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電子世界のファンタジア  作者: 永遠の中級者
初めてのVRMMOと始まりの大陸
31/237

31 初めてのボスダンジョン*

24/02/08 加筆修正により、その1とその2を一つに纏めました。なので無駄に長いです。



「そろそろかな?」

「そうね」


 昼を少し過ぎた頃。試しに手に入れたばかりの「初級調理セット」で鳥肉をじゅうじゅうと焼きながらのそんな会話。


 現在地は中央の街(今更だけどセントと言うらしい)の出入り口の一つ。こんな場所で居るのは調理をする場所に気を遣ったというのもあるが、他にも理由がある。


「ちわー。遅くなりましたー」

「こんにちは」

「よっすー。其程待ってないよ。後は…あ、来た」

「お待たせ」

「これで一応揃ったね」


 少しズレはあるものの、タイミング良く同じレギオンとなったメンバーが全員集まった。こうも順調に集まれたのは昨日のログアウト前に今日の予定を決めていたからである。そしてそうまでして集まった理由はと言うと、以前Akariのリクエストから始まった追体験もいよいよ開放戦の舞台となった大陸のボスの住まうダンジョンへと進んだのである。ちなみに目玉のボスは攻略されているためにもう出ない。とはいえ、其れ迄のエネミーは依然と出現するらしい。


「次の大陸楽しみですね」

「その前に大陸の終わりのダンジョンが通り抜けないといけない」


 るる。たち三人も今回の目的には乗り気である。彼女たちは計画などもなくのんびり気ままに遊んでいたのだけど、レギオンを組んだ時にそろそろ大陸の最後に行こうとしていると此方の目的を言うと、行ってみたいと喰い気味で来られたので此度は一緒に向かうこととなった。


「其れで…ソレは?」

「いや…待ってる間する事無かったから」


 未だに焼いた鳥肉を量産しながら応える。

 一応少量ではあるが買ってきた調味料を使っているので何も味はしないという事は無い筈である。ちなみに焼き鳥串ではなく、焼いた鳥肉である。チキンステーキとも言えない。


「味は悪くないよ。一応空腹値も回復してるっぽいし」

「でも効果とかは無いんだね」


 しれっと皆が焼いた鳥肉を食べながら口々に感想を述べている。流石に簡単に焼いただけなのもあって、屋台で出しているような何かしらの恩恵が得られると言った事は起きない。空腹度の足しに出来るだけマシだろう。生だったら足しにも出来ない訳だから。


 皆が食料を消費している間に調理セットを片付けて本題に戻る。


「さて、揃った訳だから此れから向かう訳だけど、この出口からで合っているんですよね?」

「ええ。此処から東の方。正確には北に少し進んで、其処からひたすら東に進んで行けば辿り着ける」


 唯一知っている先輩が手持ちの地図を空中に表示しながら説明してくれる。

 確かに地図には大陸の端の方に何やら大きなものが存在している。此れが目的地のダンジョンなのだろう。話はズレるが地図を空中に表示するのはどうするのだろうか?


 話を戻し、初めて向かう場所ということで、いつも通り先輩は此方の経験を優先して転移スキルを使わないので、街の出入り口付近で貸し出していたプレイヤーの移動用の馬車を一台借りて目的地に向かって走り出した。……借りる際にお金は全員で出し合おうという話だったのだが、Akariがまた合成で所持金を溶かしてやがりましたので周りがその分も支払った。


「こんな移動手段もあるとはね」

「思ってたよりも速いね、馬車って」

「いやコレは流石に速すぎだって!?」


 確かに馬一頭で此の人数を引っ張っている割にはかなりの速度が出ている。先程など、進路上に居たレベルの低いエネミーがAkariの好奇心により犠牲となったのだ。……その後に他の皆で黙祷をしたのだが、その時に獲得したらしい経験値からは何やら悲壮感が漂っていた…気がする。


「そういえばさ…」

「いや普通に話しかけようとしてますけど、其れより速度を落とせぇぇ!」


 それは同感である。このままではいずれ事故を起こす……いや、もう手遅れか…。


 そしてどういう仕組みなのか、ようやくAkariが手綱を弄ると馬の速度は少しずつ落ちていってゆったりとした移動に落ち着いた。見ている限りではゲームとはいえ結構現実寄りの操作性をしているようだ。…そうなると一つ気になるのだが、先程の爆走ってまさか乗ってから少しした時にAkariが鞭を打っていたことと関係があるのだろうか……。


「それでさ、何でレギオンの名前アレになったの?」

「あぁアレ?単に思い付いただけ」


 レギオンの名前に関しましては、始めは学校の名前でも入れようとしたのだけど、それは全力で止められた。今に思えば私たちはそうだけど他の三人はどうなのか知らないからね。(もっと他に問題はあるだろとかは知らない)

 最終的に、Akariが前に言っていたような言葉をヒントに付けてみたのだ。意味は気にしていなかったので変わっているかもしれない。


「其れにしても…結構進んだ筈ですけどまだでしょうか?」

「……見えてきた」


 先輩が言うように馬車の進む先には大きな建物が見えた。其れは旧約聖書にあるようなバベルの塔のように渦が上へと伸びたような形をしていた。街の建物や近場のダンジョンが比べ物にならない程の高さが異様な雰囲気を醸し出している。


 建物の正面入り口迄来て馬車を止める。皆が降りてからしばらくすると乗り手が居ないのに馬車は勝手に来た道を引き返していった。後でどうしたものかと思っていたのだけど心配はいらなかったようだ。


「近くで見ると尚更大きい…」

「さぁて、行きますか!」


 馬車も帰った事で今更戻ると言う事も出来ない(正確には出来るけれど距離が遠い)。覚悟を決めて正面にある入り口から塔の内部に入―――ろうとすると横槍を入れるように目の前にウインドウが表示された。


「何此れ?」


 そのウインドウにはこんな事が書かれていた。



―――――――――――――――――


このダンジョンは既に攻略されています。


転移門までスキップする事が可能です。


スキップしますか?


―――――――――――――――――



 他のダンジョンでは出なかったような情報が表示されている。次へ進むのに必要なのだろう転移門?が存在するらしいボスダンジョンだからこその親切設計なのだろう。

 今回は追体験が目的なので、残念ではあるがスキップは遠慮してそのままダンジョンの中へと入る。


「ほぉー。ひっろ」

「広いけど何も無いね」


 内部には大きな空間が広がっている。戦いを想定しているからか、小さい街ぐらいは余裕であるような広さに対して仕掛けや物と言ったものが一切無い。唯一あるのは上へと昇る階段が奥の壁沿いに存在しているぐらい。


「一応戦いはあるんだよね?」

「ボスのダンジョンは必ず連戦するように組まれてるの。階層を上がる毎に少しずつ強くなって一番上に本命のボスが待っているという仕組み。ちなみに初めの大陸だから此処は三階までしかない」


 静かな空間の中で先輩が説明を終えると同時に、部屋の中央辺りの地面からは、まだ機能していると証明するように続々と骸骨が出現し始めていた。



―――――――――――――――――


スケルトン / Lv 10

スケルトン / Lv 10

スケルトンソルジャー / Lv 10

スケルトンソルジャー / Lv 10

スケルトンウォリアー / Lv 10

スケルトンウォリアー / Lv 10

スケルトンランサー / Lv 10

スケルトンランサー / Lv 10


―――――――――――――――――



 行く手を阻む骸骨の兵隊。骸骨兵たちは細部が少し違うだけで殆ど同じような見た目をしているが、その手には剣やら斧やら槍やら様々な武器を装備している。

 レベルは全て一定だけども厄介なのはその数。こうして観察しているだけでもまだ生まれてきているのが分かる。本来は開放戦として大人数で挑む場所だという事が良く分かる。


「なにこの数、やばっ!」

「このレベルでまだ一階らしいよ」

「これは難関」


 それぞれが数の圧を感じてはいるが、皆想定はしていただけあって静かに武器を構える。そして一人の鬼が刀剣を引き抜いて敵の中へと果敢にも攻めていった。Akariだ。

 Akariは敵の中に飛び込むと、刀剣を振り回して群がる骸骨を弾き飛ばしていく。


「こいつら結構弱そうだよ!」


 そう言うように以前に出て来た骸骨よりもよく吹き飛んではいる。Akariの戦い方がアレなのか、レベルが自分たちより下という事が関係しているのか分からないけれど、HPは前座としては妥当な数値だったりする。立場的な強化かな?

 とはいえ、その度に相手の動きが止まるから戦い易いという意味では間違っていないかもしれない。少数でも戦い易いように敵に何かしらの補正でも掛けられているのだろうか、マイナスの?


 Akariが先陣を切ったことで他の皆も戦闘を開始した。遠距離攻撃が可能な者は後方から攻撃しながら相手の意識を向かせ、近距離攻撃が出来るものはその後ろからの不意打ちも含めて周囲を無差別に攻撃している。近距離要員が少ないことが分かった上での暴れだろう。

 今更であるが、遠距離組の"わんたん"、"たんぽぽ"、"るる。"の三人のレベルを先程フレンド欄で確認したのだが、いつの間にか三人とも私と似たレベルにまで上がっていた。あまり気にしなくとも大丈夫そうである。


「結構簡単かも」

「けど油断出来ない」


 敵には近接が多いから遠距離からちまちま撃っているだけで楽に倒せてしまう。そう思えるけれど其処まで簡単では無い。遠距離からでも反撃はある。何せ骸骨はまだ追加があるのだから。其れも弓を持ったバリエーション。どれだけ種類あるのよ。


 無傷とはいかないけれど次々と骸骨を倒していく。他の皆もそれぞれ戦い易いやり方で敵を倒していく。その度に敵の残骸が飛び散る。ボスのダンジョンとはいえ経験値やドロップアイテムは普通に貰えるらしい。集団の敵ということで経験値も結構な量を手に入れた。


「骸骨だから骨が凄く落ちてますね」

「とりあえず拾っとこ」


 二十体程片付けると、部屋に静けさが戻ってきた。もう追加は現れないようだ。


 戦闘の終了を感じ取り、散らばったドロップ品を皆で拾い集める。経験値はデータ上で処理されているので拾うのは骨ばかりである。此れは此れで困るな。


「連戦って話ですけど次は階段を上がってからですか?」

「ええ。だから回復は今のうちに」

ふぉふはへ(そうだね)

「食べてるし」


 Akariが何時の間にか保存していたらしい焼いた鳥肉を食べているので此方も軽く回復を挟んでから壁に付いている階段の下まで行く。

 これ、丸みのある壁に添うように付いているけど、剥き出し状態のようなものだから足を踏み外せば落ちそうなんですが……。気を付けながら次の階を目指して昇って行く。










 階段を上り終えて二階層に到達する。

 一つ階を上がったと言っても部屋に違う部分は特になく、一階と同じように広さと壁の階段だけ。


「…何も出てこない?」

「どうせさっきみたいに後から湧いてくるんじゃないの?」


 そんな事を言いながら部屋の中央まで歩いたのだが、何も起きない。先程は中央迄行かなくとも敵が湧き始めたのに今回はその気配もない。次に備えての休憩とも思えなくもないけれど、其れだと先輩の説明と矛盾する。どういうこと?


「もうこのまま次に行っちゃえば?」


 何も出ないのなら其れで良いのだけど、何か嫌な予感がする。


「先輩?どうしたんです?上なんか向いて……え」


 Akariがひとり上を向いたまま止まっている先輩に気付いて同じように上を向く。他の皆もそれに釣られて上を確認したかと思うと変なものでも見たかのように固まった。


 皆の謎の状態が気になって上を確認すると―――


              ―――天井付近にぶら下がる大量の蟲が。


「「「「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!!!」」」」


 悲鳴と共に天井にぶら下がっていた蟲たちが雨のように降り注ぎ、その着地点にいたメンバーは皆、全速力で散らばった。落ちてきた蟲たちは当然ながら此方を敵視している。

 威嚇している蟲たちの頭上に情報が表示される。



―――――――――――――――――


スパイダー / Lv 14

スパイダー / Lv 14

スパイダー / Lv 14

スパイダー / Lv 14

スパイダー / Lv 14

スパイダー / Lv 14

スパイダー / Lv 14

スパイダー / Lv 14

スパイダー / Lv 14

コックローチ / Lv 14


―――――――――――――――――



 階が上がった事で敵のレベルが上がっている。ただ一階に比べれば登場の仕方の関係か後から増える気配もなく数は目に見えて少ない。……其れは良いのだけど、なんか一匹変なのが居るのですが!ちょっと、そのカサカサ動くの止めて!!


「……そういえば、次の大陸のエネミーが先行登場することがあるって話があったような…」


 え、それってあの黒いのが次の大陸では普通に出てくるってことなんですか? そこは凄く嫌なんですが!


 そうこうしている内に戦闘は始まった。通常のサイズよりも大きい蜘蛛が周りに無差別に糸を吐き散らす。その糸はプレイヤーを狙っているのか狙っていないのかはっきりしないが、その着弾地点には粘着性のある小さな蜘蛛の巣が出来ており、明らかに此方の行動の障害になっている。後ろから遠距離で攻撃するにしても蟲たちは骸骨の比では無い程に縦横無尽に動いては蜘蛛の巣を増やしているので、避けて嵌まるという事も充分にあるので面倒。


「この糸が邪魔!」

「先に掃除した方が良いんじゃない?!」

「したそばから増やされると思うけど」

「あ、そっち行った」

「っ!?」


 ただでさえ面倒なトラップを展開されているにも関わらず、攻撃と同時進行で蜘蛛の巣の撤去をしていると、不意を突くように黒いヤツが羽を広げて突撃してくる。敵の群れ自体が其れなりに素早いのに、黒いヤツはその中でも特に速い。ヤツに追いかけられるって軽くトラウマになりそうである。しかも此処で先程の糸トラップが邪魔になってくる訳で、とても走り辛い。


「あーもう、鬱陶しい!」


 反撃しようとしたら何処かへ行き、別の相手をしていたら横から突っ込んで来る。鬱陶しいにも程がある。此方の敵意としては蜘蛛よりも黒いヤツの方が高いから早く処理しようとはしているけれど、上手く当たらない。


「だからって雑に炎放たないでくれる!?ビビるから!」


 狙って放ってはいるけれど、中々にタイミングが合わないから、その辺りに軽く火の海を作ろうとしている。蜘蛛の巣も燃えるから良いものの、放った後の炎は味方にもダメージが通るから動きの邪魔になってしまっている。


「でも其の方が早い?」

「周りが巻き込まれないならね!」


 ただ進路妨害になる炎は着実に敵のHPもじわじわと削れている。数で圧されてはいるけれど一体一体対応しているから確実に数は減っている。黒いヤツは相も変わらず速度を落とさずに動き回っているけれど、幸いにも炎が残っている場所も躊躇いなく通過するから地味にダメージが入っていた。


「これ、下手に動くよりカウンター狙った方が楽かな?」

「確かn…あだっ!?」

「…近接ないと厳しい」


 炎が有ろうと無かろうと蜘蛛があまり距離を取らせてくれないので、皆は戦い方を格闘を基本として何とかしようと切り替えているけれど、近接格闘の技術やスキルを持っていないから、元々前衛のAkariと先輩以外は苦戦している。前衛の二人が積極的に蜘蛛を減らしているとはいえ、蜘蛛は嫌らしい事に二人を避けて他を狙ってくる。


「っ!?糸が!」

「そいやぁぁぁ!」

「ありがとうございます…」

「残りは!」


 飛び込み様にAkariが蜘蛛を一刀両断しながら残りを確認する。

 糸を交えながら隙を見つけて攻撃してくる蜘蛛も確実に数を減らし、前で先輩が斬り裂いた一匹が最後だった。そして残るのはアレ――――


「うわっ、こっち来た!?」

「…ていっ!」

「当たってないじゃん!」

「おーい、全力で逃げた方が良いよー」


 Akariが逃げる"わんたん"に向かってそんな事を言った。"わんたん"は何事かと思っただろうけれど直ぐに理解してギョッとした表情を浮かべた。その反応を理解しながらも此方は止めない。


 ドドド、ズガガと奴が居る場所に可能な限り魔法が叩き込まれる。狙いは荒いけれど複数人で交互に打ち込んでいるので誰かしらは当たる。そしてどれかが当たれば動きに隙が生まれて後の攻撃も当たる。そしたらあの黒い奴も呆気なく消滅した。


「やるならもっと早く言ってよ!危ないじゃん!」


 なんてクレームは有ったものの戦闘は終了した。

 戦闘が終わると同時に凄い疲労感に襲われてその場に座り込む。そして目の前には小さな閃光と共にメッセージが浮かび上がった。


【☆レベルアップ☆ ポイントを振り分けることが出来ます。】


 レベルというか敵の姿に苦戦したようにも思えるけれど、此れでこの階は終わり。まだ次の階が残されているけれど、次の階は本来ならボスだけど既に攻略されてもう居ないから追体験は此れで終わりだろうか。


「それじゃあ、次に行きますか」

「でも確か此れで終わりですよね」

「連戦は終わり」


 少し休憩を挟んでから階段を上って次の階へと向かう。


 階段を上ると此処迄とは少し異なり、大きな部屋へと入る前に部屋の壁に沿った通路のようなスペースが用意されていた。通路の脇には部屋に入る大きな扉が用意されているが、扉を少し素通りした位置には金色に輝く四つの宝箱が並べて置かれていた。


「宝だぁー!」

「あ、ずるい!アタシも!」


 宝箱を目にして皆が駆けていく。


「何でこんな部屋の前に宝箱が?」

「其れはボスが居なくなった後の代用品。後から律儀に登って来た人にも何か得られるように。階段を使わないと貰えないから先の二戦と合わせて序盤の稼ぎ場にする人も居る」

「へぇ」


 どうやらボスの部屋の扉は中からは動かせないらしく、スキップを選んでワープしてきた人には回収出来ない仕組みらしい。宝箱の中身は時間で補充されるようで何度でも開ける事が出来るとか。


「おぉ!結構なお金だ!」

「こっちは武器入ってた」


 Akariたちが箱の中身を確認して喜んでいる。其れなりの物が入っているようで登ってきた甲斐はあったらしい。此れなら確かに稼ぎに来る人は居るだろう。


 私も近寄って箱の中身を改めて確認する。其れなりの額のお金、今の装備よりも性能が上のレア装備二種、よく分からない素材沢山、そして…此れまたよく分からないアイテムが三つ。これらは後で平等に分配するとして、最後のアイテムは何だろう? 消費アイテムらしいけれど……


「それはエレメンタルオーブ。使うとステータスを底上げできるもの」

「エレメンタルオーブ?そういえばなんかそんなの持ってたよね?」


 言われて思い出してみると、確かに持っていた気がする。〈新人応援特典〉に含まれていたものの一つだ。だけどこの名前の最後に付いているものが違う気がする。


「色によって上がる能力が決まっているの。その代わりに"透"のオーブは入手し辛い分、上げる能力が選べるの」


 へぇ。オーブの後についている色の名前はそういう事らしい。という事は今手に入った色違いのオーブたちはそれぞれ別の能力が上がるという事らしい。


 宝の回収を終了して、先程素通りした扉から部屋の中へと入る。ボスと戦う事を想定しているので今迄と同じように大きな部屋であったが、下の階とは違う部分がある。部屋の奥に階段で上がる高台があり、その上に光を宿した入り口が用意されていた。


「…アレが転移門?」

「おわ、人が出てきた!」


 私たちが入ってきた扉とは違う場所に、他のプレイヤーの姿が突然現れた。恐らく階層をスキップしてきたのだろう。そのプレイヤーは躊躇いなく奥の階段を上がりそのまま転移門へと入っていく。


「おぉ」


 転移門の使用を目の当たりにしてから、私たちも扉の前へと移動する。


「此処から先は…違う大陸なのですか?」

「そう。これを潜ると同時に次の大陸にワープされる」

「先輩は先がどんなのか知ってるんすか?」

「ええ。でも言わない」

「それは先輩らしいというか」

「まあまあ。それじゃあ……いざ、遥か万里の彼方まで!」

「そんな大袈裟な」


 そんなツッコミを合図に、輝く扉の向こうへと一斉に進んでいった。





今回で始まりの大陸は終了です。

なので現時点でのレギオンメンバーの大体のレベルでも書いておきます。




ステータス

レギオン『Celesta』 

詠 / 狐人

Lv 17



ステータス

レギオン『Celesta』

Akari / 鬼

Lv 18



ステータス

レギオン『Celesta』

せんな / 天使

Lv 12

【道を切り拓く者】

装備「白紙の妖刀 "白月"」Lv16



レギオン『Celesta』 

わんたん / 猫人

Lv 16


レギオン『Celesta』

たんぽぽ / 兎人

Lv 16


レギオン『Celesta』 

るる。 / エルフ

Lv 14



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