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彼女の髪のほのかな香りに包まれて

作者: 日下部良介

「へぇ、チョコもらったんだ」

 人のカバンを覗き込んで言ったのは悪友の日下部。

 バレンタインのお返しが入っていた。

「一応な」

「誰だ?」

「お前には関係ないだろう」


 油断も隙もありゃしない。

 僕は彼女が一人になるタイミングを見計らってお返しを渡した。

「ありがとう。貰えるとは思っていなかったから嬉しい」

 彼女はそう言って微笑んだ。

 そして、僕の頬にそっと口付けをしてくれた。

 僕は一瞬で彼女の髪のほのかな香りに包まれた。




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― 新着の感想 ―
[良い点] すみません、気付くのが遅れました……。 最高です。他の人に知られたくない、という思いが今の自分と一緒ですごく共感できました。 とても近い距離の二人。とても良い雰囲気で、なんだか羨ましいで…
[一言] このタイトル、読む前からずっと気になっていました。 キスした時に、彼女の髪の毛がふわっと広がる感じなんですね。 素敵な絵です。 ご馳走様でした。
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