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電子世界のファンタジア  作者: 永遠の中級者
初めてのVRMMOと始まりの大陸
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1 初めてのダイブ *

最近ここを放置気味だったので息抜きで作っていたものを編集して少しずつ更新していきます。


キーンコーンカーンコーン



「其処までだペンを置け。後ろから順番に用紙を回してこい」



 本日三回目のテスト回収。

 直前までの静寂が破られ、周囲はヤマが外れて崩れ落ちるような者や友達とテストの問題について話す者などが賑わいを呼んでいる。正直、勉強か家事ぐらいしか特にすることのない私にとっては、今回のテストはそこまで苦戦することはなかった。だからと言って満点かと聞かれたら危ういが、少なくとも赤点で呼び出されるという事態はない。


「よし、そんじゃま、明日から休みだが皆羽目を外しすぎるなよ。解散!」


 四日前から始まったテスト週間も今日で最後。明日からは生徒皆が待ちに待ったであろう夏休み。とはいえ私からしたら特に待ってた訳ではないのだけど。何か予定があるわけでもなく普段通りに過ごすことだろう。最近は助っ人も要らないみたいだから。あ、短期バイトがあれば少し嬉しい。


「凛、凛、暇?この後予定ある?」


 …等と思っていれば、教室の前方からやけに勢いのある女子がやって来た。一応親友の朱里だ。一応である。未だにこの勢いに最後まで着いていけない。結構付き合いは長い方だから分かるが、これは何かで頭の中が一杯で、九割方、応えを聞いていないものだ。その場合は軽く返すぐらいが丁度いい。


「…無いけど」

「じゃあ一緒にこれしよ!」


 そう言って朱里が机に広げたのは二枚の紙きれ。サイズからして映画のチケットか何かかと思ってその紙きれに目を通すと、其処には【『ゲーマーズ・ドライブ』新規プレイヤー参加券】と書かれていた。


「…『ゲーマーズ・ドライブ』?」

「『バーチャルリンク』内で人気急上昇中のMMORPGだよ!知らない?」


 知らない。

 どうやら『ゲーマーズ・ドライブ』というのはゲームの名前の様だ。『ゲーマーズ・ドライブ』自体は初耳だけど、『バーチャルリンク』には聞き覚えがある。確か、昔起きた電脳怪事件を解析、応用して作られて去年辺りに正式に一般公開された電脳世界だとか以前ニュースで見た事が有る。何故、そんなものに関係があるチケットをこの子が持っているのだろうか…。


「反応うっすいなー。あ、そういえば、凛ってあんまりゲームしないんだっけ?」

「チェスか将棋なら…」

「渋い…」


 そんなに渋いかなぁ?


「でね、昨日景品でチケット貰ったんだけど、二枚あるから一緒にどうかなと」


 凄く行きたそうな目をしていた。まぁ、たまにはそういうゲームもいいかもしれない。断るのもなんだから。


「わかったよ。一緒に行くよ」

「決まり、じゃあ行こう!すぐ行こう!」

「でも、『バーチャルリンク』ってそんな簡単に行けるようなものじゃない筈では?」


 『バーチャルリンク』は電脳世界、言わばデータの世界である。現実世界では無いから生身で行けるものではない。電脳世界へは専用の機械を使うことで行けるのだが、その機械もまだ数が少なく、限られた場所にしか設置されていない筈なのだが…


「その辺は大丈夫。この前、駅の向こうに出来たおっきな建物があるでしょ?」


 そういえば、そんなのありましたね。そっち方面には用が無いから無視してたけど。


「あの建物の一階に『バーチャルリンク』のゲートがあるらしいんだ。受付もあるらしいから行けば始められるよ」


 まさかそんな近くに貴重な機械があろうとは…。建物の場所は其処まで遠くなく少し足を伸ばせば十分通える範囲。テストは午前だけだったから、今からでも十分時間はある…のだけど…


「それじゃあ今から」

「その前にお昼ご飯にしよう。奢るから」




◇    ◇    ◇




 目的地に向かう途中の飲食店で軽い昼食を摂りながら、家族に連絡を入れた後(朱里は始めから来るつもりだったのか先に言っていたらしい)、ゲートがあるという建物の前までやって来た。出来たばかりなだけあって内も外も清潔さを感じられた。

 中に入ると建物の一階から上の階を突き破ったような大きな吹き抜けが中央に確認でき、其処にでかでかと演劇舞台のようなステージを有した機械が存在する。その手前に受付と思しきスペースと多くの人が並んでいる。


「わー、やっぱり結構居るねー」

「アレが噂に訊く入り口…?」

「そうそう」


 早速とばかりに朱里に連れられて"新規希望の方はこちら"、と書かれた受付へと並ぶ。列が進むのを持ちながら周囲を見ていると受付の横に大きく

【AM 8:00 ~ PM 11:00】

と書かれているのに気付いた。恐らく『バーチャルリンク』に出入りできる時間の事なのだろう。係員の存在や参加者の年齢層等を考えれば流石にフルタイムと言う訳にはいかないのだろう。ただ其れでもかなりの時間があるのだからそれでも良いとは思う。

 更に辺りを見ていると、今にも電脳世界に入っていこうとする人達の中に見覚えのある後ろ姿があった。


「…今のってうちの学校の?」

「ん?知ってる人居たの?」

「いや…見たことある制服の人が居たなって」

「まぁ、うちの学校の中にも参加してる人は結構居るからねー」


 此れだけ話題になっているのなら結構居ることには特に不思議ではないのだけれど、さっきの人が此処に居る事は何故か不思議だと思ってしまった。あの後ろ髪…誰だったかな?

 そんな事を思っている間にも列は進み順番が回って来た。


「ようこそ。新規のお客様ですか?」


 受付のお姉さんに聞かれて朱里がチケットを渡した。どうやらあのチケットは無料券のような役割があったようで、本来ならお金を払うところを払わずに次の段階へと話が進んだ。簡単な説明の後、隣の小さな機械へと誘導された。言うに、個人IDなどを発行する為に簡単に個人データを取るとかなんとか。


 通されるまま機械の中に入ると、検査されているかのように頭から足先まで赤外線のような光が通った、それだけでデータ採取は終了し、機械から出ると受付のお姉さんが何やら機械を操作する事少々、操作を終えて一枚のカードを差し出してきた。


「そちらは『リンクカード』と言いまして貴方の個人データや『バーチャルリンク』に関するデータが記録されています。それ自体が通行証となっていますので、それをお持ちの状態でゲートに向かいますと『バーチャルリンク』に入ることが可能です」

「へぇ…」


 一見学生証と同じぐらいなのに結構凄いのね。

 朱里もカードを受け取ったので二人でゲートの列に並ぶ。一度に大人数の処理が出来る為かこちらは手続きに比べれば案外早く進み、あっという間に順番が回って来た。他の団体と共にゲート…というより機械のステージに上がり、時を待つ。


 ステージの地面が光り出し、光が外との空間を遮断する。変換が始まった。身体が透けていき、全てが光に包まれる―――。


 そして、電脳の中へと飛び立った。





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