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第三十二話 魔王様、結婚して下さい!

投稿遅れてしまって申し訳ないです

「あっ、見えてきたぞ、あれが魔王城だ」

「……」



 いやあのさ、おかしくね? えっ、いや、なにこれ?



「空に漂う無数の闇、暗黒の王を生み出し、かの者の城は天へと続き、魔族領全てを覆いつくす」

「なんだそれ?」

「古くから魔族領の者に伝わるこの魔王城のことを表した詩だ」



 まあ、こんな城見せつけられたら詩作りたくなるわな。そのレベルだわマジで。これより大きい建物があるなら見せてもらいたいね。

 今魔王城を遠くから見てるわけだが、富士山より高く、ゴルフ場より広い城です。はい。おかしいですねー。

 いやマジでこれどんだけ金かかってんだよ……あっ、金なんて概念なかったわ……。

 こんな城に住んでる魔王に会うの怖いなー。絶対怖いじゃん。



「よし、着いたぞ。ここが魔王城だ。広いだろ?」

「ああ、広いな。呆れるくらい」

「なんでだよー、やっぱり人間はわかってないなーこれがロマンなんじゃないか」



 そんな男のロマンみたいに言われても金の無駄遣いとしか見れないわ。いや、金って概念がないのはわかってるからな。



「とにかく入るぞ。もうそろそろ予定の時間だからな」

「そうだな。魔王城入ったら襲われるとかないよな?」

「当たり前だろうが、魔王はいいやつだと言っておるだろう?」



 魔王がいいやつとか信じられないんだって。



「ちょっと深呼吸だけさせてくれ」

「お主、さすがに緊張しすぎなのじゃ」

「いや、魔王だぞ? 緊張するだろ」

「戦うわけではないのじゃろ?」

「たしかにそうだけどさ……」

「ほら、さっさと入るのじゃ」

「うわ!? やっやめろ!」



 ちょ、やめて、魔族に襲われる!



「えっ!? あっ、失礼致しました。ブリザードドラゴン様とシャルティア様、荒巻様、ミツハ様、サリエル様でございますね、お待ちしておりました」



 俺がミツハたんに蹴られて無理やり入らされちゃったからなんか執事の人が戸惑ってるじゃん……ってか執事て、どこの貴族だよ、いや、王様だから貴族より位は上だけどさ!



「応接間に御案内致します。私に着いてきてもらえますでしょうか?」

「あ、ありがとうございます」



「魔王様、例の方々をお連れ致しました」

「オッケーオッケー、通しちゃっていいよー」



 は!?えっ、今の声って女だよな?



「では、お入りください」

「うむ、では入るぞ小娘共」

「あ、ブリザードドラゴン、よく来たねー」

「魔王様、今日は少し面会させてあげたい人に出会ったので、来てしまいました。迷惑ではございませんでしたか?」

「大丈夫だよ、っていうか面会させてあげたい人ってつまりまた人間に負けたんでしょー?」

「お見通しでしたか」

「まあそれ以外で君が来ることないよね」

「たしかにそうでございますね」

「っていうか敬語やめていいよ?」

「いえ、それはさすがに……」

「むー、そのうち敬語やめてね」



 死、俺は応接間に入った瞬間そうなる運命が見えた。見えてしまった。やばい、これはやばい!



「魔王様! 俺と結婚してください!」

「えっ!? いや、いきなりどうしたのさ」

「俺はあなたに惚れました、考えてはくれないでしょうか?」

「いやだから、いきなりはダメでしょ、いきなりはさ」

「すみませんでした……」

「あっ、いや、無理だってことじゃないよ。ただもうちょっとお互いのことを知ってからね」

「すみません、はやる気持ちが抑えきれなくて、少し落ち着くまで時間くれますか?」

「う、うん。わかったよ」



 やばいやばいやばい、魔王様可愛すぎる! こんなん抑えきれないって! なにこのアニメで推しが出来た時のような感情は! これが……恋というやつか!



「あの、心の声漏れてるよ?」

「えっ!? すみません魔王様!」

「いや、いいんだけどね」



 心の声が漏れるくらいやばいわ。さすがに落ち着いてきたけどさ。俺の大好きな朱色の長めの髪に、くりくりっとした少し赤の入った目、少し低めで160センチないくらいの身長にまだ育ちきっていない感じの胸。格好も俺好みで、見えるか見えないかといったようなオシャレな服を着ている。あっ、見えるか見えないかって何のことかは想像にお任せするよ?



「魔王様、落ち着いて考えた結果、俺はあなたのことを愛していることがわかりました!」

「あっそう……返事は後でいいかな?」

「はい、いつまでだって待ちます!」

「ここからは私が色々聞いていい?」

「あっもちろんです」



 何を聞かれるんだろう? ドキドキするな。



「私と一緒に世界を救う気はないかい?」

「は!?」

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