第三十六話 魔王軍第六師団
「ここの奴等、全員が君達の部下だから、こき使ってくれていいよ。その代わり強くしてあげてね」
「わかりました、俺達に任せておいてください!」
そうは言ったものの大丈夫かなこれ? 5000人くらいいるんだけど、あと魔族じゃないのもいっぱい混じってんなこれ。混成チームってとこか。色んな場所に対応できるようにチームを組んだりしてもいいかもな。ゲーマーの腕がなるぜ!
「お主、昇格試験はどうするのじゃ?」
「やっべ、忘れてた、その間こいつらどうする?」
「質問を質問で返すのやめろなのじゃ。まあ出来ることはあるのじゃ」
「なんだ?」
「明日また動画の広告収入が入ってくるのじゃ。でも昇格試験は明後日だから、間に合うかどうかはわからんのじゃ」
「ならば私がお送りいたしましょうか?」
「えっ!? そんなこと出来るんですか、執事さん」
「任せてください」
「じゃあ頼みます」
これでガチャから強い精霊を呼び込めればそいつに教育係を任せることが出来るはずだ。そして、これは確定じゃないし全然わからないが、サリエルの時と同じように転生者が来てくれるかもしれない。ロシア軍人とかこねーかなー。地球の情報も欲しいしね。
「なにをやってるの? 今から私の精鋭部隊、直属魔王軍を見せてあげるから、それを目指してね」
「わかりました」
圧巻だった。魔王様が目指してと言うだけはある。1ミリのズレもなく、ビシッと揃って俺達の前に行進してきた。それだけで貫禄が出ている。あとだいたい俺達の軍団の5倍くらいの数はいるのだが、どうやってこれだけ育てたんだろうな。元が良かったのか、教え方が良かったのか。とにかくこれに負けないくらいの軍団を作らないといけないんだよな。うん、きついね。
「じゃあ、あとは任せたから頑張ってね」
「もちろんです、任せてください魔王様!」
「期待してるよ」
いやー嬉しいなぁー。魔王様に期待されるなんて凄く嬉しい。
「食事はこちらでご用意しておりますので、どうぞお召し上がりください」
どんな料理が出てくるのかな、ワクワク。
「こちらが食堂となっております。魔王軍第六師団の方も同じ場所で食事をしていただくので、この機会に仲良くなってもらえたらと思います」
部隊の人も一緒なのか、ちょっと緊張するな。
「やあ、今回君達の軍団を指揮することになった! ここにいる4人全員で指揮するから、少し戸惑うかもしれないが、よろしく頼む!」
「いや、まだ誰も来てないのじゃ」
「なんだと!?」
うわ、誰もいない、恥ずかしすぎる。
「い、いや、練習だから」
「そういうことにしておいてあげるのじゃ」
そのあと、第六師団のみんなが入ってきてから、ちゃんと挨拶した。
「ということで、よろしく頼む!」
「うおおおおおおお!」
うわ!? びっくりした。大統領就任式かってぐらい声出てたぞ今。
「あ、ありがとうみんな。俺がいない時もあるかもしれないが、俺がいる時は積極的に話しかけてほしい」
よし、緊張してたけどなんとか喋りきることが出来た。
「とりあえず、食べるか!」
「いえええええええええい!」
騒がしい奴らだなあ、嫌いじゃないけど。
「お待たせいたしました。カツ丼でございます」
カツ丼!? まさか丼が出てくるとは思わなかったぜ。玉ねぎと卵が美味しそうでもうやばいのに、カツがめちゃでかくて絶対美味いことがすぐにわかるやつだ。
カツを口に入れる。じゅわ〜っと肉汁が溢れてきて、卵、玉ねぎにもよくあっている。
「うめぇー」
魔王様もカツ丼だなんてわかってるなー。魔王様がカツ丼を出させたのかどうかは知らないけど。
「ごちそうさまでした」
いやー食った食った。美味かったなぁ。
俺がカツ丼の余韻に浸っている時に、部下達は話しかけてきた。いや、俺が話しかけてこいと言ったんだけどね。
「お頭、俺達の稽古つけてくだせぇ」
「お前、お頭ってのやめろよ」
「じゃあなんて呼べばいいんですかい?」
「そうだな……じゃあ王子様って呼んでくれよ」
「王子様ですかい? それって名前ですかい?」
「いや、違うけど」
「じゃあなんなんですかい?」
「まあどうでもいいじゃないか」
「わかったでやんす、王子様。稽古つけてくれますかい?」
「おう、任しとけ」
王子様って呼ばれてみたかったんだよな。ちょっと意味聞かれた時はびびったぜ。変な人って思われてねぇかな? まあいいか。
「王子様って呼ぶようにみんなに言っといてくれよ?」
「わかったでやんす。全員に伝えとくでやんす」
それから、全員参加で訓練をした。俺でも余裕でボコれるくらいのやつがほとんどだったから、鍛え直さないといけないな。まあ俺が負けかけたやつもいたんだけどな。俺にとってもだいぶいい訓練になったぜ。
疲れたし、明日に備えて早く寝ないとな。
次はみんな大好きガチャ回だぞ