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電子世界のファンタジア  作者: 永遠の中級者
初めてのVRMMOと始まりの大陸
4/237

4 初めての…逃走?!*


「スタート地点にしては結構広かったなぁー」

「意外と普通の人も居たのね」

「ほとんどNPCだったけどね」

「…NPC?」

「モブ」

「ああ…」


 とりあえず、他のプレイヤーの後を追う形で町の外を目指しているけれど、皆何処に向かっているのだろうか?そのことをAkariに聞くと「多分次の町に向かおうとしてるんじゃない?」とのこと。そういえばガイドも冒険と言っていた。ならそれが正しいのか。


「こんな直ぐに出て大丈夫なの?時間的にチュートリアルを受けてこなかったのだけど」

「まあ大丈夫だよ。今の所はまだ練習みたいなものだろうし」

「そうなの?」

「最近のは割と次の出来事が起こる迄がチュートリアルだったりする事も多いから」


 その傾向にこの世界が含まれているかという疑問はあるもののそうだと願おう。他のプレイヤーを見る限り、少なくともいきなりゲームオーバーという事は無いようだから。


「そうそう、言っておくけど町の外、フィールドに出たらモンスターがうじゃうじゃ居る筈だから覚悟しておいた方が良いよ」

「モンスターってことは敵?」

「まあ敵だねー」

「例えばあんなの?」



―――――――――――――――



スライム / Lv 1

スライム / Lv 1

ブルースライム / Lv 2


―――――――――――――――



 ぷるぷるしたゼリー状の緑色が二つ、青色が一つ。ぷるぷる揺れながらつぶらな瞳でこちらを見ている。


 町を出た途端にそれらしきものを見つけてしまった。フィールドにちらほらと揺れる何かが確認出来たりするが、あれがモンスターで良いのだろうか。一応頭上にプレイヤーのようなHPと思しき緑色のバーと名前とレベルが表示されてるから生物的な判定ではあるようだけど。


「……本物だねー」

「どうする?」

「襲ってくるなら斬る。来ないなら放っておこう」


 今は無駄な殺生はしないという考えらしい。

 言葉通りに特に武器を構えたりという事も無くAkariはそのまま歩いて行く。進行方向から少しズレた場所にはぷるぷるしたゼリーが存在しているが、構うこと無く横を素通りしようとした。まあそう上手くいく訳もなく、通り過ぎようとしたAkariが青いゼリーから脇腹にタックルを喰らわされていた。


「見事な妨害が入ったわね」


 タックルと受けてAkariがその場で崩れていたけれど、立ち上がって剣をぶん回し始めた。うらぁーって感じで。結局は戦闘に突入した。


 とはいえ戦闘と言われてもどうすればいいのだろうか。Akariみたいにこの箒で攻撃すればいいのだろうか?これ、武器って感じしないんだよね。選んだの自分だけど。…よし、とりあえず見ておこう。

 あ、スライムが真っ二つに斬られた。さっきまでは斬れてもくっついて元の形に戻っていたのに、HPがなくなったのか、そのままポリゴン体の光になって消えていった。


【スライムを倒した。6EXPを獲得しました。】


 突如、視界の上にシステムメッセージが浮かび上がった。そういえば、フレンド登録してるときについでに自分とグループ設定しておいたから、パーティと判断されて何もしてなくても此方にも経験値が入るって言ってたんだっけ?


【スライムを倒した。6EXPを獲得しました。】


 そんなことを考えている間にも次を倒したらしい。残りは青いゼリーひとつだけ。


「ちょっと詠!手伝ってよ!」


 お怒りのようだ。あのまま暴れていても倒せていたと思うのだけれど仕方が無い。あの青いのだけレベルが上みたいだから、分からないなりにも手伝うことにしよう。

 此方に向かってくるAkariを追ってくるブルースライムに対して、箒をフルスイング。ゼリーは球のように転がっていく。こういう飛び方を何と言ったか、サードゴロ?


「貰ったぁぁぁぁ!!」


【ブルースライムを倒しました。12EXPを獲得しました。】


 狐を中心として方向転換をした鬼が飛びかかってゼリーを一刀両断にす。

 なんだろうこの光景…。というか今一瞬Akariから光が出たような?なんかこう…勢いよく破った殻が飛び散るような光が。


「あ、レベル上がった」


 さっきの光はレベルが上がった時に出る演出らしい。…私上がってませんけど?どうやら分けて貰った程度の経験値なので少ないらしい。当然といえば当然か。


「レベル上がるのってどんな感じ?」

「ん?ステータスが少し上がってる。あとボーナスポイントってのがあるみたい」

「ボーナス?」

「レベルでの成長とは別で好きな能力に割り振れるみたい。後回しにしたけど。というか詠はレベル上がってないの?」


 殆ど恵んでもらった身なので。

 最初なだけあって今の戦闘でレベルが上がるぐらいだから、気にしなくとも直ぐに上がるだろう。もしかしたら此処で練習ついでにレベルを上げておけという事なのかもしれない。


 そんな事を考えている間にも次がいらっしゃったみたいですよ?



―――――――――――――――



スライム / Lv 1

スライム / Lv 1

ブルースライム / Lv 2

ブルースライム / Lv 2

ブルースライム / Lv 2

ブルースライム / Lv 2

ブルースライム / Lv 2


―――――――――――――――



 …多くない?

 どうやら先程の戦闘中から少しずつ集まってきていたらしい。近場に居たスライムの配置が集中してきている。


「ちょっと待って!序盤だからレベルはそんなにだけど、多すぎない!?」

「素直にあの数を相手をする必要はないから、逃げるよ!」

「この数は異じょおおおおおおおぉぁああああああぁ!!!」


 幾らそんなに強くなさそうと言っても集団に囲まれれば呆気ないので逃走。三十六計逃げるに如かず。Akariの手を掴んで思いっきりフィールドを駆ける。戻る訳にもいかないのでただひたすらに前へと突き進む。そこは他の種族よりまあまあ速い獣人種。其処まで速くはないが、それでもスライムから逃げるには十分すぎる速さだった。みるみるうちに引き離していき、完全に敵対範囲外へと逃げることが出来た。


「逃げきれた…?」

「そうみたいね…。これからは…弱いままで…三倍以上の数の敵とは…なるべく…戦わないようにしましょ…」

「賛成…」


 疲れた。ゲームの中といっても現実みたいに疲れるのね…。幸いにもこの辺りは敵が見当たらないから少しばかり休憩にしよう。


「意外と次の街は遠いのね…」

「まあVRとかになると現実ばりのフィールドになってくるからね。此れはまだマシな方だと思うよ。フィールドによっては歩きで山越えとかするかもしれないし」

「確かに、そう思うとマシね…。この地形感覚に慣れるのもチュートリアルの一種って事なのかな」

「かもね。大抵の人はノリノリで突き進んで直ぐに次に着くんだろうけど」


 其れはそうだろう。周りを見ればプレイヤーの姿は確認出来て皆自分のペースで進んでいるが、大抵の人は一度も戻らずにそのまま次へと向かっている。戸惑う事が少ないのはチュートリアルを済ませているからだろうか?


「でもチュートリアルがなくても意外となんとかなるタイプで助かっ…ん?何だろアレ?」


 Akariが遠くを見て何かに気付いた。示した先には何かが動いていた。

 なんだろう?何かがこちらに近づいて来る…?走る人型の影とその後ろからなにやら大きな…金ぴかスライム!?


「なにあのスライム!?スライムでいいんだよね!?」

「あのぽよぽよ加減は間違いなくスライムじゃない?…ってそんな暢気なことを言ってる場合じゃなかった。どうする?こっちに向かってきてるみたいだけど、逃げる?それとも加勢する?」

「うぇ!?あー、どうせ巻き込まれるなら加勢の方で!」

「じゃあ……それで!」


 その決断とほぼ同時に、槍投げの要領で放たれた一つの箒がフィールドを横切った。それゆけ、飛んでけ。







ステータス

未所属

詠 / 狐人

Lv 1

―――

―――

HP: 60 / MP: 120 

STR(攻撃力): 6

VIT(耐久): 6 (+2)

INT(知力): 12

MND(精神力): 12

DEX(器用さ): 11 (+1)

AGI(素早さ): 15 (+1)

LUK(運): 12 (+1)


装備

「竹箒」(DEX+1、LUK+1)

「配布シャツ」(VIT+1)

「配布ズボン」(VIT+1)

「配布靴」(AGI+1)




ステータス

未所属

Akari / 鬼

Lv 2

―――

―――

HP: 130 / MP: 65 

STR(攻撃力): 15 (+2)

VIT(耐久): 13 (+2)

INT(知力): 10

MND(精神力): 11

DEX(器用さ): 12

AGI(素早さ): 12 (+1)

LUK(運): 9


装備

「お古の剣」(STR+2)

「配布シャツ」(VIT+1)

「配布ズボン」(VIT+1)

「配布靴」(AGI+1)



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