プロローグ
初めての投稿なんで皆さんどうぞよろしくお願いします!
俺は荒巻健治、とあるソシャゲにはまっている廃課金勢の高校一年生だ。
とあるソシャゲというのは、「エースと頭のおかしい師匠」というクイズに答えて敵を倒すゲームだ。マジキチ師匠という略称 で親しまれている。
高校に入って同じソシャゲをしている友達も何人か出来て、わりと青春を謳歌している。
とは言え、彼女はいないし友達もそんなに多くはない。毎日課金のためのバイト生活だ。
「は〜、今日もバイト終わった〜」
俺はバイト帰りに給料全てを課金するためのカードにして帰宅する。
初めの方はバイトリーダーさんとか店長さんとかにビックリされてたけどもう慣れられた。
最近は買っていくよね? みたいな感じで待たれている。
期待を裏切るわけにはいかないから仕方なくカードを買う。
仕方なくだ。
仕方なくということにしておいてくれ。
ともかくそのカードのパスワードをうち、マジキチ師匠に課金しながら横断歩道を渡る。
その時だった。
俺は車に吹き飛ばされていた。
初めは何が起こったのか分からなかった。ありえないほどの衝撃が俺の体を襲った。
俺はながらスマホをして歩いてはいたが、ちゃんと青信号で横断歩道を渡っていたはずだ。それなのにどうして、俺の体は宙に浮いているんだ。目の前の光景がとてもゆっくりに見える。まるで止まっているかのように。
これが走馬灯というやつだろうか?
わからない。
怖い。
どうして俺がこんな目に合わなくちゃいけないんだ。
嫌だ。
死にたくない。
俺はもっと青春をエンジョイするはずだったのに。
ゲームして、それなりに可愛い彼女をつくって、彼女のために一生懸命働いて、結婚して。
そういった人生を夢見ることはもう叶わないのだろうか。
嫌だ。
生きたい。
俺は。
まだ成し遂げてないことがあるんだ……。
その時声が聞こえたような気がした。
「もしよろしければ……」
なんだ?
「お連れしましょうか?」
どこに?
「願いが叶う場所へ」
体が燃えるように熱い中、俺の意識は途切れた。
次に目を覚ましたとき、そこにはふさふさの毛を顔面のまわりに生やしている見慣れた渋いおっさん獣人がいた。
「ようこそ、ギルドアトランスへ。俺がギルドマスターのアスタだ」
俺はマジキチ師匠の世界に転生してしまったようだ。