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電子世界のファンタジア  作者: 永遠の中級者
第二の舞台 翠の大陸
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41 一難去ってまた一難

「何これ?」


「どう見ても装備品じゃないの?」


「それは分かってるんだど……アレの腹の中から出たと思ってしまったから付ける気が失せる……」


「……売ろう」


「……そうだね」


 先程のワームが落とした装飾品を見つめながら二人はそう思うのだった。


 見た目がアレでもレアモンスターなだけあって、戦った後に得たものはそれなりにあった。まずレベルが上がった。レベルは上がるにつれて経験値が多く必要になってくる。次のレベルアップまですぐだったのもあるが、それを越えてもう次のレベルまで少しの所まで増えた。

 次に先程話していた装飾品。誰でも装備出来て能力値を底上げできる物なのだが、Akariの失言によりお金に変えることに決まった。他の皆も異論はないとのこと。どうやら失言を聞こえていたらしい。


「おっと、忘れてた。こっちも確認確認っと」


 そういえばスキルが増えた。増えていたのは私を含めて、Akari、わんたん、るる。の四人。揃って同じような行動やスキルを繰り返していたような…。

 Akariとるる。は使っていた術技スキルの発展形のようなスキルを。わんたんは新たに短剣の技を。そして私はというと――



――――――――――――――――――――――――――――

〈フィーア・エンフローア〉

 効果:攻撃に炎を伴わせる広範囲版付加魔法。

    自身を中心とした範囲内にいる全ての味方の攻撃に一定時間、【火傷】性質を付加。

 性質:【火傷】

 消費MP:40

――――――――――――――――――――――――――――



 今回に限らず、全員に対して付与魔法を使い続けていたからなのか、〈エンフレア〉の発展形のようなスキルを得た。

 どうやら新しいスキルは範囲内であるなら一度の使用で複数人に作用するらしい。敵には勿論効果はない。消費的に考えると対象が少なければ〈エンフレア〉より負担が大きいが、多ければ軽減される。それに、これなら少しは何度も唱える手間が省ける。そして相変わらず敵が燃える。


 とまあ戦闘後の確認はここまでにして、現在の状況はというと…確認……


「此処何処」


「結構逃げるのに大移動したからねー」


「さっき、ターザン来たからあそこの近くなんじゃない?」


「ターザン、何処ででも助っ人に来るみたいよ…この森だったら多分…」


「じゃあ何処!?」


 このように、またも迷子である。気を付けていたはずなんだけどなぁ…。

 悔やんでも仕方ないので、周囲を見渡してみたり、マップを確認する。マップでは先程の位置からかなり横向きに移動したらしい。ターザンの集落の位置とも離れている。さて、どうしようか…


「時間的にはそろそろ落ちたい所なんだけど…」


「流石にここで野宿は止めない? 方向感覚すら分からないからさ」


「そうね。落ちるのは方角が分かるような場所にしようか」


 とは言っても何処へ向かえばいいのか。


「こうなったらもう一回ターザンイベントを起こすか…」


「起こすって、もう敵対してないけど?」


「なら称号を外してもう一度敵対して貰えば……」


「止めなさい」


「ねぇ、今向こうで何か光らなかった?」


 そう言われてその方向を見てみるが、特に何もな――いや、確かに今光った。あの光り方は何かのスキルだろうか?ということはプレイヤーが居る?


「向こうに誰か居るの?じゃあ行ってみる?」


「でもなぁ…」


 わんたんがやけに渋っている。どうしたと言うのだろうか、と思ったがすぐに察した。それは警戒はするよね。プレイヤーにも様々な人が居るから、行った先に居るのが善人とは限らない。…それと同時にそもそも極悪人が暢気にプレイしているとは思えないけど、警戒は大切。


「どうしたの?」


「見間違えじゃね?」


 考えすぎだった。それ以前の意見だった。


 どちらにしろ行くしかないでしょと半ば意見を無視するような形でわんたんを連れて光の見えた場所へと向かう。プレイヤーであった場合、何時までも其処に留まっているとは思えないので急いで森を駆ける。折角の迷子を打破できるかもしれない機会なのだから急ぎますよ。


 草木を掻き分けて走り、光のあったと思われる場所を探す。

 あれ以降光ることがないところを考えるに、戦闘は既に終わっているようだ。急がなくては。


 一行は戦闘があったと思われる場所まで辿り着いた。だがそこには既にモンスターもプレイヤーの姿も無い。

 一足遅かったかと思っていると、そうではなかったようだった。


「うおっ!?なんだプレイヤーか…――ん?あれ?アンタあの時の…」


 少し離れた位置から声が聞こえた。どうやらまだ近くに居たようだ。

 声のした方を確認すると、そこには二人組のプレイヤーがおり、その片方には見覚えがあった。以前の大陸で先輩に決闘を挑んだ黒胡椒くんことBペッパーだ。なんという偶然か。


「まさかアンタもこの大陸に居たとはな」


 Bペッパーもこちらに(主に先輩に)気付いて思い出したらしい。その言葉には敵意は一切なく、驚きとほんの少しの喜びを感じる。


「お前の知り合いか?」


「ああ。以前に対戦してな。これがまた強くてさぁ」


「へー」


 そう説明されて片割れも先輩の方を見た。

 そんな興味の矛先に御構い無しにるる。は口を開く。


「すみません、私たち道に迷ったのですが、大陸の中心がどっちなのか教えてくれませんか?」


「中心ってことはラグレシアか。いいぜ、俺たちも依頼を終えて戻るところだからな」


「本当ですか!」


「ああ。ただ――」


「ただ?」


「此処で会ったのも何かの縁だ。教える前に俺とひと勝負しようぜ!」


 その発言になんとなく耳を疑った。


ステータス変化なし。

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