おでかけ!
大変区切りが悪いですが、諸々の都合で投稿頻度が落ちます。
週一くらいは、遅くとも……
「ピクニックに行こう!!」
「わ〜い!」
「わ、わーい?」
突発的な俺の言葉にアリスは喜びの声を、そしてユキは困惑の声を上げる。
「はい!ユキもテンション上げて!」
「わ、わーい!」
んー、若干恥ずかしそうだけど、まあいっか!
「どうしてピクニックなんですか?」
「ふふふ、それにはちゃんとした理由があるのさ!」
ユキは怪訝な目を向ける。
ちなみにアリスは既に準備を始めている。
流石アリス。
「その理由とは?」
「うむ。簡単に言うと、二人と一緒に居る時間をもっと作れたらなー、って思ってな」
可愛い二人とお出かけしたいの!
「でもお父さん。最近全くお仕事していませんよね?」
「うっ……」
そう、俺はここ最近一度も依頼を受けていない。
具体的にはランクアップ試験の後から一度も。
だって備蓄はあるんだもん!
グレイトウルフを狩ったときの金貨百枚がまだまだ余っている。
宵越しの銭は持たない、なんて主義の冒険者は多いらしいが俺はそんな事する訳にはいかない。
子育てには金がかかるのだ。
二人ともいい子すぎてあまり我が儘は言わないけど。
もっと子供らしくやりたい事とか言ってくれても良いんだけどね。
「金はあるから良いんだよ。それより、どこに行くか決めよう」
「シリアの近くに湖があるって聞いたの!」
「なるほど、湖か。いいね」
「私もいいと思います。泳ぐんですか?」
泳ぐ?泳ぐ。泳ぐのか!!
それならあれだよな、水着が必要だよな、うん。
「泳ぐのはいいけど、水着はどうするんだ?」
「ん〜、お兄ちゃん作って〜!」
「可愛いのをお願いしますね?」
「よし任せろ!!」
最高に可愛いのを作らねば(使命感)。
******
一週間後、俺達はシリアの街にいた。
今日はシリアで一泊して、明日から湖に出る予定だ。
「お兄ちゃん、あれ食べるの!」
「ほいほい、任せとけ!」
「お父さん、あの服欲しいです」
「よし、買うぞ!」
そんなこんなで俺達はシリアを満喫していたのだった。
翌朝。
「走れば昼くらいには着くかな?」
「ん〜、大丈夫!余裕なの!」
「オーケー。そういやユキは朝から何してたんだ?」
「ふふ、着いてからのお楽しみです」
「?そうか、じゃあ行こうか」
道を走る。
多分時速六十キロくらいでている。
もはや人間技ではない。
アリスは魔法で補助しているようだが、ユキは素で走っている。
むしろユキは俺より速いまである。
その甲斐あって、予定より早く着いた。
今は午前十二時に着く予定だったのだが、十時に着いてしまった。
湖、正式にはシリア湖は、森の中にある小さな湖だ。
神話とかに出てきそうな程に幻想的な湖だ。
これを見て、久々に異世界を実感してしまった。
実際、地球にあったら間違いなく自然遺産登録だろう。ユ〇スコですよ、ユネ〇コ。
「綺麗なの!」
「ここまで来たかいがありましたね」
二人も同じことを考えていたようだ。
「アリス、ユキ、プレゼントがあるんだが」
「プレゼント!?」
「なんですか!?」
うわっ、二人とも興奮しすぎだろう。
「うん、いや、ただの水着なんだけどね」
「水着!?作ってくれたの!?」
「おう、時間を縫って少しずつな」
「手作りですよね?」
「う、うん。そうだけど、もしかして嫌だった?」
「そんな訳ないじゃないですか!一生大事にします!!」
重い重い!ユキの気持ちが重い!!
いや、大切にしてくれるなら嬉しいんだけど……
「はい、これね。ヴィオラの『ドレスアッパー』に登録してあるから、着る時は使ってね」
ほんと便利だよなー、ドレスアッパー。
ヴィオラの才能の賜物だな。
「おまたせー!」
「ふふ、どうですか?」
そこには、天使がいた。
違った、天使のような子どもたちがいた。
いや、違ってないな。
アリスはピンク色でフリルの多くついた、これでもかっ!ってほどに可愛らしさを押し出したワンピースタイプ。
ユキは黒をベースに、シックさや、大人っぽさを出したパレオタイプの水着だ。
……なんかこうして子どもたちの水着を詳しく説明すると、俺が変態みたいに感じるな。
違うんだよ?純粋な気持ちなんだよ?
「二人ともとっても可愛いよ」
「ん〜!ありがとなの!」
「…………」
ユキは頬を赤く染めてうつむいてしまった。
照れているのだろう。
「じゃあ二人とも行っておいで」
「わ〜い!行こう、ユキ!」
「あっ、アリス!引っ張らないでください!」
結局、帰ってきたのは日が暮れてからでしたとさ。
******
翌朝、街に出ると、人々が騒然としていた。
「どうしたんだろう?」
「わかんな〜い」
「何かあったんでしょうか?」
「あれ、あんたら知らないのかい?」
「?何がです」
「襲撃だよ、襲撃。隣のリベラに魔物の大群が襲撃して来たんだってさ」
は?リベラに襲撃?




