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電子世界のファンタジア  作者: 永遠の中級者
初めてのVRMMOと始まりの大陸
30/237

30 初めてのレギオン*

 水のギミックがあったダンジョンを終え、先輩の転移魔法で街まで一瞬で戻って来た。本当にこの魔法は便利だね。場所が限られてるから使い分ける必要があるけれど敵と会わないで帰ってくることが出来るのだから。……逆に言えばエネミーと戦わないから経験値やお金などを稼げないというところがあるけれど。金策と言っていたAkariなんかは其処の所を少し悩んでいた。


 其れで街まで帰って来た訳ですが、ダンジョンでそこそこの時間を使ったと思ったのだけど帰りの移動を一瞬で済ませたことも合わせてまだ遊ぶ時間は中途半端に残っている。とはいえ、此れからクエストやダンジョンに行っても途中で終わらなければならなくなるのは目に見えているので、イマイチ何をするかが決まらない。


「あと少しは出来るけど何する?」

「…じゃあまた合成に……ぐへっ」

「其程稼げてないでしょ」


 すっかりハマったのか、余裕が出来るとすぐに此れである。首根っこを掴んで止めたけれど、止めなければただでさえ少ないお金をさらに減らそうとするだろう。他にもお金が必要になるだろうに。


「そうだ、調理道具ってこの辺りで手に入ったりしませんか?」


 貯まった食材の有効利用として考えられるのはやはり料理。この世界では料理で何かしらの効果を生む事が出来る上、出来が良ければエネミーと戦わなくとも売って資金稼ぎも出来る。だけど其れをするには当然ながら道具が必要。以前に探したときはジャンルが違っているとかで見つからなかったのだ。


「そういったものなら生活用品関係に」


 訊けば、回復薬等の消費アイテムとは別で携帯用ライトやロープといった戦闘以外で需要のあるものは生活用品として売っている場所があるようで、調理道具も含まれているらしい。

 なので早速案内して貰ってその店に行くことにした。


「此処」

「何というか…普通だね」


 案内されて辿り着いた店は以前に通り過ぎた場所に存在していた。其れなのに気付けなかったのは他の民家と然程違いが無い点であった。其れに加えて看板は出ておらず、店と分かるのは扉に掛けられた証明だけ。此れは見逃す。


「昔は品物も少なくて、需要も少なかったから」

「其れはフォローなのかどうなのか…」


 そんな事を言いながら店の中へと入る。

 店の中に入ってみれば、棚や商品の配置が確かに店であった。直前に品物が少ないと聞いていた割にはそこそこの数の商品が並んでいて驚いた。


「こんなに増えてたんだ…」

「先輩も知らなかったんだ」

「あ、あった」


 商品を順番に見ていると、その中に「初級調理セット」といったアイテムが存在した。セットというだけあってフライパンや包丁といった基本的な調理が可能な道具が纏められている。まだまだ足らない道具はあるとはいえ現在所持している食材を調理するには充分で、此れで初級なのだから、上級辺りは何が含まれているのだろうか。

 値段としては使い切りでは無い分回復アイテムよりは高いけれど、手が出ない程ではない。


「へぇー、手入れ用のアイテムとかもあるよ」

「前に先輩が使っていたものと違って使い切りみたいだけど」


 Akariが見つけたのは、あぶら取り紙と小さい砥石のような二つを纏めたアイテムだった。武器にしか使えず一度しか使えないけれど値段はかなり安く設定されている。上位互換を既に知っている身からすれば、調理セットと同じように初級と言ったところだろうか。


「買っとく?」

「緊急用には良いんじゃない?」

「じゃあ買っておこう。

それにしてもアレは無いんだね。前に先輩が使ってた簡易テント」


 言われてみれば、其の手の持っていれば助かるアイテムは此処には並んでいなかった。並んでいるのはどれも初級の部類といえる規模の物ばかり。だけどまだ序盤と思えば仕方が無いのかもしれない。


「あっても高いよ?」

「ぐぬぬ」


 先輩にそんな事を言われて所持金の少ないAkariが静かに諦めていた。変な粘りが無いだけ良いと思おう(なにが)。


 そんな訳で結果として、見つけた「初級調理セット」と手入れ用アイテム数個を購入して其の店を後にした。此れで調理が出来る。近々試してみよう。


「ん? あれって……」


 軽く目的を果たして街中を歩いていると見覚えのある三人のプレイヤーを見つけた。

 一人は人型にしては耳が横に長いが獣人とはまた違うエルフ、一人は髪の色と同じ縦に伸びた耳が特徴の兎人、そして最後の一人は何故か身体を小刻みに左右に揺らしている猫人の三人組。


 気になってよく見てみると三人の更に奥にもう一人の姿がある。なんかもふもふしているからあれも獣人だね。というかアレの見た目、何処かで見た気がするぞ?


「ちわっすー。何やってんのー?」

「…? あ、こんにちわ」


 Akariがよく分からない挨拶を掛けると、その三人の内のエルフが振り向いてこちらの存在に気付いた。それに伴い他の二人も此方に気付いて手を振っている。やはり以前にもあった"るる。"、"わんたん"、"たんぽぽ"の三人だった。


「おひさっす」

「何してるの?」

「いやさ、それがさー」

「いや良いんだ。すまなかったな。気が向いたら何時でもウチのレギオンに来てくれて良いからな」


 事情を訊こうと問いかけて、わんたんが話し始めようとするより先に三人を止めていた男性プレイヤーはそう言って立ち去って行ってしまった。


 あ、今思い出したけれどあのプレイヤーの姿、この間見たレギオン『白虎隊』に居た気がする。こういったゲームだから、よく似たキャラメイクの可能性もあるけれどあのレギオンにあのようなもふもふ感が居ても不思議ではない。


 正体が分かった時点である程度は理解出来てしまった。


「勧誘でもされた?」

「そうなんだよー。よく分かったね?」

「私たちもこの前のゲリライベントの後に誘われてね」


 あの時は先輩が居なかったから断ったけれど、今は皆が揃っているからその手のことを考えても何の問題も無い。


「で、結局レギオンって何?」


 勧誘されたということは認識していたのに肝心の中身を理解していなかった。一体彼女は何だと思っていたのか…。勧誘という言葉から何かしらの団体だとすぐに分かりそうなのに。


「簡単に言うと、サークルみたいな集まりよ。

 ……そういえば、先輩は何かのレギオンに入っていたりするんですか?」


 前に個人イベントを開いていた人とも親しかった事に加え、先まで進んでいた先輩なら何処かに所属していても不思議ではないのだが、訊けば先輩は一度も属したことが無いらしい。


「私は基本ソロプレイだったから」


 ソロ……音楽では独奏とか独唱とかで言われるけど、ゲームでも似たような意味だったよね。ってことは一人プレイ専門ってことか。

 意外と言えば意外だけど、よく一人で静かに済ませてるイメージがあるから割と納得してしまう。


「そのレギオンって、属したら何かあったりする?」

「言われてみれば何かあったりするのかなぁ? 其処の所どうなんですか先輩?」


 Akariが訊いたところ、レギオン専用のクエストが受けられるようになったり、レギオンで使う拠点を買えたりするらしい。あと知っていたのは自分のステータス画面に表示されたりすることだけど、プレイヤーの交流の場というのが大きいようだ。

 其れにしても、拠点を買えたりするのは驚いた。拠点があれば宿を探さなくて良かったりするのだろうか?


「へぇー。

 ねぇ、折角だからレギオン組んどかない?」

「折角だからって……」


 提案は良いけれど動機が雑過ぎる。


「あの、それ私たちも良いですか?」

「いいよいいよ。三人まとめてかかってこーい!」


 その言い方だと戦うように聞こえるのですがそれは…

 そんなツッコミを声に出さない内に、Akariのテキトーでこの場に居る全員でレギオンを組むことになったのだけど……


「それじゃあリーダーは詠ってことで」

「何でよ」


 其処は言い出しっぺのAkariじゃないのかい!


「だって、この中で一番そういうことが向いてそうだもん」


 なんという理由…。それなら歴的にも先輩の方が向いてるでしょと思って其方を見ると、なにやらぼーっとしている最中でした。うん、そう言う人ですよね先輩は。


「分かったわよ。すれば良いんでしょ……

 …其れで?それらの登録はどうするの?」

「それならギルドで手続きが出来たと思う」

「そうと決まれば行ってみよっか」


 Akariに背中を押されながらギルドのある方へと進みだそうとした時、たんぽぽが私たちを呼び止めた。


「名前はどうするの?」


 名前?ああ、『白虎隊』みたいなものか。確かに組むのなら必要よね。

 そう思って他のメンバーの顔を見るが、皆何も考えていなかったようだ。やっぱりこれも私任せか……


「それじゃあ……名前は……」





ステータス

レギオン『Celesta』 

詠 / 狐人

Lv 16

―――

―――

HP: 150 (HP+150) / MP: 247 (MP+300)

STR(攻撃力):20 (STR+16)

VIT(耐久): 20 (VIT+10)

INT(知力): 50 (INT+20)

MND(精神力): 64 (MND+205)

DEX(器用さ): 36

AGI(素早さ): 77 (AGI+10)

LUK(運): 32


BP : 22


装備

「ノーマルアロー」(STR+8)(重複)

「ノーマルダガー」(STR+8)(重複)

「旅立ちの帽子」(VIT+5、HP+50)

「旅立ちのシャツ」(VIT+5、HP+50)

「旅立ちのロングスカート」(MND+5、HP+50)

「ノーマルブーツ」(AGI+10)

「霊宝珠のペンダント」(MP+300、INT+20、MND+200、全状態異常耐性+30%)




ステータス

レギオン『Celesta』

Akari / 鬼

Lv 17

―――

―――

HP: 264 / MP: 156 

STR(攻撃力): 69 (STR+23)

VIT(耐久): 54 (VIT+20)

INT(知力): 30

MND(精神力): 32 (MND+10)

DEX(器用さ): 41

AGI(素早さ): 44 (AGI+10)

LUK(運): 18


装備

「銀の刀」(STR+23、MND+10)

「ノーマルシャツ」(VIT+10)

「ノーマルズボン」(VIT+10)

「ノーマルブーツ」(AGI+10)





ステータス

レギオン『Celesta』

せんな / 天使

Lv 8

【道を切り拓く者】

―――


装備

「白紙の妖刀 "白月"」



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