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電子世界のファンタジア  作者: 永遠の中級者
初めてのVRMMOと始まりの大陸
3/237

3 初めてのVRMMO*

 降り立ったのは何処かの町の変わった形の銅像の前だった。


 電脳世界とは思えない風の匂い。其れに風が肌に当たる感覚。現実のようだけど此処は紛れもない電脳世界。そんな世界にぽつぽつと光が現れる。光の中からは先程モデルで見たようなエルフや犬人が現れてはバラバラな方向へと歩いていった。現れた時の反応からしてあれも同じ新規プレイヤーなのだろう。


 まぁそんなことはさておき、まずは朱里を探さないと。

 そこでふと気付いた。…どう探せばいいものか…。

 今の自分が名前も姿もかなり違うように、向こうも名前も姿も違うはずだ。

出会った端から訊くというわけにもいかないからどうすればいいのだろうか。

…とりあえず掃除でもしよう。丁度箒も持ってることだからね。


 箒で地面を掃くこと、少々。

 軽く掃除をしながら近くの窓に映った姿を見て此処で今の自分の姿を確認した。その姿は作った通りの姿だった。「狐人」を選んだだけあって頭には人とは違う獣耳が立っているし、後ろには設定した通りに尻尾が大きすぎず小さすぎないサイズで三本存在している。通りで変な感覚がある訳である。色も明るめの茶髪で統一されている。後は服装だけが気になるが此ればかりは仕方がない。先程のプレイヤーたちも種族は違えど服装だけは皆同じだったから。


「難しいけど意外と動かせるのね」


 現実には無い尻尾をうねうねと動かす。ある意味電脳世界だからこその利点かもしれない。何に使えるかはさておき。


「もしもし、凛さんですかえ?」


 …誰?


 後ろから声をかけられたから振り返ってみると、後ろに纏めた赤みがかった大きなポニーテールと額から生えた二本の小さな角が特徴的な"鬼"が居た。種族の選択には確かに「鬼」も含まれていたのでこの場に居ても不思議では無い。獣人種とは違って人種の一つなだけあってシルエット的には人と然程違いがない。このサイズ感も見慣れたものがある。というか数分前にも居た。


「…意外な姿にしたのね朱里」

「凛こそ、凛ならヒューマンかエルフ辺りが妥当かなって思ったのにね」


 意外な姿になった朱里と意外と早く合流できた。何故分かったのか訊くと、「ゲームにはしゃがず、黙々と掃除してる変なアバターって凛ぐらいかなぁ?」とのこと。そうですか…。


「その箒どっから持ってきたの?」

「初期装備」

「へぇー、そんなのもあったんだ。ていうかそれ多分ネタ武器だよ」

「ネタ武器?」

「ウケを狙った武器のこと」

「ふーん。そういう朱里は剣なのね」

「本当は刀が良かったんだけどねー。和風な鬼だし」

「あったよ刀」

「え、嘘!?」


 朱里は全てに目を通さなかったようだ。まぁ種類だけは沢山あったから面倒になったんだろうけど。

 …目を通すと言えば、ガイドが最後に特典がどうこう言っていたような。特典ってなんだろう。メニューでも呼び出せばいいのかな?メニュー画面は確か…人差し指と中指だけを立てて軽く振ればいいんだっけ?


 降るとメニュー画面が現れた。その中には複数の項目が並んでいたが、その中の〈メール〉の欄だけ「NEW」と付いていた。それを選択すると画面が切り替わり、その欄の一番上には〈新人応援特典〉と言うものがあった。恐らくこれだろう。選択っと。




―――――――――――――――――


新規プレイヤー参加券を使用したプレイヤーにこのメッセージは送られます。

『GAMERS DRIVE』を始めていただきありがとうございます。

新人応援としてこちらをお送りします。


〈ライフポーション〉×3

〈マナポーション〉×3

〈エレメンタルオーブ"透"〉


運営


―――――――――――――――――




 画面をメニューに戻すと、〈メール〉に付いていた「NEW」の文字が消えた代わりに新たに〈アイテム〉に「NEW」の文字が付いており、開くと新たに先程メールにあったアイテムが増えていた。

 メニュー画面を眺めていて気付いたが、メニュー画面の右上に現実の時刻とゲーム内の時刻が表示されていた。それを見るに現実とゲーム内の時間の流れは違うらしい。


「さっきから何見てるの?」

「あのチケットを使って参加したら特典が貰えるって言ってたから確認をね」

「え、ほんと!?」

「メールを見たらアイテム欄に加わるみたい」

「…ほんとだ!」


 高速でメニューを開いて操作する朱里。

 なんか手慣れてらっしゃる。


「そういえば凛はステータスどんなの?」

「え?」

「ほら、種族によって違うって言ってたから、一緒に組むなら色々とあるから一応ね」

「あぁそういう…ちょっと待って…はい」

「ん?見えないよ?」


あれ?表示してるのに見えない?他人には見えないようになってるのだろうか?

ん?画面の下に〈可視化〉というのがあるけどこれを押せばいいの?



―――――――――――――――


ステータス

―――

詠 / 狐人

Lv 1

―――

―――

HP: 60 / MP: 120 

STR(攻撃力): 6

VIT(耐久): 6 (+2)

INT(知力): 12

MND(精神力): 12

DEX(器用さ): 11 (+1)

AGI(素早さ): 15 (+1)

LUK(運): 12 (+1)


装備

「竹箒」(DEX+1、LUK+1)

「配布シャツ」(VIT+1)

「配布ズボン」(VIT+1)

「配布靴」(AGI+1)



―――――――――――――――


―――――――――――――――


ステータス

―――

Akari / 鬼

Lv 1

―――

―――

HP: 120 / MP: 60 

STR(攻撃力): 12 (+2)

VIT(耐久): 11 (+2)

INT(知力): 9

MND(精神力): 10

DEX(器用さ): 10

AGI(素早さ): 10 (+1)

LUK(運): 9


装備

「お古の剣」(STR+2)

「配布シャツ」(VIT+1)

「配布ズボン」(VIT+1)

「配布靴」(AGI+1)



―――――――――――――――



 見比べてみるとなんというか、まだ最初なだけあって違いは少ないけれど其れでも対称的に思える。ステータスが安定しているという人種に含まれる「鬼」を基準にすれば平均値は10くらいなのかな?それだと「狐人」って本当に極端な能力なんだなぁ。獣人種共通で言えることだけど。


「あ、見えた見えた」

「朱里は名前案外そのままなんだ」

「そういう凛は変えてるんだね?何て読むの?」

「"よみ"ね。凛だと他に使ってる人が既にいるみたいだから」

「私も漢字だったら使われてたな…そうだややこしいし、ここからはプレイヤーネームで呼ぶことにしない?」


 二人で居る時は、そっちの方がややこしい気がするのだけど…。

 まあいいか。ここはゲームだから本名を伏せてても不思議じゃないよね。(隣の本名丸出しを横目に)


「というか…そろそろ行かない?周りはどんどん何処かへ行ってるみたいだから」

「そうだね。そろそろゲームを始めようか!…っと忘れてた。フレンド申請送っておいたから承認しておいてね」


 言われてみれば、メニューの〈フレンド〉の所に先程には無かった筈の「NEW」の文字が付いていた。開くとご丁寧に「申請が来ています」と表示された。だけど此処からどうすればいいの?名前を押してみても変化はない…。あれ、動く?…あ、出来た。フレンド欄に移動させればいいのか。


「それじゃあ、改めて行きますか!」





ゲームが始まったのでここには確認の為にその話の終了時点のステータスを載せます。



ステータス

未所属

詠 / 狐人

Lv 1

―――

―――

HP: 60 / MP: 120 

STR(攻撃力): 6

VIT(耐久): 6 (+2)

INT(知力): 12

MND(精神力): 12

DEX(器用さ): 11 (+1)

AGI(素早さ): 15 (+1)

LUK(運): 12 (+1)


装備

「竹箒」(DEX+1、LUK+1)

「配布シャツ」(VIT+1)

「配布ズボン」(VIT+1)

「配布靴」(AGI+1)



ステータス

未所属

Akari / 鬼

Lv 1

―――

―――

HP: 120 / MP: 60 

STR(攻撃力): 12 (+2)

VIT(耐久): 11 (+2)

INT(知力): 9

MND(精神力): 10

DEX(器用さ): 10

AGI(素早さ): 10 (+1)

LUK(運): 9


装備

「お古の剣」(STR+2)

「配布シャツ」(VIT+1)

「配布ズボン」(VIT+1)

「配布靴」(AGI+1)


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