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電子世界のファンタジア  作者: 永遠の中級者
其れは、紅く燃える強者の大陸
191/237

177 鉱山集落 エンサン

【独り言】

ガーディ…お前…ゆるいな…(本編に一切関係ありません)


 さて、改めてこの集落を見て回ることにしよう。

 この鉱山集落エンサンは恐らくこの大陸で最初に訪れる事が出来る町であろう。街路は整備されておらず広すぎないのに高低差で疲れそうでは有るが、最初に訪れるようにしているだけあって基本的な施設は存在する。まぁどれも外観的には変わらないので間違えやすいのが玉に瑕。


「此処もお店っぽいね」

「此処は…アクセサリーかな?」


 商店は建物の都合が入っているのか大きな街のものと比べると扱っている物が幾らか細分化されている。例えばアイテム関係ならば回復ポーションだけであったり使い切りのアイテムだけであったりする。なお、細分化されていると言っても全てが揃っている訳でも無ければ種類も最低限があるだけで其程幅はない。全てを揃えれば集落全体が商店になるからだろうか。


「折角だ、此処で色々試すか!」

「おうおう、元気だねぇ」

「誰か此処に置いてたハンマー知らねえか?」

「うあっち!?」


 近くから熱の入ったそんな声たちが聞こえた。


「アー?」

「やたら気合いが入ってるわね」

「鍛冶場盛り上がってんねー」

「ああいう方には良い環境なんでしょうか?」


 こういった地形の場所だからなのか、此処で鍛冶をして自作装備を強くしようというプレイヤーがやたら目撃される。自作だと安定して生み出せない上に失敗が続けば購入よりもコストが高くなりやすいが市販より高めの物を用意する事は可能。新しい環境に合わせて強化しようという考えもあるだろう。環境としてもこの集落の周辺は素材になりそうな物に割と恵まれているので製作意欲でも感化されたのだろうか。


「まあ、環境としては良いだろうね。何たってアレがあるし」

「…アレって入れたんだ」

「彼処に見えてるからね」


 鍛冶の意欲が湧くプレイヤーが居ても不思議はないだろう。何せ、鉱山集落と言う名前の通り此処には鉱山がありその内部への入り口もきちんと用意されているのだから。というよりその存在を中心としてこの集落が生まれたのだろう。

 鉱山への入り口は集落の奥に存在し、其処だけは他よりも整備が為されている。鉱山への出入りは自由なのかプレイヤーやNPCが出入りしている光景が離れていても確認出来た。ある意味この鉱山がこの集落の名物のようである。


「折角だから行ってみる?」

「どうしますか?」

「…いいんじゃない?」

「何かあるかも知れない」


 鍛冶に意欲的と言う訳では無いが鉱山の中を見てみる事となった。私を含め鍛冶スキルを持っているメンバーも居るので素材が入手出来ても良いが、それ以外に何があるのかと興味があったのだろう。

 集落の奥へと向けて歩き出し、鉱山の入り口まで辿り着いていると思いの外入り口が大きく、覗ける内部も人の手が入っていて明るくされていた。


「ほー」

「アー」

「…此処からだと分からないけど結構深そう」

「地下に潜る感じなのかな?」

「でもあの梯子、上に続いていませんか?」


 入り口で止まって各々見える範囲での感想を述べる。そんな事をしていたからか、近くに居たツルハシを杖のようにして構えていた人が声を掛けて寄ってきた。やはり邪魔だっただろうか。


「君ら見ない顔だな。うちの鉱山に入るのは始めてか?」

「はい。先日此処に来たばかりで」

「現地の人?」

「おう。俺はかれこれ二時間は此処で此処で採掘をしている」

「たった二時間かい!?」

「はっはっは。冗談だ」


 がははと笑う現地人。思ったよりは接しやすい人のようである。失礼ながら一瞬だけどツルハシで追い返そうするのではと思ってしまった。そんな心配は全く必要なかった。

 現地人は其れから親切心でこの鉱山についての話を始めた。此処の鉱山は何層かに分かれているようで、その全ての層で資源を採掘出来るという。たた当然ながら資源は無限にある訳では無いが時間が経てば再び地表に現れるだとかで、完全に枯渇する事は無いらしい。「其れは本当に鉱石ですか?」等とは思ってはいけない。


「それから注意事項だが、」

「マナーなら分かりますよ」

「其れもだが、此処では一部の層に二種類のエネミーが存在するから気をつけるように」

「「「二種類のエネミー?」」」


 人の手が加わっていると言っても一応此処にもエネミーは発生するらしい。だけど説明によると全てのエネミーが敵対している訳では無いらしい。此方としては従者のカゼマチが居るのでそのような存在が混じっていても驚く事では無い。説明の続きを聞くと、二種類の内の片方は友好エネミーに分類され集落とは隣人の関係であり内部でも働いているようなので下手に敵対されると困るらしい。そしてもう片方は通常通りの敵対エネミーであるが此方は出現率が低いようだが、出現パターンの殆どは鉱石などに紛れての奇襲らしい。

 つまり言いたいことは、友好エネミーは攻撃せず、奇襲には気をつけろとの事。敵対エネミーは出現率が低いのだから基本的には構えなければ問題は起こらないだろう。


「そういう事だから中では慎重にやるんだぞ」

「はーい」

「あ、道具は貸し出せるがどうだ?」

「お借りします」


 もう既にこの鉱山を名物にしているようで入り口から入って直ぐの所でピッケル等の道具の貸し出しや買い取りが行われていた。どちらも当然ながら金銭が必要。ちゃっかりしている。手持ちでも採掘は出来るが限度はあるので此処は案内に従ってピッケルを借りる。

 ピッケルを借りた後、鉱山の内部へと進んでいく。少し進むと広場のように掘り進められた空間があり其処の壁際でプレイヤーやNPCが採掘を行っていた。その近くではエネミーが鉱石を運んでいるが誰も止めない所を見るに、先程話に出ていた友好エネミーなのだろう。


「ヘルメット付けてんねぇ」

「此れなら分かり易いんじゃない?」

「アー」

「……。」


 同じエネミー故か、カゼマチが一声鳴くと友好エネミーが反応して近寄ってきた。友好エネミーはどれも仕事を意識したようなヘルメット姿をしているが、近くで見てみると同じ種類ではあるけれど一匹一匹微かに違いが見られる。表情であったり中には玄人のような貫禄を持つものも居た。随分と個性的だ。

 友好エネミーはカゼマチと少し戯れた後、作業員に呼ばれて別の所へと向かっていった。その向かった先には道や梯子がある。梯子は上へと続いていて道はカーブを経て下へと向かうようだ。


「どっちにも広がってたね」

「…他の場所で敵対が出てくる感じ?」

「そうなると此処は一先ず安全と言うことになる」


 先程の注意事項でも"一部の層"と言っていたので内部全体で奇襲の恐れがある訳ではなく安全圏も存在はする筈。入り口に一番近い此処が其れに該当するかは定かではないが。


「それなら此処はのんびりしながら出来るね。折角だから一つやりますか………ハズレ引いても皆居るし…」

「巻き込む気満々か!?」


 わんたんが周りに倣ってピッケルで岩壁を叩いた。一度や二度では何も起きず何度も岩壁を叩くと岩壁から光る物が零れて足下に流れた。輝きを失って何かはっきりと見えるようになった物を拾い上げる。


「此れ…コイン?」

「…お金だね」


 岩壁から零れたものは鉱石ではなく何故かこの世界の金銭だった。しかも今拾ったコイン一つだけでなく少量だけど纏まって出ている。この金銭は問題なく使えるようでそのまま所持金に加算する事出来た。


「え、マジ!?お金出てくるの!」

「…だけどそんなに額はない」


 流れ出た量に反して加わった額はほんの少しだったのだけど、わんたんはそんな事気にせずに採掘を再開した。そんな様子を見て友好エネミーも手伝おうとするように近寄ってきた。


「素材以外も取れるみたいですね」

「この様子だと他にも出てきそう」


 軽い気持ちで入った割には、今ではノリノリでピッケルを振るっている。この辺りは既に取り尽くされている可能性もあるけれどそんな事は告げず、その姿を見守る。はてさて一体何が見つかることやら。





【独り言】

頂いた感想というか誤字報告を今更ながら見て、此れまた今更何ですが、誤字報告とか開示設定とかあったんですね

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