表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
電子世界のファンタジア  作者: 永遠の中級者
初めてのVRMMOと始まりの大陸
25/237

25 追体験に向けて*

カクヨムに入り浸っている間に1000アクセスを突破していたようです。ありがとうございます。

「さあ、特訓するぞー!」


 Akariがやけに気合が入っている。

 前日の先輩との通話で訊いたことを報告してからこの調子である。今日は先輩が居ないが、望んだ情報を何時か教えてくれると分かっているので、何時でも行けるように少しでもレベルなり技術なりを上げておこうと言うのだ。


「其れは良いけど、何からするの?」

「そりゃあ…」


 まず向かったのは訓練所だった。

 前回一つもクリアする事が出来なかった身体訓練という名のアスレチックにリベンジするらしい。少しとはいえステータスに補正が掛かるスキルを得られるので、Akariの望む体験の難易度が分からない以上必要ではある。まぁ其処まで考えてリベンジする訳では無いだろうけれど。


 身体訓練の部屋に入って、今回は"耐久"の訓練を選ぶ。前回はお試しで"幸運"の訓練を選んで訓練の形式は理解したので、より助けになりそうなものを選んだのだ。


「さて、どんなのだろ」


 "耐久"のアスレチックへと転移され、各自ゴールを目指して進み始める。


 少し進んでみた感じではやはり"幸運"の時とは違ったテイストとなっている。"幸運"の時にはあった仕掛けが見当たらない。運という地雷が無いからかAkariがどんどん進んでいく。だけど代わりに気になる事があった。現在他にも挑戦しているプレイヤーの姿が確認出来るが皆進みが異様に遅い。何故か等と思えば直ぐに原因が判明する。


「うえっ、此れは…!」


 Akariの動きが急激に遅くなった。

 その場所まで辿り着くと、身体に圧されるような力が掛かった。正体は明白。進行方向から強風が吹き込んできていた。どうやらこの障害は、強風に耐えながら踏ん張りの利き辛い足場を進めという事らしい。耐久の方向性が違ってきている気がするけれど気にしない。


 其処からも、要は耐えろという障害が幾つも待ち受けていた。始めの強風に続き、攻撃が飛んできたり、シンプルな足つぼ要素も有った。(なお、足つぼに関しては踏んでいる間ダメージを受け続けて一定ラインまでHPが減ると失格となる仕様)


「もうちょっと…」


 少しずつHPが減っていくのを目にしながら、妨害ギミックを耐えつつ最後のゾーンへと手を伸ばす。そのゾーンに手が届いた時、軽快な音が聞こえた気がした。









「今度はクエストに行こう」


 軽食を挟んで、今度はギルドへと向かった。先程のアスレチックで一応は補正スキルを得たので今度は実戦をしようと言う訳である。

 ちなみにアスレチックは二つ受けていて、DEF補正の〈強靱〉とMND補正の〈不動〉を入手した。MNDである"精神"のアスレチックは主にドッキリ系の多い内容だった。何事にも動じずに進めという感じである。


 此の街のギルドが見つかった。ギルドは大抵の街に存在していて外観は少し違うけれど大きな街だけあって以前の街のものよりも大きなギルドだ。

 早速クエストボードの前へと向かい、張られているクエストを確認する。


「どれがいいかなぁ?」

「…以前のものより少し難易度上がっているわね」

「まぁ、進んだからね。…あ、これなんてどう?【一定数倒す系のクエスト】。これなら経験値稼ぎにいいんじゃない?」

「ターゲットは"ボア"を"十体"……なんだろう、嫌な予感しかしない…」


 ボアという名前から森で追われたことを思い出す。名前的に同じ猪モンスターだろうけれど、流石にあのようなことはないだろうと分かっていても少し不安である。


「大丈夫だって…多分」


 多分って言っちゃったよ…


「まだ発見してないエネミーだから情報はないけど、あの時みたいにはならないって。アレはレアだから大きかっただけで」


 そうなら良いのだけど。


 少し不安は残るものの、色々話し合った後クエストを受注してギルドを出た。

 受けたクエストは、始めに言っていたボアのクエストと討伐系をもう一つ。それに収集クエストの計三つ。まだ周辺のマップデータが完成していないので遠出はせず、全て街周辺のフィールドでこなせるものばかりである。





◇ 





1、討伐系クエスト【猪狩り】。



「エンカウントしてないのに走ってきたぁぁぁぁ!?」

「やっぱりそうなるの!?」


 構図としては狐と鬼を追い回す三頭の猪。


 フィールドに出た後、どれから進めるべきか考えながら周囲を見渡していると、かなり遠くに猪の群れが確認できた。あれが討伐対象で合っているだろう。其処迄は良かった。だけど、どういう訳なのか、気付かない距離の筈なのに猪たちはこちらの存在に気付き、走り出してきたのだ。


「なんであの距離で気付いたのさ!何かそういうスキルでも出てるの!?」

「多分だけど、討伐クエストを受けてるから敵視されてるとかは?」

「そんな馬鹿な!?」


 走りながら原因を考える。討伐系統は見つけ易いように向こうから来る仕様なのだと半ば強引に結論付けて、このままではいけないと反撃に出ることにした。その手始めに走りながら魔法を放とうと手を猪の一体に向ける。だけど、一瞬その行動を躊躇う。


「どうしたの? まさかMP切れ!?」

「…これ燃やしたら怒ったりしないよね?」

「しないから!いいから早くして!」


 Akariに急かされる形で〈ファイア〉を使用する。猪本体ではなく少し前方で発生した炎は小さくも、速度の乗った猪は回避できず頭から突っ込み、身体を炎上させる。目を見る限り猪は以前の奴ほどお怒りではないようだ。


「詠、前もそんな使い方してたよね」

「この方が照準が楽だからね」


 そんな会話はさておき、放った魔法を口火にAkariは刀を抜き、スキルで光を帯びた刃は燃える猪を一刀両断する。二つに斬られた猪の身体は光となって消滅し、その場にはアイテムが落ちる。アイテムが落ちようが、今は後回し。


 続いて向かってきた猪を矢で牽制して、動きが少々鈍ったその隙にAkariがもう一度スキル〈スラッシュカット〉で斬る。弾かれた猪はまだHPが残っているのでもう一度〈ファイア〉で残りのHPを燃やし尽くす。


「次!」


 最後の猪をAkariが刀で横に斬り払うようにして攻撃、転倒させる。其処に矢を立て続けに放つ。そしてあっさりとHPを削り切り、戦闘は終了する。


「これで三体。残りは七ね」


 ドロップしたアイテムは生肉だった。なんか生々しい。ツッコミどころも結構あるけれどとりあえず一つだけ、拾った剥き出しの生肉って衛生上駄目でしょ…。


「…って、言ってたらまた来るよ!」


 Akariの視線の先には次の猪たちがこちらに向かってきていた。数はざっと数えて八。同類がやられているのを見て反応したのだろうか?


 理由はどうあれ、あれを倒せばこのクエストは終わりね。

 ということで…今は走ろう!










2、討伐系クエスト【腕試ししてみないか? (1)】



 してみないか?と聞いてきているがこのクエストの内容は、"受注してからエネミーを累計で三十体倒せ"というもの。種類は問わない。なので数は多いけど他の討伐系クエストと重複させることが出来るのだ。


 先程の猪狩りで十一体倒しているので、残りは十九体ということとなっている。種類は問わないので本当に何でも良く、其処らに湧く敵でも良いのだが、三つ目のクエストの関係上、此処は狙っていく。




3、収集系クエスト【食料を…】



 今回の収集クエストは、採取するのではなく"特定のエネミーが落とすアイテムを一定数集めて納める"というもの。そしてその集めるアイテムはクエスト名でも分かる通り食料もとい食材アイテムなのである。


「これ、さっきの生肉でも良いよね」

「そうね。でも其れだけだと数が足りないからまだ集めないといけないけどね」

「じゃあ、サクっといきますかぁ」


 一つ目のクエストの影響なのか、食材を落とすエネミー(主に猪)とよく出くわすのでこのまま狩り続けよう。結局猪ばかり狩っている気がする。目標数は終わったけどセルフ【猪狩り】。一応言っておきますがこれは動物虐待ではありません。あれは猪に似たエネミーです。










 そんなこんなで、猪を狩り終えてギルドで完了の報告をして報酬を貰う。直ぐに次のクエストを探しながらも休憩していると、気付けばギルド内の人数も多くなっていて少々騒がしくなっていた。だけど基本的には賑やかではあるが、其れとは少し違った雰囲気がこの時にはあった。


「何事?」

「行ってみよっか?」


 謎の賑わいはギルドの端の方からであり、其処には其れなりの人混みがあった。

 クエストボードから離れ、その人混みの中へと向かう。


 すると、其処には―――




【求ム】




 …何が?





ステータス

未所属

詠 / 狐人

Lv 13

―――

―――

HP: 126 (HP+150) / MP: 220 (MP+300)

STR(攻撃力):16 (STR+16)

VIT(耐久): 17 (VIT+10)

INT(知力): 42 (INT+20)

MND(精神力): 54 (MND+205)

DEX(器用さ): 33

AGI(素早さ): 66 (AGI+10)

LUK(運): 27


BP : 16


装備

「ノーマルアロー」(STR+8)(重複)

「ノーマルダガー」(STR+8)(重複)

「旅立ちの帽子」(VIT+5、HP+50)

「旅立ちのシャツ」(VIT+5、HP+50)

「旅立ちのロングスカート」(MND+5、HP+50)

「ノーマルブーツ」(AGI+10)

「霊宝珠のペンダント」(MP+300、INT+20、MND+200、全状態異常耐性+30%)




ステータス

未所属

Akari / 鬼

Lv 15

―――

―――

HP: 243 / MP: 139 

STR(攻撃力): 61 (STR+23)

VIT(耐久): 49 (VIT+20)

INT(知力): 27

MND(精神力): 30 (MND+10)

DEX(器用さ): 37

AGI(素早さ): 39 (AGI+10)

LUK(運): 16


装備

「銀の刀」(STR+23、MND+10)

「ノーマルシャツ」(VIT+10)

「ノーマルズボン」(VIT+10)

「ノーマルブーツ」(AGI+10)





ステータス

未所属

せんな / 天使

Lv 7

【道を切り拓く者】

―――


装備

「白紙の妖刀 "白月"」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ