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真実を知るのは兎のみぞ

 王室の王座のほうへ戻ると、千鶴と庵が息絶え絶えに戦っていて、黒蜜と蜂蜜は少しまだ余裕がある様子だった。

 狼は慌てて駆け寄って、二人に加勢しようとする。

 しかし、もう八つ当たりはしない約束だったし、元からこの二人には何の恨みもないので真雪は黒蜜と蜂蜜を止めようとする。


「義母さん、義父さん、もうやめてください!」


「……真雪? どうしたの? 狼を殺すんじゃ……」


「最初に見つけたとき言ったでしょう、殺すべき人物かどうか判断するって」


「で、殺すべき人間じゃなかったと? 甘いぞ、真雪。そんなんだから、舐められるんだ。お前、額の石は……?! まさかッ……狼、貴様ぁ!」


「違うんです! もう、もう復讐は終わったんですよ!」


「まだだ! 今度はお前の復讐をわしが……」


 黒蜜が今度は狼に向かってきたとき、抹茶の言葉が、場を、否、黒蜜と蜂蜜を凍り付かせた。


「復讐していいのです? 真雪、それなら最高の復讐相手、います」


「……っげ、ジャム?! あんた、まだ居たの?! っていうか、どこから入ってきて……!!」


「玄関。チャイム鳴らしたら、餡蜜、入れてくれる。抹茶と、魔王の仲です。だから、秘密も知ってます」


 絶対零度の微笑みに、黒蜜と蜂蜜は慌てて狼たち三人から離れる。


「お願い、言わないで! ほら、もう攻撃しないから……ッ! 私とあんたの仲じゃない!」


「……でも、今、結構面白い場面だし? ……復讐、まだ必要です? ……抹茶、思うのです。今この最も面白い場面のため、居るんじゃないかな」


「……ッ何でも言うことを聞くからッ! 頼む、慈悲を……!」


「それなら、……トットト家ニ帰セ、馬鹿野郎」


 人語での初めての罵り言葉。本気で秘密を話したがっていると察した二人の魔王は、これまでの行為を謝罪して、一同を城へと帰した。真雪は、城へと残り、一人何かを考えていた。



 城を出て、軍の皆と顔を合わせて、無事を祝うと同時に、野良へ黙祷を捧げた。

 だが真雪の本性は、四人だけの秘密だと狼が命令したので、真雪については触れず、暫く城暮らしをあのパーティはしたがってるみたいだから、と城の観察を頼んで、一部の者を残して、軍は帰路へと向かう。


 その途中、狼は抹茶へと尋ねる。


「あいつら魔王の秘密って何なんだ?」

「……秘密」


 抹茶は珍しく真顔で、拒否をした。なので、狼は拗ねて、庵の方へ話し掛けに行くと、こっそりと千鶴と結婚する話を聞いて珍しく叫ぶほど喜んだ。

 その様を見ながら、抹茶は羽衣を纏いながらため息を。


「流石に言えねぇよなぁ。人間の子供欲しさに、黒蜜と蜂蜜が殺しを依頼した、てのを思い出したなんて。俺も、優しさなんつう馬鹿を覚えたもんだ」


 人間の複雑さを、今回の件で思い知った抹茶だった。


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