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親の心子知らず?

たまたま時間が取れたので書いちゃいました!

誤字とかあったらごめんなさい……。

これは、リョーガが異界へと旅立つ前日の事である。





「善仁さん。明日凉雅が帰るのよね?」

「ああ、そうだけど……。

僕が昼休みに連れて帰ろうか?」

「大丈夫よ、家まで歩くよう言ってあるから」

「えっ……」



この二人は、凉雅の両親である。


父親、田中善仁。四十歳。

遂にアラフォーへと突入してしまった事を嘆くサラリーマンである。

容姿は渋めの紳士といった感じで、社内での人気も高いらしい。上司にしたい人ランキングは社内でもぶっちぎりの一位なのだ。


そんな彼の最近の悩みは加齢臭のせいで息子に距離を置かれがちなことだそう。どうでもいい。



母親、田中梨香。三十二歳。

かなりの若作り&美人で、よく二十代に間違えられる事が自慢である。

その美貌を保つ為にかなりの時間と金を浪費していることを知るものはいない。夫でさえも。


実は彼女、過去には暴走族のリーダーしていた。

つまりは、元ヤンである。

過激な物言いをし、夜遅くに単車を走らせていた経歴は黒歴史なのだが。

ちなみに、息子には教えていない。墓場まで持っていくつもりなのだ。

もっもと、その息子は気づいていたようだが。



この時、彼らの息子が大きな転機を迎えようとしている事を、彼らは知らない。






******



「あれ、ここはどこだい?

家で寝ていたはずなのだが……」



善仁は周囲を見渡す。

しかし、そこには何も無い。


ただ真っ白な空間が広がっている。



「善仁さん、ここはどこかしら?」

「ん?ああ、梨香かい。僕にもわからないよ……」



どうやら、夫婦まとめて連れてこられたようだ。


困惑する二人の前に、一人の少女が現れる。



「始めまして。田中善仁さん、梨香さん」

「君は誰だい?そして、何故僕達の名前を知っている?

僕は君に会った事は無いはずだけどね」



少女の言葉に善仁は苛立ったように答える。



「そうですね、会った事はありませんが、私は貴方達を知っています。それより、ここがどこか気になりませんか?」



少女の言葉に善仁は眉をひそめる。

そして言葉を放つ。



「教えてもらおうじゃないか、君が誰か。そして、ここがどこかを」



少女はやおら口を開き、重々しく語り始める。









「つまり、君は神様で、明日息子が、凉雅が死ぬと?」

「はい、そういう事です。この度、私の勝手な都合でそのようなことをすることになってしまい、本当に申し訳ありません」

「馬鹿らしい。僕も子供じゃないんだ、それに僕は無神論者でね」

「あなたに信じて頂けなくとも、私は息子さんを殺さなければなりません。私にはそれしか方法が無いのです」



善仁の口調は激しくなっていき、神を名乗る少女はひたすら謝るばかり。

そんな二人に声がかけられる。



「ねぇ」

「はい?」

「どうしたんだ、梨香」


「いえ、私少し気になってね。

凉雅は死んだ後、異世界?とやらに行くのでしょう?」

「はい、そうですね」

「それで、凉雅はそこなら『幸せ』になれるのかしら?」



梨香の問いに、善仁も少女も首をかしげる。



「まあ、少なくとも、凉雅さんの希望のぞみだった『健康』は渡しますけど……」

「なら、いいんじゃない?」



「「はぁ!?」」


「な、何を言ってるんだ梨香!」

「そうよ!人間普通はそんなに簡単に納得できないわよ!」


「あらあら、それがあなたの本来の喋り方なのね。

そっちの方が可愛いわよ」

「あっ……、ってそうじゃない!

なんで、神とか異世界とか信じれるの!?」

「そうだよ、梨香!」


「だって私、あなたみたいな子と友達だったんですもの」




梨香の言葉に、二人は困惑するばかりであった。








******



「くしゅんっ!」

「どうした、ソフィアさん。風邪か?」

「いえ、私は病気にはならないと思いますが……」

「じゃあ誰かが噂でもしてるのかね」



「お父さん、ソフィアさん、夕飯できましたよ!」

「わかった。今行くよ、ユキ。いつもありがとな!」

「いえいえ、お父さんが喜んでくれて私も嬉しいです」





今日も、リョーガ達は全員で食卓を囲む。








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