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閑話 アリス、はじめてのおつかい?――中編――

大変お久しぶりです。センターが終わったので投稿できると思っていましたが、なかなか忙しく二月になってしまいました。久々に書いたので文章がめちゃくちゃだったりするかもですが大目に見ていただけると幸いです。

 路地裏で二人の男が話をしている。



「アニキ、本当にやるのかよ……?」


「あったりめぇだろ!ここでやらなきゃ、俺達がしょっぴかれんだぞ。お前はそれでいいのかよ?」


「うっ、それは分かってるけどよぅ……」


「いいか、新進気鋭のヴィオラ魔道具店の新作だ、世に出した時の商品価値は並大抵じゃねぇ。俺だって本当は嫌だよ、こんなマネ。だからここを生き延びて絶対に借りを返しに行くぞ!」


「……わかった!オイラ頑張るよ!」



 元々、この二人は悪党ではない。ただ少し、運が悪かったのだ。

 二人は本来は冒険者だ。たまたま依頼が上手くいって金が入った。その金で、今までに行ったことがない店に行った。

 しかし、その店が悪かった。


 ダルダファ商会。

 ここ、リベラだけでなく世界中に悪名を轟かせる商会。あまりに規模が大きすぎて、国すら対応を諦めた商会。ついたあだ名は地獄の入口。

 二人はそこに足を踏み入れたのだ。


 なにも知らずに酒を飲み漁った二人が翌日目にしたのは、大金の書かれた請求書だった。

 その借金を返すために、二人は画策する。







 ******




 さてさて、アリスちゃんがお店を出ると二人組の男の人が話しかけてきました。



「よう、嬢ちゃん。お兄さん達にその袋を貸してくれねぇかな?」


「大丈夫、すぐに返すからさ!」



 突然の展開に、アリスちゃんは困惑しています。



 これはバロンはんに渡すようにヴィオラちゃんに頼まれたもの。でも、目の前のおじ……お兄さん達はやけに必死です。



「んー?ダメだよ、これはバロンおじさんに渡さなきゃなの」


「大丈夫だよー、ちょっと見るだけだからねー」



 そう言いながら、男はアリスちゃんから袋をひったくろうとします。


 しかしアリスちゃんはそれをヒラリとかわします。



 奪おうとする男、逃げるアリス、更に奪おうとする男。

 次第に周囲には野次馬が集まってきました。これは男達にとって都合が悪い。



「おい、一時撤退するぞ……」


「へい、アニキ」



 男達は走り去っていきました。



「……へんなの」



 全くもってその通り。




 ******



「クソッ……まさかしくじるとは思ってなかったぜ。あのガキ、異常なくらい身のこなしがよかったし、まさか……。いや、まさかな」


 少女に対して嫌な予感を感じた男であったが、すぐにそれを打ち消す。それなりに腕の立つ冒険者である自分が女に、それも年端も行かぬような少女に劣るなどということはあってはならない。そう考えて。



「でもアニキ、あの子から荷物を奪うのは難しそうだよ……?」


「そうだな……仕方ねぇ、あんまりやりたく無かったが、ちょっと怖い目にあってもらうとするか」



 そう言って、男は不敵に笑う。





 ******



 不審者に遭遇しても、アリスちゃんの行動は変わりません。

 もう1度ギルドに向かって歩きだします。


 そんなアリスちゃんの前に、また不審者2人組が姿を見せます。きっと、またこいつらか、と思ったことでしょう。私なら、そう思いますけどね。



「悪いな、お嬢ちゃん。力尽くで行かせてもらうぜ。傷つけるのは悪ぃからできれば抵抗しないで欲しいんだが……」


「……」



 今度は不穏な気配を漂わせる不審者。流石のアリスちゃんも口を挟めません。



「いくぜっ!」



 不審者は木刀をアリスちゃんに向けて振るいます。しかしそれを華麗に避け、一転アリスちゃんの攻勢です。



「止まって。『氷の枷(アイスシャーレ)』」



 不審者の体を覆うように、白い檻が形成されます。大の大人が全力で暴れてもびくともしないような檻。アリスちゃんの実力ならそんな魔法を使うことすら造作もありません。



「ちくしょう、気のせいじゃなかったのかよ……」


「おじさん、なんでそんなにこれが欲しいの?」


「あぁ?それはだな…………今だ!やれ!」



 捕まっているはずの男が声を上げ、号令を発します。

 しかしそれさえも。



「無駄だよ?あのおじさんも捕まえたもんねー。それに、おじさんたちの後ろにいた人もちゃんと捕まえたよ!」


「ちょっ、ちょっと待て!俺達には他に仲間はいねぇぞ!?後ろにいたやつって、まさか……」



 商会からの監視。そんな言葉が頭をよぎります。

 自分たちを恐怖に誘う商会の監視員すら何も出来ずに拘束させる。自分たちが手出し無用(アンタッチャブル)の存在に喧嘩を売ったことを漸く自覚しました。




 ******




 時は少し遡り……。



「ふぅ、取り敢えずはこんなものか?悪徳商会って言ってもこんな辺境の支部には強いやつはいないよな」



 街に巣食うダルダファ商会?とかいう商会に潜入して幹部を拘束する、という依頼を受けた訳だが……。



「ひ、ひぃいい!?」


「あんたが幹部で間違いないんだよな?」


「そうですそうです!殺さないでくださいぃ!!」



 はぁ……。『断罪者ネメシス』の影響でこいつが悪人であるとは分かるが、まるでそうとは思えないな。

 何はともあれ、ギルドまで連れていくか。





「あっ!その方は……。依頼の報告ですよね?」


「はい。何だか久しぶりに会う気がしますね、レナさん」


「そうですねぇ。なんというか、具体的には半年ぶりくらいに会う気がします」



 ギルドの受付に座るレナさんにダルダファの幹部の男を引き渡すと、面白い話を訊かせてくれた。



「そうそう、アリスちゃんが変な人に絡まれてた見たいですよ?」




 ……へ?



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