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電子世界のファンタジア  作者: 永遠の中級者
其れは、紅く燃える強者の大陸
207/237

192 炎魔とは

「へぇ、そんな情報が流れてきたんだ」

「流れてきたというより聞こえた、だけどね」


 施設の中で耳にした"炎魔"というワードが気になり正体を探るべく私たちは娯楽を後にして調査へと向かった。調査と言っても調べる当ては無い。安直に聞き込みをするのが妥当なのだろうか。


「やっぱり聞き込みでしょうか?」

「確かに手っ取り早いけど、もし嘘だったら迷惑かけない?」

「…其れならNPCにでも訊けばいい」

「NPC…知ってるかなぁ?」


 なんやかんやと躊躇いが生まれたものの最終的には効率は落ちるだろうけれどNPCから情報を得るという方針に決まった。NPCには冒険者タイプも居るのでもしかしたら其方なら知っているかもしれない。娯楽の多いこの街にも割と冒険者NPCは来ているので当たってみる価値はある。そうして私たちは順番にNPCに訊いてみた。


 そして訊いてみた結果が此方。


「炎魔…知らないなぁ」

「炎魔って何かのスキルかい?」

「そんな事より此れ買わないか?」


 …と言うようにハズレもハズレであった。最後に至っては面倒事に引っかかりそうになった。やはりNPCに訊いたから中々情報が出てこないのか、そもそも情報自体が個人的なもので一般には意味の無いものだったのか、其れすら判別出来ない。


「内輪ネタだったんじゃない?誰かの呼び名とかさ」

「呼び名にしては何とも中二が喜びそうな…」

「…でも炎魔なんて名前この世界で登場しても不思議じゃない」

「其れならアイテムの略称等でしょうか?」


 宿に戻ってから自由スペースで炎魔についての考察が進んでいく。NPCから情報が少しも得られなかった事が逆に迷走を深めてしまっていて、誰かのプレイヤーネームだとか何かの装備品の名称だとか様々な考えが浮かんでいく。せめてヒントさえ掴められればバラバラの考えも少しは纏まりが出てくるものを。


「へえ炎魔か。やっぱり居るんだな」


 そんな時、宿の店員が唐突に話に入ってきた。まさか入ってくるとは思ってなくて少し驚きもあったが、その口ぶりからして何かを知っているような風ではある…。


「何か知ってんの?」

「あれ、知っていてそういう話をしてたんじゃ?」


 微妙に噛み合っていないが、ようやく情報を持っていそうなNPCを見つけた。折角見つけたので此処は話して貰おう。もしかしたら正確な情報かもしれない。


「知ってると言っても、以前に泊まりに来た人の話を聞いただけなんだが…」

「其れでもお願いします」

「そうかい。その話によれば炎魔ってのは最近出没するようになった特殊な存在らしく、炎帝領域を中心としてこの大陸の何処かに少数だけ姿を現すらしい」

「レアエネミーみたいなものかな?」

「少数と聞くと出会えるだけでも結構なものだが、何やら倒すと良いことがあるらしい」


 成る程。その説明を聞いて幾らか納得出来る。炎魔が結局はエネミー的な存在で倒せば利益が生じる。其れに加えて数も限られているとなればあの慌てようも納得でき、あの冷静な返しも理解出来る。しかし残念ながらその利益についてまでは店員も知らなかった。まあ聞いただけなのだから仕方が無い。逆に此処まで情報を持っているなら良い方であろう。気になっていた事は大体分かったのだから。


「いつ頃からそんなのが現れるようになったの?」

「そうだな、おっと、そういえば誰かが倒されてから見かけるようになったとか言ってたか?」

「誰か?…もしかして」


 店員は誰なのか検討も付いていないようだが、大陸全体を移動する存在の切っ掛けになりそうな存在と言えば、やはり大陸ボスぐらいだろう。そう考えると炎魔が現れだした切っ掛けは大陸ボスが撃破されたタイミングという事になる。思ったよりは直近という訳では無いけれど昔と言う訳でも無い程度の時間は経っていた。情報が中々得られなかったのは、広まりきっていない微妙な時期だったからなのか。


「おっと」


 話が殆ど終わったぐらいのタイミングで建物の中に新たな人物が現れた。其れによって店員は情報提供から本来の仕事へと戻っていった。


「まあ此れで炎魔についての謎は解けたわね」

「要はボーナス要素って事だったか」

「ボーナス…なんでしょうか?」


 倒すと良い事があるとしても、その対象があまりに強かったらボーナスという感じではない。ミイラ取りがミイラになる流れで欲を出した者から迎撃されるだけである。大陸が大陸なだけにその可能性はある。


「…謎は解けたけど此れからどうする?炎魔を探す?」

「探してみたい気はあるけど…」

「流石に厳しいですね」


 炎魔を探すとなると大陸を大きく移動する事になる。ヒントも無く探し回るのはかなりの手間が必要となる上、移動範囲の中心には炎帝領域が含まれている。だから炎帝領域に耐えられないうちは探すというのは難しい。なので探そうと思うならまずは炎帝領域をクリアしなければならない。


「結局進めないといけないものは変わらないか」


 進めるべきものの順序は変わらなかった所で炎魔の話は切り上げて私たちは再び娯楽へと戻ることにした。何処かへ行くとなるとやはり耐性を手に入れておかねばならないのでその為に稼ぎに行く。耐性で固めるとまではしなくともせめて人数分は用意しなくては。



 ちなみに、今回もスキルは出なかった。他のメンバーは出たとか出なかったりだったのに。





【独り言】

ろっくんろー

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