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電子世界のファンタジア  作者: 永遠の中級者
翠の大陸 初めてのアップデート
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46 たとえ木の中、土の下

 大樹の中を目指して一行は集落の中を行く。

 大樹を軸にしているからか、森の中だからなのか、これまで訪れた街とは違って自然に溢れた設計となっている。自然に自然に溢れているからといって、ターザンのアジト程ではなく、建造物と自然の調和がとれているとでも言うのだろう。

 だからなのか、集落は広いが人工的な道は割とすっきりとしていたので目的地までは案外すぐに辿り着いた。少し高い位置というのも早く辿り着いた理由の一つだと思う。


「此処から中に入るんだよね?」


 一行の目の前には木の幹に埋め込まれているような木製の扉。


「ええ。」


「それじゃあ行ってみよー」


 一行は扉を押して中へと入る。

 するとそこは以外にも見知った雰囲気の場所だった。


「…これってギルド…だよね?」


「ギルドですね…」


「そうよ。街の中心である場所だからなのか、プレイヤーが一番集まる場所に設定されているの」


 受付や壁にあるクエストの掲示板など、どこからどうみても前の大陸でも見たギルドそのままである。少し違うと言ったら、木の中だからか大陸の雰囲気だからなのか、その辺を意識したような趣となっている。


「なんだ、変わったのがあるかと思って期待したのに見慣れたギルドだったのかぁ」


「ん? ギルドなんだったらアレはなんだろう?」


 空間の趣とは別で少しどころではない違いを挙げるとするならば、それは受付の近くにある入り口である。受付用かとも思ったのだが、受付担当はプレイヤーではなくAIなのでそもそも動く必要性があまり無いのでは?ということになる。

 そうなると何故あるのかよく分からなくなる。


「アレって何? 入れるの?」


「……らしいわね。今も入って行ったし」


 入り口の奥には二つの階段が見えており、上に登る為のものと、下に降る為のものの二つがある。数人のプレイヤーのグループが今しがた入って行ったのは下へと続いている階段。


「ふーむ。構築上、あの階段で辿り着くのはどちらも木の中…なのかな?」


「で、答えはどうなんです先s…先輩?」


 Akari、今先生って言わなかった…?

 だからなのか先輩が一瞬反応しなかったように思えるんだけど。


「あの階段の先はどちらもダンジョン。

下は修行用だったり金策・収集用の迷宮があって、上には次の大陸へのボスダンジョンがあるの」


「え!? こんな安全圏の中でそんなダンジョンとかあって大丈夫なの!?特にボスダンジョンとか!」


 街の中にダンジョンが隣接しているってだけでかなり危険に聞こえる。よくよく考えてみると、この大樹の上に次の大陸への道があるって聞いただけで、街という安全地帯にボスダンジョンがある可能性は大いに考えられたはずなのだが…一名を除く一行はそこに辿り着かなかったのである。

 話を戻すが、街中でダンジョンが存在しているが、そこからエネミーが溢れ出たりするような危険は特に無いようだ。…以前ゲリライベントとして街中に敵が現れるというものがあったらしいが。


「で、あの中に入るのは条件がいるの?」


「ええ。」


 入り口は無造作に開放されているように思えるが、その先に入るには条件が必要と言う。

 まず下の階、先程言っていた修行・金策・収集などを主目的とした迷宮。そこへはクエストの方式で進入可能らしい。要はクエストという通行券を発行して居ればそれがある限り出入りできるという。と言ってもクエストなので目的を果たせばその進入権は消えて、再度入るにはまたそこでクリア可能なクエストを受ける必要があるということである。入場料が必要なあたり、まるで動物園などの何かね。

 次に上の階、ボスダンジョンへはこれはこれまでと同じ鍵が必要である。とはいえ、鍵の件は既に先駆者が解決しているので、こちらは出入り自由となっていると思われるのだが。


「じゃあ、私らも入ってみる?」


「入るにはまずクエストを受ける必要があるでしょ」


「クエストボードはあっちみたいですね」


 あれ? 私はただツッコミを入れただけなのに、流れでダンジョンに入る流れになっているのですが? あれ?


 などと思いながらも一行はギルド内の壁際に位置している掲示板の前へと移動する。そしてそこに並ぶクエストを確認する。


「討伐…収集…どれでもいいのかな?」


「内容を見てみればいいんじゃないですか?」


「それもそうか」


 Akariは言われるがままに手頃な位置にあったクエストをタッチして内容を確認する。


ピッ――。


 クエスト内容を開いたはずのAkariが何を見たのかすぐに画面を閉じた。

 一体何を見たのかと代わりにその画面を開いてみると――



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

討伐:【地の底からの生還者】



ウボァアアアアアア ウギャ ウゲラアア――



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



ピッ――。


 見なかったことにしよう。

 何かおかしい文章を見た気がするけど、周りが何か言っている気もするけど、見なかったことにしよう。お互いの為だよ、うん。


 なので他のクエスト内容を見てみる。今度はクエストタイトルが普通そうなものを。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

収集:【地下に眠る財宝③】

突然な頼みなのだが、俺の代わりに地下へと潜ってほしい。

この街の地下にはまだ知られざる鉱石などが眠っていると噂で聞いた。

ぜひそれで武器を…と思ってはいるのだが、俺は今野暮用で潜れそうにない。

だから頼む。俺の代わりに潜って珍しい鉱石を持ってきてくれ。礼はする。


場所指定:『集落大樹 ラグレシア』地下

目標:鉱石アイテム ×3

報酬:剣武器 他

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 ほぉー。場所指定と言う形で地下に行くことが出来るのね。

 それに内容もバランスも結構いいんじゃないかしら。


「地下を指定してるクエスト見つけたんだけど…」


「あったの? それじゃあそれで行ってみよう!」


 どうやら今から行くらしい。反対する気も無いからいいのだけど。

 クエスト画面から受注を選択して受付の方まで行く。すると、「かしこまりました。こちらですね。」などと入り口に通してくれた。

 ちなみに入り口は開放されているのでそのまま入れるといえば入れるのだが、下へ行く場合は受付に予め言っておかないと連れ戻されるらしい。先程現行犯で捕まった者が居たので。


「…え、行っていいんだよね?」


「いいから早く!」


 こんな感じでなんやかんやありながら一行は大樹の地下部分へと足を踏み入れるのだった。


年末年始の更新をちと考え中

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