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電子世界のファンタジア  作者: 永遠の中級者
初めてのVRMMOと始まりの大陸
17/237

17 初めての手入れ*

11/19 地味にサブタイトルが変わりました。

    旧「初めての隠村」とかそんな名前

 貴重な装備が増えた個人イベントから其程時間が経っていない中、私たちは事前に情報を手に入れていたクエストを探して隠れた村へと向かう事になった。…なったのだけど、流石に準備が必要だから少し待って貰う事になった。


「弓武器ってそういうのも必要なんだ。面倒だね」

「他と違って離れていても攻撃出来るから、こういう部分でバランスを取ってるとでも思っておこう…」


 準備というのは何を隠そう矢の補充である。攻撃をする度に減っていくのは当然ながら、先程のクエスト中に矢を使い果たしてしまい、弓で攻撃が出来ない状態となっているのだ。弓を買い換えれば新しい矢もセットで貰えるが、一々購入していては所持金が無くなってしまうので出来れば矢だけを補充する術を知っておく必要がある。


「手入れという意味では他の武器にも大差ない」

「え?そうなの?」

「武器や防具にも耐久値があるから手入れをして回復させないと何時かは壊れるから」


 どうやら弓だけでなく全身について考える必要があるらしい。


「その手入れってどうするの?」

「在り来たりなのは、その手の職人や武器屋でお金と引き換えに修復を頼む方法。もう少し先に進めば工房を借りて自分で手入れも出来たり、こういうアイテムで出来たりもする」


 そう言って先輩は工具箱のような物を出していた。訊けば其れは決まった回数装備の手入れを出来るアイテムのようで、ある程度進むと購入できるのだとか。「其れがあるなら良いんじゃ…」とAkariが言ったけれど止めておく。先の事を考えれば必須に近い情報だと思うから。


 そんな訳で私たちは以前にも訪れた事のある装備屋へと向かう事にした。既に場所を知っているというのもあるけれど、訊けば手入れのやり方にはそれぞれの利点があるらしい。職人プレイヤーに頼んだり自分でする場合は技術次第で一定時間の追加効果等が生まれる場合があるようだけどその分当然ながら時間が掛かるが、その手のお店のNPCに頼むと追加効果は無い代わりに手早く済ませてくれるらしい。だから時間があまり無かったり手入れの必要な装備が多い場合はNPCに頼むのも一つの手らしい。

 あと話がズれてきているけれど、矢の補充も同じような扱いのようで、少しのお金で補充をしてくれるらしい。これに関してはプレイヤーには頼みづらい。無理を言っているようで。


「此処だよね」


 店内に入ると以前と同じように剣や鎧が飾ってあり、奥のカウンターに店員が変わらず居た。他の客が居る中を通って店員の下へと向かう。


「いらっしゃいませ、何をお求めでしょうか?」


 マニュアルのような言葉を聞いてから、武器の手入れについて訊いてみた。すると「専門ではないのですけども…」と渋るような感じではあったけれど、一応は引き受けてくれるようだった。私とAkariの装備を幾つか外して試しに渡してみると「少々お待ち下さい」と言って裏へと消えていった。


「先に言っておくけれど、ある程度の修復だから一回で完全回復とは思わないこと」

「専門ではないって言ってましたからね」

「まぁ半分くらい回復してたら良いかな」


 其程時間も変わらずに店員が戻ってきた。確かに仕事が早い。そして預けた装備が手元に戻ってきた。装備し直しながら手入れをした装備を確認すると預ける前に目を通した時よりも明らかに耐久値が増えていた。(武器が思ったより減っていた事の方が驚いたけれど)


「其れから矢の補充も頼みたいのですけど」


 そう言って矢が入っていたケースを渡すと装備よりも早くに戻ってきて、ぎっしりと矢が詰められた状態で返ってきた。費用を考えると、一つ上の装備があるのなら其方に切り替えた方が良いのかもしれない。無かったらこれでも良いかも知れないけれど。


 それらに対しての金銭をきっちり払って私たちは装備屋を後にした。此れで装備に関しての準備は完了した。目下の不安は取り除かれたのである。


「そういえば用は装備屋で終わったけど、工房は無いの?」

「以前に見て回った時はそれらしい場所は無かった気がするけど…」


 工房と言うのなら金属等の素材加工をしているだろう。だけど加工の際に出るような音は響きそうだというのに街を歩いている間に耳にした覚えが無い。もしかしたら思っている以上に静かな作業なのかもしれないけれど。


「なら、多分無いと思う」


 先輩が言うには、先の街には鍛冶場や工房があった事から、最序盤ではまだ出来ない要素では無いかという。製作には素材の仕入れ等も必要となってくることから技術の育成よりまずは自身がある程度渡り歩けるようにした方が良いだろうという考えなのではないかと。


「ふーん。まぁ無いなら仕方ないよね。それじゃあそろそろ行こうか」


 向かい際に見当たった屋台から食事を購入して食べながら、私たちは改めて件の村へ向けて街を出た。


 村への道は広大なフィールドをひたすら歩く。乗り物などがあればどれだけ助かるだろうか。エネミーが居るから事故必須みたいなものだけど。Akariに言わせればRPGの醍醐味らしい。Akariには悪いけれど此れから移動手段は少し考えようと思う。


 歩いていればエネミーも当然現れる。時に戦闘を挟みながらその移動中、先輩に村のことを少し教えて貰う。


「え、お店とかは無いんだ?」

「今から行く村のようなプレイヤーが拠点にすることを想定していない場所には大抵のお店は無いの。イベントやクエストが発生する場合があるから宿はあるけど、住人は殆どNPCだから」


 まあ確かに全ての街に同じ店があるとは限らないし発展具合なども異なるから、小さな村にお店が無くても納得できる。現実だってそんな地域差は有ったりする。

 先輩曰くこういう場所は至る所に存在するらしく、大抵は中間地点的な扱いをすることが多いらしい。なお、こういう場所には何かしら要素が隠されていたりするのがお決まりとAkari談。


「ねえ、ねえ、人種しか受けられないクエストってどんなの?」

「…忘れた」

「え…」

「でも…人種しか出来ないってのは、そういった制限のかかった場所へ行くんだったと思う」


 そういう理由なんだ。それ以外に何があるのかと訊かれたらよく分からないけれど。


 其れからも進み続け、少し迷いはしたものの、ようやくそれらしき村を見つけた。

 其処は山の手前にあり、周りは木に覆われている。隠れた村と言うだけあって、ぱっと見るだけでは見つけられないだろう。私たちも大回りしてやっと目視できたのだから。そもそもこちら方面は次の大陸に真っ直ぐ目指すのであればあまり訪れることのない場所らしい。


「此処?」

「そう。…それじゃあ頑張ってね?」

「え!?来てくれないの」

「私たちは種族が違うから」


 まぁ確かに受けられるのは人種だけだから、この中だとAkariしか受けられないし、此方は助太刀も出来ない。その間暇だなぁ…


「ぶー、ぶー」

「大丈夫。村に入ったら一番奥にある他とは少し違う建物で村長っぽい人に話しかけてその中で引き受ければイベントは発生する」

「え、えっと?奥?」


 急に手順を言われたその様子は分かりやすく、頭に?マークが浮かんでいるのが見えた気がした(このゲームにそんな機能は無いと思う)。本当に大丈夫だろうか?


「じゃ、じゃあ…行ってきます」

「ええ」

「あ、頑張ってね」


 こうしてAkariは村の中に入って行った。私たちはその背中が建物に隠れるまで見続けた。


「それで先輩、待っている間何をするんですか?」


 Akariが向かったクエストがいつ終わるのかも分からないし、一度ログアウトするにしても村の外だからセーフゾーン?というものではないからやめた方がいいと以前言われたし。


「…自由行動?」


 何故そこで疑問形なんですか。

 そう心の中でツッコんでいる間に先輩はウインドウを呼び出して操作し始めた。整理や確認だろうか。その様子を見ながら私も整理でもしようとウインドウを呼び出す。


 呼び出してみたけれど特にする事はないので、徐にステータスを開いてみる。



――――――――――――――――――

ステータス

未所属

詠 / 狐人

Lv 11

―――

―――

HP: 114  / MP: 202

STR(攻撃力):14

VIT(耐久): 14

INT(知力): 37

MND(精神力): 47

DEX(器用さ): 30

AGI(素早さ): 58

LUK(運): 24


BP : 12

――――――――――――――――――



 改めて自身のステータスを確認したけれど、意外と全体的には成長しているんだなぁ。種族柄AGIの伸びが良いことは分かっていたが、見てみるとMNDも高めなのが分かる…のだけど、MNDに関しては先に手に入れたペンダントの影響で初心者にしてはとんでもない数値を叩き出しているけれど。それらを纏めると、ほんと接近は向いていない感じがする。

 BPも結構溜まってきた。此方は自由にステータスにポイントを振る事が出来るようだけど、また今度にしよう。


 次にフレンドリストを開くと名前とレベル、それとログインしているかどうかが確認することが出来る。表示フレンドは変わらず三人。Akari、ジャンキー、そして先輩。


 あれ?いつの間にかAkariのレベルに追い付いていたようだ。ジャンキーは現在ログインしていない。お仕事かな?それで先輩だけど…?


「先輩」

「?」

「なんでレベルがそのままなんですか?」


 そう、フレンドリストを見てみると、"せんな"という名前の欄に表示されたレベルが以前と変わっていなかったのだ。この前の個人イベントで差が付いたという考えもあるけれど、それなら一緒にクエストや戦闘を行って経験値は分配されている筈だから二つぐらいは上がっていても不思議ではない筈?


「それは、この武器に経験値を全て振っているから」


 そう言って先輩は腰に差してある白い刀を出してきた。それはいつも使っていた武器で、元から違う雰囲気はあったけど、本格的に何か違うのかと思いながら武器の詳細を見させて貰うと【白紙の妖刀 "白月"】という名称の横に武器には無い筈の7というレベルが付いていた。


「それは"グロウウェポン"って言って名前の通り"成長する武器"なの。プレイヤーと同じようにレベルアップすることで強くなるもので、その中でもその刀はレベルによって性能が上がるの」


 まさかこんな特殊な武器を使っていたなんて。レアリティもこれまた知らないレジェンド。つまり伝説。

 そうなると今迄の戦闘でやけにダメージを与えられなかったのはレベルだけの問題ではなくこれの影響もあったという事?


 先輩が言うにはグロウウェポンは二種類あるらしく、この刀のように性能が強くなるものと武器が持つ特殊能力というものが強くなるものがあるらしい。どちらにしろこの手の武器はレジェンド設定されているらしい。凄い。


 ほんと、先輩は一体どこまでいったんですか?





ステータス

未所属

詠 / 狐人

Lv 11

―――

―――

HP: 114 (HP+150) / MP: 202 (MP+300)

STR(攻撃力):14 (STR+16)

VIT(耐久): 14 (VIT+10)

INT(知力): 37 (INT+20)

MND(精神力): 47 (MND+205)

DEX(器用さ): 30

AGI(素早さ): 58 (AGI+10)

LUK(運): 24


BP : 12


装備

「ノーマルアロー」(STR+8)(重複)

「ノーマルダガー」(STR+8)(重複)

「旅立ちの帽子」(VIT+5、HP+50)

「旅立ちのシャツ」(VIT+5、HP+50)

「旅立ちのロングスカート」(MND+5、HP+50)

「ノーマルブーツ」(AGI+10)

「霊宝珠のペンダント」(MP+300、INT+20、MND+200、全状態異常耐性+30%)




ステータス

未所属

Akari / 鬼

Lv 10

―――

―――

HP: 200 / MP: 107 

STR(攻撃力): 45 (STR+15)

VIT(耐久): 35 (VIT+20)

INT(知力): 20

MND(精神力): 22

DEX(器用さ): 27

AGI(素早さ): 29 (AGI+5)

LUK(運): 14


装備

「ノーマルブレード」(STR+15 AGI-5)

「ノーマルシャツ」(VIT+10)

「ノーマルズボン」(VIT+10)

「ノーマルブーツ」(AGI+10)





ステータス

未所属

せんな / 天使

Lv 6

【道を切り拓く者】

―――


装備

「白紙の妖刀 "白月"」




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