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第六十四話 魔王軍最強決定戦

「それでは、私を除いて魔王軍最強を決める決勝戦! 試合開始!」



 試合開始の合図と共に両者が動き出した。シャルティアたんは接近戦のために前に、厨二病は魔法の詠唱のために少し距離を取りつつ気を練っていた。

 シャルティアたんは厨二病の近くまできて、攻撃を繰り出すが、厨二病はまるで未来が見えているかのようにことごとく攻撃を躱した。



「ちょこまかとうっとおしいのだー」

「ふん、当たらん」



 攻撃を繰り返すたびにシャルティアたんの攻撃は合ってきていた。そして、初めて攻撃がかすった時、厨二病は満を持して動き出した。



悪魔炎(デビルバーン)



 厨二病の繰り出した炎はシャルティアたんに向かって噴き出した。



「うわっ、びっくりしたのだー」



 シャルティアたんは間一髪で避け、厨二病に攻撃をしようとする。だが……。



「終わりだ悪魔氷(デビルブリザード)



 シャルティアたんは巨大な氷を横に避けることは出来ず、仕方なく後ろへ下がって体制を立て直して避けようとした。次の瞬間、シャルティアたんの身体は炎に包まれていた。



「ふん、悪魔炎(デビルバーン)がただ前に進むだけだと思ったか? 残念だったな、それは対象の相手を追い続ける。相手を殺すまでな」

「ぐっ、熱いのだー」



 シャルティアたんは炎を相殺する魔法は使えない。それどころか魔法すら使えない。万事休すかと思われた……だが!



「熱いなー、キレちゃったのだー」

「ふん、だからなんだ」

「必ず殺すのだー」



 ブラックシャルティアたんが降臨なされた。熱いのが相当気に食わなかったんだろう。いつものシャルティアたんの明るい声ではなく、ドス黒い、それこそ厨二病の声が可愛く思えるような、そんな声が聞こえた。

 いつまでも追い続けるその名の通りの悪魔の炎から逃げ、追ってきた炎を厨二病に蹴り返した。



「ふん、ふざけた攻撃しやがって、悪魔氷(デビルブリザード)死霊多鉄拳(ゴーストガトリング)



 厨二病は氷を出して自分の出した炎を相殺し、青い炎をのようなものを大量に出したかと思えば、その炎は人の形になり、シャルティアたんを何度も殴り始めた。



「その程度かー?」



 シャルティアたんは青い炎の攻撃を無視し、厨二病の方にゆっくりと歩を進める。



「ふん、いいだろう俺の最高の技を受けてみろ、死悪魔(デス・ヘル)



 厨二病の身体から、青白い炎が現れたかと思えば、その炎が集まり、巨大な悪魔の形となった。

 その悪魔は拳を振り上げ、シャルティアたんに向けて拳を叩きつける。悪魔がデカすぎて、シャルティアたんは躱すことが出来なかった。



「ふん、口ほどにもない。少々やりすぎたか?」

「いやー、それで最高の技とか言ってるならさっさと死んだほうがマシだと思うなー?」



 シャルティアたんは無傷のまま悪魔の炎を押し返し、一瞬で厨二病の前に立っていた。



「なっ、嘘だろ!?」

「終わりなのだー」



 シャルティアたんの全身全霊が篭っていたであろうその拳に、厨二病の身体は持ち上げられ、バキバキという骨の砕ける音を鳴らしながらリングの壁に向かって吹っ飛んでいった。

 リングの壁にぶつかった厨二病に、意識はなかった。

 落ち着いたシャルティアたんは、意識のない厨二病を見て、一気に青ざめた。



「わー!? やっちゃったのだー!?」

「大丈夫、ちゃんと私の魔法がかかっているから。このリング内で起きたことは、リングを出ると無かったことになるっていうね。シャルティア、フレアをリング外に投げ捨ててあげて」

「こうなのかー?」



 シャルティアたんは意識を失った厨二病を持ち上げ、リングの外に放り投げた。

 骨が砕けて、また音を立てるかと思われた厨二病はリングの外に出た瞬間、ピンピンした状態で動き出した。



「俺は、負けたのか……」

「生き返ったー!? 良かったのだー!」

「勝手に死んだことにしてんじゃねぇよ」



 なにはともあれ一件落着ってとこか。



「はい、ということで、私を除いて魔王軍最強はシャルティアたんということが決定しました! 皆さん拍手!」



 パラパラと拍手の音が鳴る。拍手をしているのは執事さんと魔王様、そしてアスカさんだけだった。



「拍手だよみんな!」



 慌てて俺もシャルティアたんに拍手を送る。みんなもハッとした表情で拍手を始める。色々と驚きすぎてみんなも咄嗟に拍手を出来なかったのだろう。それにしても魔王様と執事さん、それからアスカさんは凄いな。

 こういうふうにパッと意識を切り替えられるのも才能だと思う。

 まあ、今はシャルティアたんがヒーロー、いやヒロインか? とにかく主役はシャルティアたんなのだから、盛大に祝福してやろう。



「みんな拍手ありがとうなのだー」

「シャルティアたん、凄かったよ。おめでとう」

「ま、まあ、私も一応祝っておいてあげるわ、おめでとう」

「まさかうちの幹部達が全員やられるなんて思わなかったよー、よくやったねシャルティア」

「おめでとうございます、素晴らしい闘いでした、シャルティアさん」

「ギャハッ、やっぱりお前つえーなー!」

「シャルティアさん、流石ですよ。やっぱりA級召喚士なんかじゃ適わないなー」

「よくやったのじゃ」

「お前の完全勝利だよ、ふざけんな」

「ふん、今回は完敗だ。今度戦う機会があったらその時こそは倒してやるからな!」



 みんながシャルティアたんに祝福の言葉を投げかける。シャルティアたんはとても照れていて、やっぱり可愛いなーと思った。いや、俺は魔王様一筋だけどね!?



「じゃあ、解散にするね! 各々の仕事、きっちりとやっておいてね!」



 それじゃあ、英雄になりに行きますか!

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