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電子世界のファンタジア  作者: 永遠の中級者
初めてのVRMMOと始まりの大陸
29/237

29 初めてのキーダンジョン*

「金策するぞぉぉぉぉ!」


 Akariがそう気合を入れて叫ぶ。

 所持金が底をついたと嘆いていたが、そうなった原因は紛れもなく無くなるまで合成をしていたAkari自身である。合成に慣れるには充分だっただろうけれど、資金か素材のどちらかが無くなる迄続けるのはやり過ぎである。

 とまあ、そんな行動理由は置いておきましょう。


 そんな訳で資金稼ぎであるが、単純に稼げる方法として、街を出て此れまでとは違う方角に向かってフィールドを大きく移動している。

 その理由はAkariが先程言った金策……という訳ではなく、先日頼んだことを決行するためである。


「其れで、今向かっているダンジョンってどんな所なんですか?」

「仕掛けを解いて奥へと進むタイプだったと思う」


 今回の目的地は開放戦までの流れの一つ、其処に進む為に必要な鍵があったダンジョンであり、以前に頼んだ開放戦の追体験の為に先輩が選んでくれたダンジョン。

 距離は街から其程遠くは無いようで、敵も多く出る場合はあれどレベル的には今の私たちでも其処まで難しくもないらしい。ちなみに先輩によるとクリアされても仕掛けは健在で毎回リセットされるとかで、また初めから動かしていかないと進めないとか。追体験と思えば好都合か。

 加えて、手間迄戻るものの、其の分宝箱も復元されているようなので何かしらの収穫は期待できるだろう。なお仕掛けや宝が復活していても鍵は復元したりしないと言う。しても今更使い道がないからね。


「あ、アレかな?」


 先行していたAkariが何かを指差した。

 其れは周りのフィールドの景色からは浮いていると同時にファンタジーとしては合っているであろう石造りの入り口だった。


「うん。それ」


 先輩の言うダンジョンとは此れのことらしい。

 ダンジョンの外壁を構成する建材は石や砂壁で出来ており、其れも長い年月が経っているように幾らか崩れ、所々には苔が生えている。水路にでも使っていたのだろう窪みも有ったりするが、今は水が一滴も流れてはいない。

 仕掛けが生きているという話だけどそのようには見えない。


「じゃあ、入ってみますか」


 そう言ったAkariを戦闘に入り口からダンジョンの中へと踏み入る。


 通路は外から見た印象と同じように、外壁や天井に崩れている部分が確認でき、至るところから陽の光が差し込んでいる。自分たちの足音が少しばかり響いていたりと、ダンジョンの中に他のものが居ないかと思う程に静か。


「…何の音?」

「早速来たよ」


 何処からかカタカタという音が響いてくる。

 音の発生源を探していると、正面の陰から此処を住処としているようなエネミーがお出迎えしていた。


――――――――――――――――


スケルトンソルジャー / Lv 13

スケルトンソルジャー / Lv 13


――――――――――――――――


 現れたのは二体の骸骨のパーティー。鍵の為に必ず誰かがクリアしなければいけないダンジョンなだけあってレベルは大したものだ。

 二体の骸骨はどちらもが剣を構えており、小さい鎧に加えて兜まで身に着けている。あれ、下手したら始めたばかりのプレイヤーよりも良い装備なのでは?


「レベルはそこそこだけど相手は二体!三人ですれば楽勝だね」


 そう言ってAkariは真っ先に骸骨の一体に斬りかかった。


 キィン! ガキィン!


 Akariの初撃は見事に相手にヒットしたが、二撃目からは防御態勢になったのか構えた剣で防がれている。その為か、スケルトンソルジャーのHPは削れているがその減りはかなり抑えられている。


「エネミーも防御したりするんだ…」

「人型のものはこの辺りから知能が上がってそういう行動をするようになるの。次の大陸からは基本行動の一つになるけれど」

「ちょっと!援護が来ないんだけど!…ってもう一体もこっちに来た!?」


 明確な敵対行動を取ったからなのだろう、敵の二体ともがAkariに狙いを付けて襲っている。Akariならまだ倒されない程度には対応出来るだろうけれど、素早さはまだしも力はそこそこあるらしい。そろそろ助けないと。


 装備の時点で思っていたが、防御は取るようになっても武器は揃って剣なので、攻撃パターンは近接のみである。それならまずは―――


「《ファイア》!」


 Akariを狙って剣を振りかぶる骸骨の一体の隙だらけの足下に炎を発する。意識外だからか何の回避も無いまま、骸骨が一瞬炎に包まれる。

 まともに炎を浴びた骸骨の一体はHPを削られて、此方の存在を認知する。そして狙いをこちらに変えて走ってくる。此れで分散には成功した。


 其れと今ので気付いたが、耐性がないのか、はたまた装備があれだけだからなのか、魔法の通りは良いらしい。これは早めに終わりそう。


「それじゃあ―――」


 近づかれる前に連続で炎を起こす。的確に狙わずとも進路上に炎を出しておくだけで突っ込んできてくれるからどんどんHPが削れていく。そして目の前に到達した頃には骸骨はポリゴンとなって砕け散った。


 あとはAkariの方だけなんだけど……、先輩さっきから動いてませんね?


「――〈スラッシュカット〉!」


 Akariの剣に光が宿り、骸骨の頭を真っ二つに叩き割った。割られた頭が地面に落ちて光となって消えると、残った身体もポリゴンとなって消えていく。此れで襲ってきた骸骨は片付いた。


「さて、行くよぉ」


 Akariが剣を収めて、勝手に一人で奥の方へと進んでいく。流石に一人で行かせる訳にもいかないので後を追う。

 少し進むと分かれ道に辿り着き、その片側には開けた広場が見えていた。天井が完全に崩れていて広場全体に光が行き届いている。明るさはあるものの砂山が出来ていたり、何か変わったものがあるようには見えないが、其の先にも道が見える。なので此処は通り過ぎて次へと進む。


「其れにしても…」


 確か、このダンジョンは仕掛けを解きながら奥に進んでいくという話の筈。だけど今のところ仕掛けのようなものは見当たらない。ただ、陰になっている部分や瓦礫等があるので見逃している可能性はある。

 一つ、此処迄で気になる事といえば、道という道に必ずと言っていい程ある溝。その仕掛けに何か関係があるのだろうか?


「ん、あれが仕掛け」


 先輩が突然壁際を指してそう言った。その先を見ると、遺跡のような雰囲気としては合ってないような何かのスイッチがあった。

 其れを此方の反応を聞くよりも先に見つけていたAkariが不用心にも押すと、周りから振動音のようなものが聞こえ始めた。そして至る所から水が噴き出し、道の溝へと注がれて水が行き渡っていく。


「やっぱり水路だったんだ。ということはあれが仕掛け?」

「さ、戻ろう」


 溝に水が注がれるのを確認するや、先輩が来た道を戻っていくので其れを追っていく。そして先程の広場まで戻ってくると、水路を流れた水が点在していた砂山を洗い流し、広場の形を大きく変えていた。一つの砂壁がなくなり、先への道が開かれている。


 成程。水を流して道を作るという仕掛けのようだ。でも一つを流しただけでは中途半端なようで、開かれた先にある広場は行き止まりとなっている。どうやらこの仕掛けは少なくともまだ一つはあるらしい。


「それじゃあ、後は頑張ってね」


 そう言って先輩は此処に残るとでも言うように手を振っている。解き方は教えたので後は自力で探してね、というつもりらしい。まぁいいか。


 もう一つの仕掛けを探すために、Akariと一緒に前にあった別の道へと向かう。

 此方の道でも当然ながらエネミーに絡まれる。絡まれたりするもののスイッチの場所は難しくなく、無事に押せたので急いで戻る。急いでいる理由は待たせていると言うのもあるけど、本当は―――


「この数は無理!」


 七体のエネミーから逃げている為であった。

 スイッチを押した頃から四体に狙われていたのだけど、逃げているうちに他と出くわして増えてしまった。


 何とか広場まで戻ってくると、輝く七つの剣が頭上を通り過ぎて追っていたエネミーたちを切り裂いて倒していった。

 その攻撃の主はやはり先輩だったようで、すぐに戻した為一瞬しか見えなかったがその手にはいつもと違う大きな武器が握られていたような気がした。どうやら何処かで追われているのを察して攻撃態勢で待っていたらしい。


「おかえり」


 先程の壮絶な一撃(七発)を放ったとは思えない程、普段通りの先輩に只今戻りましたと言った後、出来上がったであろう道を確認する。予想通り二つ目の仕掛けで道の先が出来上がっていた。塞ぐ砂を洗い流し、足りない足場が水で浮かび上がって補強された事により、奥へと進める。


 奥へと進むともう此処までのような仕掛けは不要なのか、ギミックの無さそうな石材で作られた一つの部屋に辿り着いた。その奥には如何にも何か有りそうな壁と一体化した台座があり、真ん中に丸い窪みが付いている。その両端には宝箱が置かれている。


「その窪みに鍵の一つがあったの」

「…そういえば先輩は此処をクリアしたの?」

「いいえ、素材集めはしたけど鍵は取ってないわ」

「へぇー」


 其れはさておき、此処が鍵のあった場所ということはこれでクリアという事になるのだろう。そうなら、両端にある宝箱の中身を回収してから帰るとしましょうか。


 後で聞いた話だけど、鍵を取ると最後の足掻きとばかりにエネミーが沢山湧いて襲い掛かってくるらしい。鍵が無くてよかった。






ステータス

未所属

詠 / 狐人

Lv 16

―――

―――

HP: 150 (HP+150) / MP: 247 (MP+300)

STR(攻撃力):20 (STR+16)

VIT(耐久): 20 (VIT+10)

INT(知力): 50 (INT+20)

MND(精神力): 64 (MND+205)

DEX(器用さ): 36

AGI(素早さ): 77 (AGI+10)

LUK(運): 32


BP : 22


装備

「ノーマルアロー」(STR+8)(重複)

「ノーマルダガー」(STR+8)(重複)

「旅立ちの帽子」(VIT+5、HP+50)

「旅立ちのシャツ」(VIT+5、HP+50)

「旅立ちのロングスカート」(MND+5、HP+50)

「ノーマルブーツ」(AGI+10)

「霊宝珠のペンダント」(MP+300、INT+20、MND+200、全状態異常耐性+30%)




ステータス

未所属

Akari / 鬼

Lv 17

―――

―――

HP: 264 / MP: 156 

STR(攻撃力): 69 (STR+23)

VIT(耐久): 54 (VIT+20)

INT(知力): 30

MND(精神力): 32 (MND+10)

DEX(器用さ): 41

AGI(素早さ): 44 (AGI+10)

LUK(運): 18


装備

「銀の刀」(STR+23、MND+10)

「ノーマルシャツ」(VIT+10)

「ノーマルズボン」(VIT+10)

「ノーマルブーツ」(AGI+10)





ステータス

未所属

せんな / 天使

Lv 8

【道を切り拓く者】

―――


装備

「白紙の妖刀 "白月"」



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