてのレアエネミー*

「ミスったな…MPを使いすぎた…まさか序盤にこんなのがいるとは思わねえだろ!」


 一人のドワーフが手頃なサイズの斧を背負いながら駆けている。その後ろからは金ぴかに輝きながらぶよぶよと身体を動かしている大きなスライムが迫っていた。


 ここで一つ説明しよう。ドワーフというのはバランスが取れている基本的な種族の一つではあるが、戦闘より職人系のプレイヤーに多い種族である。その理由はイメージというのもあるが、このゲーム内においてドワーフは所謂最遅アタッカーと言われる種族である。つまり、物理は強いが遅いのである。前線に立てるぐらいのプレイヤーなら相手の攻撃を受けながらも重い一撃を与えるぐらいの強引な戦法もとれるのだが、レベルが低く経験も装備も整っていない序盤では割とモンスターから逃げきれず、集られるということがある。今のように。


「このままじゃ逃げきれねぇな…自己強化ぐらいならまだ使える。いっちょデスペナ覚悟で行くか…?…よし!」


 道具を使おうにも距離を空ける事も叶わないとドワーフが覚悟し、武器を構えて大きなスライムを迎え撃とうと逃走を止めた。その時、何処からか投擲されたであろう何かがスライムにぶつかった。


「ありゃ箒か!?誰だか知らんが助かった!『シャープ』!うおおぉぉぉぉぉ!!」


 相手が怯んだ隙を逃さず、ドワーフは攻撃力上昇を意味する赤い闘気を纏った。そして其処から放たれた力強い一撃は、隙の出来たスライムに突き刺さり赤と黄色の火花が咲く。クリティカルヒットだ。


「意外と遠くまで飛んだねー」

「自分で投げといて言うのも何だけど、あそこまで飛ぶとは思わなかった…」


 ヒットアンドアウェイと言わんばかりにドワーフがスライムから距離をとっている時、暢気な会話と共に飛行箒の主と思われる狐と鬼が現れた。



――――――――――――――



ゴールドスライム / Lv 7 (レア)



――――――――――――――




 あの大きなスライム、レアって書いてあるんですが?金ぴかだから?というかいきなり7ってことは無いんじゃないでしょうか?金ぴかだから?見てたけどさっきの攻撃で二割ほどしかHPゲージが減ってない。金ぴかだから?


「…アレ結構レベル高いよ」

「まぁ金ぴかだからね」

「なにその金ぴか特権!?」


 そんな金ぴか話をしていると先程スライムに一撃を与えたドワーフが二人のところまで下がって来た。近くで見るとこのドワーフは、キャラメイクの時に見たアバターモデルよりも身長が高くスマートな男性だった。


「さっきの箒は君らか?まさか箒が飛んでくるとは思わなかったぞ」

「君らというより詠だけどねー」

「一応感謝する。ちなみに聞くが君たち、レベルはいくつだ?」

「さっき2になったところ」

「まだ1です」

「てことは始めたてか…。なら今は関わらない方がいい。いきなりレアエネミーはキツイぞ」

「もう遅い気がするんですけど!?…あぶな!?」


 話している間でもモンスターはお構いなしに突進してくる。体当たりと単純な攻撃ではあるが、巨体ゆえになかなかの圧がある。当たればさぞ痛いことだろう。ちなみにドワーフの人のレベルは5らしい。


「あの、そのレアエネミーって何ですか?」

「レアエネミーってのは出現確率が低く設定されているが、倒せば何かしらのレアアイテムなどを得られるモンスターだ。俺も出くわすのは初めてだ」

「じゃあアレも何か貰えるの?金ぴかだし」

「金ぴかから離れ…いやいいか。レアにも色々あるらしいが分かりやすいのがアレみたいなゴールド系だな。防御面は硬いが倒せば其れなりの額のファンを得られるらしい」

「ファン?顧客?」

「このゲーム内での通貨だ。まさかまだ確認してないのか」

「「そういえばまだ見てない」」


 そういえばメニュー画面の一部に何か数字が書いていた気がするが、それの事なのだろうか。今確認しようかな?って危な!?気づいたら真横に迫ってた!危ない危ない。ながら回避はやめよう。


「おらぁあ!」


 ドワーフの人が回避をしつつも隙を見つけては攻撃を入れているが、HPがなかなか減らない。そんなことより、逃走に失敗していた割には身軽なステップを踏みますね貴方。それとなくそのことにツッコミを入れると「戦ってみると意外と余裕が出来た。やっぱり決定打には欠けるが」と返ってきた。確かに硬くてなかなかダメージが入らず、攻撃も中々の圧があるが、動きは普通のスライム同様俊敏という訳でもないので案外避けられるから、そこまで苦戦ということはない。ただただ硬い。


「効いてないわけじゃなく少しは削れてるんだ!こうなりゃ、乱打だ!悪いが君たちも手伝ってくれ!」


 流石に時間がかかりすぎることに痺れを切らしたのか、守りを捨てて攻めに出ることにしたようだ。張り付くように敵に接近しては武器を何度も叩き付けている。Akariも真似して何度も叩き付けている。その絵は教育上お見せできない感じに…。

 絵的にあれに加わるのは少し気が引けるけど、削らないと誰かが倒されそうだから仕方が無い。とはいえ一番攻撃力がありそうなドワーフの人であれなのだから、一桁の私だと減ってることもわからないのではなかろうか…。

 二人が狙われないように気を逸らす目的で攻撃してみたが、反応はするが全くHPが減っていない。これ意味あります? まぁ攻撃は全て正面にいた私に来たんだけど。攻撃手段が体当たりだけだから正面にしか攻撃できなかったという考え方もあるけど…。

 その後は酷かった。(絵面が) ひたすら多人数で暴行するという、浦島さんちの子が助けに来そうな状態だった。


「これで…終わりだぁぁああ!!」


 ドワーフが思い切り叩き付けた斧を受け、ゴールドスライムは漸くポリゴン体の光となって砕け散った。三人の目の前にシステムメッセージが表示された。



【ゴールドスライムを倒した。220EXPを獲得しました。】

【☆レベルアップ☆ ポイントを振り分けることが出来ます。】



――――――――――――――


ステータス

―――

詠 / 狐人

Lv 1→ 3

―――

―――

HP: 60 → 70 / MP: 120 → 140

STR(攻撃力): 6

VIT(耐久): 6 → 8

INT(知力): 12 → 15

MND(精神力): 12 → 17

DEX(器用さ): 11 → 13

AGI(素早さ): 15 → 22

LUK(運): 12 → 13


BP : 2


――――――――――――――



 うわ、経験値が凄い入った。

 直前に経験値を得ていた事もあってか配分された経験値にも関わらずレベルが一度に2上がっちゃったよ。ステータスも全体的に上がったけれど、攻撃力は全く上がっていない。ボーナスポイントは好きに振り分けられるらしいから補う意味でこの際攻撃力に振るというのも一つの手かもしれない。とはいえ此れからどうするかは決まっていないから今は置いておこう。

 他を見たら反応的にAkariとドワーフの人もレベルが上がったようだ。


「分けてもおよそ八千F…最序盤にしたら結構な額だな」


 ドワーフの人の言う通り、メニュー画面には今ので獲得した為か七千ちょっととまあまあな金額が書かれてた。それで考えると初期金額は千Fだったらしい。ちなみに分配は均等ではなくドワーフの人が多めに得ている。始めから戦っていた上に貢献度も高いので其れは当然だろう。


「さて、今回は助かった。俺は一度街に戻るが、君たちはどうするんだ?」

「街ってスタート地点の街?」

「いや、この先のネクスだが?」


 ということは新しい街!


「「一緒に連れて行ってください!」」






ステータス

未所属

詠 / 狐人

Lv 3

―――

―――

HP: 70 / MP: 140

STR(攻撃力): 6

VIT(耐久): 8(VIT+2)

INT(知力): 15

MND(精神力): 17

DEX(器用さ): 13(DEX+1)

AGI(素早さ): 22(AGI+1)

LUK(運): 13(LUK+1)


BP : 2


装備

「竹箒」(DEX+1、LUK+1)

「配布シャツ」(VIT+1)

「配布ズボン」(VIT+1)

「配布靴」(AGI+1)




ステータス

未所属

Akari / 鬼

Lv 3

―――

―――

HP: 140 / MP: 70 

STR(攻撃力): 17 (+2)

VIT(耐久): 15 (+2)

INT(知力): 11

MND(精神力): 13

DEX(器用さ): 14

AGI(素早さ): 13 (+1)

LUK(運): 9


装備

「お古の剣」(STR+2)

「配布シャツ」(VIT+1)

「配布ズボン」(VIT+1)

「配布靴」(AGI+1)




BPはプレイヤーが自由にステータスに割り振れるポイントです。

始めはレベル1に対して1ポイント加算ですが、上がっていくと少しずつ貰えるポイントが増えていきます。(予定)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ