リベラの街防衛戦!――正面門・一つの禁忌――
これと次で一章終了かなぁ
「なんや、それ……」
『善悪の箱』を開放した。
作った時は禍々しい箱だったのに、今は神々しささえ感じる。
黒と金の美しい箱だ。
で、開放したはいいけど、これ一体何なの?
「馬鹿な!それはお前のようなパチモンやない本物の神が持つべきものやで!?」
箱を開ける。
あんまり見たくないけど見るしかないよね、箱の中身、いや、中にいる人物。
「あれ?何も無い、ていうか真っ暗?」
おかしいな、作った時は誰かいたと思ったんだけど。
「ご主人様、どちらを見ているんですの?」
「えっ?」
横を見ると金髪縦ロールのお嬢様な見た目の女の子がいる。
しかも見た感じ十二歳くらい。身長はユキと同程度だろうか。
「どちら様?」
「もうお忘れになりまして?つい先日、あれ程に愛し合いましたのに」
ほうァ!?知らない知らない!俺はそんな逮捕されそうな事はした覚えがないぞ!!
「ご主人様に激しく攻め立てられ、挙句小さな箱の中に監禁され、わたくしはそこでずっとご主人様の事を思っていたのですよ?」
アウトーっ!!誘拐からの監禁じゃねぇか!!
「って箱の中……?それってもしかして……」
「やっと気が付きましたの?と、それどころではありませんね」
「なぜお前さんみたいな小者がそんなもんを持っとんのかは知らんけど、それは看過でけへんわ。
死んでもらうで!!」
来るっ!
フェリスが高速でこちらに迫ってくる。
「ご主人様が出るまでもありませんわ。
あの程度の雑魚、わたくしが仕留めます」
え?
「【深淵】」
「なっ、なんやこれ!? 」
空間を切り裂いて黒い腕が現れる。
腕はフェリスの手足を掴み、その場に縛り付ける。
空間の裂け目から、暗い暗い闇がフェリスを覆う。
「痛い痛い苦しい辛い止めて、止め、や…………」
うげ、何あれ……。フェリスが絶叫してたぞ?
あの闇の中では一体何が行われているんだよ。
「終わりましたわね」
「あれ、フェリスはどこに行ったんだ?」
いつの間にか闇が消えていたと思ったら、あたかも最初から居なかったかのようにフェリスが消えている。
「ああ、彼なら【深淵】に食われましたわ」
食われ……いや、気にしないことにしよう。
何だかんだ言って、俺のグロ耐性はそれほど高くはないのだ。
******
「おーにーちゃーん!!」
「うぉっ!どうしたアリス」
「良かったぁ、お兄ちゃん無事だった!」
抱きついてくるアリス。
とっても可愛いのだけど、割と本気で苦しい。
「ア、アリスさんや、苦しいのですが、離してくれませんかね?」
「や!」
「そうか……」
「お父さん、ただいま戻りました」
「ユキもこっちに来たのか」
「はい、お父さんが心配でしたので」
俺はそんなに頼りないのか……?
でも実際『善悪の箱』の存在を思い出さなかったら死んでただろうし、頼りないのは確かかも?
「マスター、任務終了致しました」
「おお、ありがとな、ソフィア」
「いえ、この程度容易いことです」
自動人形状態のソフィアさんはなんと言うか、色々と素晴らしい。
女神っぽい服をイメージして作ったのだが、完成したのは、どこぞの緑色の女神様みたいな服だった。
スリットから見える太股が特にいいです。
「何故マスターが私の脚を見ているのかは考えないようにしますが、それより、その子は誰ですか?」
「へ?ああ、うん。あれ、名前知らないな」
まさか、あれが本名なんて事は無いだろう。
「そうですね、では残念なご主人様に代わって、わたくしが自己紹介しますわ」
残念…………。涙が出そうだ。
「初めまして、ではありませんね。
わたくしはリヴィエラ=ドラグニルですの。昔は少々やんちゃして『久遠』なんて呼ばれたりもしていましたわ。
御父様や親類の方々にも、小娘が生きがっているなんて言われて爪弾きにされていましたの。
ですが、一度死んでからはわたくしも改心致しましたのよ?
これからはご主人様に使えるメイドとして着いていく所存ですので、お嬢様方もよろしくお願いしますわ」
お、おお……。気になる事は幾つかあったが、一番気になったのは……
「なあ、リヴィエラ」
「リヴィと呼んで下さいませ」
「じゃあリヴィ、お前、何歳なんだ?」
「享年四百とちょっとですわね。竜の平均寿命は数千年なので、まだまだ子供ですわね」
凄いな、竜。
竜と言えば、フェリスが竜の魔力とか言ってたけど、あれはリヴィの事だったのか。
何はともあれ、一気に家族が実質二人も増えたのか。
魔物の襲撃も無事に退ける事に成功したし、大成功なんじゃないかな。
「おいこら!どういう事か説明しろ!リョーガ!!」
やっべ、バロンの事忘れてた!




