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電子世界のファンタジア  作者: 永遠の中級者
初めてのVRMMOと始まりの大陸
23/237

23 初めての基礎訓練*

2023/12/07 ある意味新話。後に出てくる内容を差し込みました。


 基礎講義が開かれた部屋を後にした私たちはその足で街の中心とは反対を目指して歩いていた。外へと歩いているけれど街の外に出ようとしている訳では無い。歩いている理由は先程の基礎講義の開催主"ボン師匠"の言葉にある。


「確か、外側に向かえば見つかるんだよね」

「話通りならね」


 其れは基礎講義の終盤。参加者からの質問に応じていた時の事。其れは戦闘の上達や効率上昇に悩む質問だったのだが、その時の回答の一つとしてスキルによる"補正"を挙げていた。其れは所持しているだけで効果を発揮して能力の底上げが出来ると言う事。効果値自体は其処まで高くないけれど、時間があるなら入手しておいた方が良いと"ボン師匠"が勧めていたのだ。戦闘に慣れていない者なら尚の事。


 だから私たちもその補正スキルを手に入れようと、先に行った参加者たちのように基礎訓練を受けられる場所へと向かっている。


「先輩、受けられる場所ってどんな所なの?」

「訓練所は割と分かり易いわ。看板も出ているから」

「でも前の街には無かったよね?基礎の訓練なら開始から早い方が良いと思うけど…」


 確かにAkariの意見は一理ある。幾ら効果は高くないと言っても生存率を少しでも上げられるのは間違いない。街から旅立つ前には持っておきたい筈。

 其れに対して先輩は、「まだ序の口だから?」と確信を持てないながらに答えていた。此処から開放戦に向かったのだろう事や、その後にまだまだ大陸が控えている事を考えれば確かに序の口だろう。


「あ、彼処かな?」


 道に沿って歩いていると其れらしき建物があった。

 其処は此処の街並みとは微妙に異なっていた。木造の多い此の街の中で珍しく石材を多く取り入れており、面積も他よりも幅広く取られている。高さのないバッティングセンターと言えば近いだろうか。(行った事ないけど)

 入り口には訓練所と書かれた看板が設置されている。此処で間違いない。中からは訓練をしているのであろう者たちの気合いの入った声が漏れていた。


「其れじゃあ、私は此処で」

「え、一緒にしないの?」


 いざ中へ入ろうとしていると先輩がそんな事を言った。何故と思ったが考えてみれば、先を進んでいた先輩が今更基礎訓練を必要としているとは思えない。全てを終えていると迄は言わないが必要分は終えていても不思議では無い。


 其れでは後で合流、と思ったが基礎訓練がどれだけの時間が掛かるのか分からない。だから此処で解散と言う事になった。宿は同じなので何時ログアウトしてもログイン場所は一緒なのでその辺りの心配は無い。


「其れじゃあ改めて…」


 離れていく先輩を見送ってから改めて訓練所の中へと入る。


 訓練所の中は思っていたより簡素だった。受付らしきものは特になく、入って直ぐに他のプレイヤーが訓練をしている姿が見えた。先程講義で一緒になったプレイヤーの姿もあった。余所への飛び火を警戒してか幾つかの区画に分けられているから外観程広くは思えないけれど、プレイヤーが殺到している訳でも無いから其処まで気にならない。


「これ、勝手に始めて良いのかしら?」

「どうなんだろ?」


 訓練所と言うのだから施設的なものを考えていたが、雰囲気としては少し整備されている程度の自由空間に思えた。訓練所の中を歩く係員的な存在はあれど、手取り足取り指導しているという感じではない。精々危険行為を注意している程度で訓練自体はプレイヤーに任せている。


「ん?あっちは何だろ?」


 Akariが気になった方向には扉があった。訓練所の奥に存在するその扉からプレイヤーが少なからず出入りしている。気になったので、出てきて休んでいるプレイヤーに訊いてみる事にした。

 

「あの、すみません」

「…んあ?なんだ?」

「あの扉って何ですか?」

「ああ此処は―――」


 訊いてみた結果、どうやら訓練所は手前と奥で分野が分かれているようで、手前のスペースが武器に関する訓練と練習を行う場所で、奥の扉の向こうが身体に対しての訓練を行う場所だと言う事が分かった。あと、訓練はある程度の訓練用プログラムが使用されているらしい。だから係員は必要以上に指導しないようだ。訓練人数の事も有るからだろう。


 教えて貰った相手に礼を言って、私たちも実際に訓練してみる事にする。まずは手前のスペースで武器の訓練である。


「する必要あるのかな?もう十分に使えてるけど」

「武器にも補正はあるみたいだけど?」


 基礎講義で"ボン師匠"が言っていた補正は身体的なものが多かったけれど、武器に関するものも有るとそれとなく言っていた。なので改めて武器の訓練をしておくのも一つの手である。


「んー、ならやるか」


 武器の訓練をするべく、空いている場所へと移動する。

 移動中にちらりと他のプレイヤーの様子を見たが、慣れない武器の訓練以外にも、変えたばかりの武器の試し切りを行っている者も居た。そう言った利用法もあるらしい。


 空いている枠にそれぞれ入る。その入り口に案内のようなウインドウが表示されている。此れを操作して訓練や練習を行うようだ。今回は補正スキルが目当てなので訓練を選択する。すると今度は訓練する武器種の選択が現れる。開始時点の武器選択に比べれば種類は其程無いけれど基本どころはある並び。弓を選ぶと今度は自前の物かレンタルかの選択が。


「持ってない武器でも練習できるのね…」


 試しにレンタルを選択すると近くの台に飾り気がなく色彩の薄い弓と矢が現れた。そして遠くには的が表示された。……その横、視界の端でAkariが前に飛び出して剣を振るっていた。隣の枠も此方とは形が違うけれど的が表示されて其れを相手に練習を開始したようだ。


「さて、其れじゃあこっちも…」


 武器を手に取ると「遠くの的を射る」と目標のようにアナウンスが表示されたので、その通りに弓を構えて遠くの的を射る。此の世界では何度としている行動なのでど真ん中と迄はいかないけれど一発で的には命中した。

 すると表示されていたアナウンスが切り替わり、今度は「動く的を射る」となり、的が上下左右に動き出した。動く方向が上下左右と決まっているけれど速度は大した事はないので当てる事自体は出来た。


「えっと次は…」


 其れからも「動く的を射る(速度上昇)」であったり「〇秒以内に五つの的を射る」だとか、難易度の上がっていく目標を時間を掛けながらも攻略していく。

 そして―――



【スキルを獲得しました】



 一通りの行動を終えた後、スキルの獲得を告げるアナウンスが表示された。確認すると〈弓術〉という弓攻撃に補正が付くスキルが増えていた。タイミングから考えて出される目標を一通り済ませると得られるようになっているのだろうか。


「終わった?」

「一応はね」


 後ろでは剣の訓練を終えていたAkariが待っていた。弓矢と違って接近出来るからか結構早くに終わっていた。「時間が有ったのなら他の武器の訓練もやれば良いのに」と言ったら、今の所は変えるつもりはないと言っていた。

 変わったらその時に訓練すれば良いので強要はしない。全ての武器種がある訳でもなく、もしかしたら其れ以外の武器を使うかもしれないから。


「…と思ったけど、短剣も持ってるんだった」


 Akariに少し待って貰い、一応剣の訓練も受けておく。使用率は低いと言っても一応は短剣を持っているのでこの機会に受けた方が良いだろう。


 そして弓矢よりも早い時間で剣武器に補正が付く〈剣術〉のスキルを得て戻ると、何処から買ってきたのかAkariが何かを食べていた。

 食べ終わるのを待ってから二人で奥の扉へと向かう。そして他のプレイヤーと入れ違いでその扉の向こうへと踏み込む。


「これはまた…」

「何かさっきの所と違うね?」


 その部屋は先程までの訓練の空気とは違い、室内に居るプレイヤーが誰一人として訓練をしてはいなかった。それ以前に入った者の数と居る者の数が噛み合わない。それもそうだろう。入って直ぐに案内の書かれた看板があったが、其れによると訓練は此処で行うのではなく、専用ウインドウを操作して転移した場所で行うようだ。


「幾つかあるわね」

「基本ステータス由来みたいだし、その数だけあるんじゃない?」


 所定の位置に行く事で表示された専用ウインドウを眺めながらそんな事を話す。訓練の選択には耐久や俊敏、幸運まで、確かにステータスの内容に関連したものが並んでいた。


「まぁ、何でも良いから試しにしようよ」

「そうね」


 武器の訓練とは違って他の様子が見られないだけにどういった内容の訓練なのか想像が付かないので、お試し感覚で一つを選んだ。すると少々お待ち下さいというアナウンスの後、その場所へと転移した。


 実際に訓練を始めて、何故転送した先で行うのか理解した。


 明らかに面積が足らない。





ステータス

未所属

詠 / 狐人

Lv 12

―――

―――

HP: 120 (HP+150) / MP: 210 (MP+300)

STR(攻撃力):15 (STR+16)

VIT(耐久): 16 (VIT+10)

INT(知力): 40 (INT+20)

MND(精神力): 51 (MND+205)

DEX(器用さ): 31

AGI(素早さ): 62 (AGI+10)

LUK(運): 26


BP : 14


装備

「ノーマルアロー」(STR+8)(重複)

「ノーマルダガー」(STR+8)(重複)

「旅立ちの帽子」(VIT+5、HP+50)

「旅立ちのシャツ」(VIT+5、HP+50)

「旅立ちのロングスカート」(MND+5、HP+50)

「ノーマルブーツ」(AGI+10)

「霊宝珠のペンダント」(MP+300、INT+20、MND+200、全状態異常耐性+30%)




ステータス

未所属

Akari / 鬼

Lv 13

―――

―――

HP: 225 / MP: 126 

STR(攻撃力): 54 (STR+23)

VIT(耐久): 43 (VIT+20)

INT(知力): 24

MND(精神力): 26 (MND+10)

DEX(器用さ): 32

AGI(素早さ): 35 (AGI+10)

LUK(運): 15


装備

「銀の刀」(STR+23、MND+10)

「ノーマルシャツ」(VIT+10)

「ノーマルズボン」(VIT+10)

「ノーマルブーツ」(AGI+10)





ステータス

未所属

せんな / 天使

Lv 7

【道を切り拓く者】

―――


装備

「白紙の妖刀 "白月"」




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