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電子世界のファンタジア  作者: 永遠の中級者
再始動と新たな巡り
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97 NPCの変化

アプデ後は説明が多いのは何時ものことです。

 大樹のギルドから出てみると、既に見回ったことのある街の筈なのに、其れよりも賑わいに満ちていて、違った雰囲気のある街が其処にはあった。


「あれ?メンテナンス明けでプレイヤーが押しかけているのは分かるけれど…其れとは違うような気もするのだけど?」


 言ってみれば、今迄無かったものが増えているような感じがした。

 詠が街に対して思ったことを素直に言うと、他の三人も思っていた事のようで、そして答えを知っているようだった。


「今回のアップデートではAI面もかなり向上したんだって」

「AI面の向上?其れはつまりNPCに手が加わったって事で良いのかな?」

「うん、其れで合ってる」


 そう言われてから確認してみれば、今迄システム的な存在だったNPCが、個性的な動きをするようになり、その点ではプレイヤーたちと然程大差ないように思えた。確かにそう向上されたのなら異様な賑わいも納得である。


「ほら此処にもアプデ内容の事が書いてるよ」


 街中に新しく設置されたらしい掲示板があり、其処にはきちんと今回のアップデートの記述も張り出されていた。掲示板の内容は張り紙のようになっている為、皆で見ることが出来るが、内容が内容なだけに明らかに収まりきれてはいない。なのだが、此れもアップデートの影響なのか、その内容に触れると個別で専用のウインドウが開かれて内容を自由に見られるようになった。便利。


 その内容によると今回のアップデートは【よりリアルに。】という言葉を掲げているらしく、其れを意識したような改良が多いらしい。一番分かり易い所ではやはり、先程も話題に挙がったAIの向上だと思われる。ほぼ全てのNPCのAIが向上したことで、今迄決まった事しか発しなかったNPCすらも様々な事を発するようになった。言い換えれば、人間味が増したと言える。

 他にも、AIが向上した事によって、プレイヤー同様に冒険をし、エネミーと戦うといったNPCも追加されたらしい。この冒険者NPCはプレイヤーと同じ判定を幾つか持っているようで、パーティやレギオンといったものも組むことが出来るようだ。その場合はゲストとして扱われるとか。ただし例外はあるようで大陸ボスが相手だったりする時は参加出来ないとか。今迄にはない新要素だから此れからどう影響が出るのかが予想できない。


「確かにリアルに近くはなった感じはするね?NPCもNPCだからって侮れなくなるよ此れは」

「あれ、でもそうなると、プレイヤーとNPCの見分けって付くのですか?」

「一応分かるようになってるみたいですよ。アレ。」


 るる。の尤もな意見に詠は何処かを示して答えた。その示す先には二人の男女が歩いていた。その男女は背中や腰に武器を携えているので戦闘を行える者だと言うことが一目で分かった。プレイヤーだろうと思い、その上に表示される名前を見てみれば、名前の横にNPCというマークが記されていた。


「あー、アレは見れば分かるわ」

「…というか、早速居るんだ」


 探してみれば思いの外冒険者NPCが確認出来た。さらにはその冒険者NPCがNPCの開く商店で売買をしていたりする。NPCと知らなければプレイヤーと勘違いしそうである。


「でも、初心者辺りからすればNPCの冒険者が増えたことは有り難いのかもね」

「そう?」

「少なくともプレイヤーよりは誘い易いとは思う」


 プレイヤーが相手なら都合などが合ったり、気圧される事だってありえるが、NPC相手なら其れもまだ少ないだろう。…多分。少なくとも都合は合わせ易そう。


 と、其処でわんたんからふとした疑問が挙がった。「ちなみにNPCの強さはどのくらいだろう」と。


「装備は其程良くはないですよね。街で手に入るような物ですから」

「スキル面は分からないけど、レベルも大陸では平均より少し下ぐらい」


 確認出来る冒険者NPCを元に分析出来る事を口々に上げていく。他も見てみないと正確には分からないけれど、その大陸で強過ぎず弱過ぎない位置というのがNPCの強さだと判断することにした。バランスというものだろう。


「あ」


 NPCの話をしていると、少し離れた場所にせんなの姿が見えた。

 せんなは集まっている此方に近付くとゆっくりと歩み寄ってきた。そして軽く詫びを入れた。リスタート地点がバラバラだから気にしなくても良い気がするのに。


「ログインしたら変装が解けてた…」

「あー、仕様変更でスキルが全解除されましたからね…」


 他にも遅れた理由があったようだ。

 この世界ではプレイヤーは種族を一つ選んでアバターとしているのだが、せんなは後天的に種族が未だに謎の多い"天使"になっている。まだ"天使"という種族についての情報が広まっていない中で、その情報を出せば騒ぎの可能性が予想できる為、せんなはスキルを使ってアバターの姿を誤魔化しているのである。其れが仕様変更でリセットされたのだから時間も掛かるだろう。


「スキルの再設定をしておいた方がいいですよ」

「うん、今からする」


 どうやら外見を変えるスキル以外はまだ細かくは設定していなかったようで、合流した後に改めてメニューを呼び出していた。先輩は獲得スキルが多そうだから時間が掛かりそうだなぁ、とその様子を見ながら暢気に思った。


 さて、あと合流出来ていないのはAkariだけなのだが、こうして居ても一向に来る気配が無いということは離れた場所に居るのだろうか?


「Akariの事だから、別大陸に行ってる可能性すらありそうね…」

「確かに…それなら連絡してみれば良いんじゃ無い?」

「そうか、その手があった」


 忘れていたが、メッセージ機能があるんだった。

 其れを思い出してメニューを呼び出してみた瞬間、誰かから連絡が届いた。その連絡の相手は此処には居ないAkariだった。




明日も投稿あります。

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