ランクアップ試験!その2――試験……なのか?――
ブクマ五十人突破しました。本当にありがとうございます。
目指せ、百人!!
「おめでとうございます!Cランクパーティー『ファミリア』の皆さんはランクアップ試験が受けられるようになりました!」
ギルドに来ると、レナさんからそう言われた。
「……早くないですか?」
前回試験を受けてからまだ一ヶ月ほどしかたっていない。
しかも、一ヶ月といっても、毎日熱心に依頼を受け続けているわけでもないし……
「実は、前回の試験の際の功績で次の試験を受けることは可能だったんです。ですが、Bランクへの昇格試験に丁度いい依頼がなかったんです」
なるほど、そして依頼が見つかったと。
「どんな依頼なんですか?」
レナさんの答えは意外なものだった。
「北の森の再調査です」
******
説明は後でするからと言われ、前回の試験の時にも訪れた会議室に向かった。
「Aランクへの試験か……どんな内容なんだろうな」
「どんなのだって頑張るの!絶対全員で合格するの!!」
「ですね。がんばりましょう」
俺も負けていられないな。
保護者ぶってて自分だけ落ちるとか恥ずかし過ぎるからね。
アリス達と談笑を続けていると、
「待たせたなー!!!」
という声が、ドアが開く轟音とともに聞こえた。
「うるさいよ、バロン。ってか、なんでお前が?」
俺が尋ねると、バロンはニヤリと笑って、実は……と溜めて、
「俺はここのギルドマスターなのだっ!!」
あー、そーいやそーだたったわ。
「あれ?あんまし驚いてないな?」
「んー、知ってたからな」
「知ってたのか?教えた覚えはないが……」
あれ?なんで俺知ってるんだっけ?
『鑑定したからですよ。忘れないで下さい』
あっ、そうだったね。って、マズくない?俺が鑑定持ちってバレるんじゃ……?
『いい感じに誤魔化してください』
なんか雑だね……。
お前なんてそのくらいの扱いで良いだろって、言外に言われている気がするよ。
まあ、支持には従うんですけどね!!
「ギルドでそんな噂があるんだよ。それで知った」
「そうなのか……」
よしよし、誤魔化せたみたいだね。
「それより、試験について教えてくれ。バロンが試験官なんだろ?」
「そうだな、たしかに俺が試験官だ。ただ、今回の試験は普通とは大分違う。嬢ちゃんらも聞いとけよ?」
「「はいっ」」
「さて、今回のは試験という名目の普通の依頼だ」
「ん?どういうことだ?」
「まあまずは聞け。前回の依頼の時にお前らが渡した狂化したエルダートレントがあっただろ?あれが再調査の理由だよ」
「……一応言っておくが、依頼に関しては全力を尽くしたぞ?」
エルダートレントとか瞬殺だったけど、森の調査という依頼に関しては全力を尽くしているから嘘ではない。
「俺もそれは疑っちゃいねぇよ。
そうだな、お前は狂化状態になる要因って知っているか?」
「要因?そういや知らないな」
「だろうな。んで、その要因なんだが、一番一般的なのが死せる竜の血を浴びることだ」
「死せる竜?」
「俗に言うドラゴンゾンビってやつだな。腐竜や死竜なんて呼ばれることもある」
竜って……大丈夫なのか?
「ははっ、安心しろよ。一応俺だってSランクだぞ?中位竜までは一人でも倒せる。それに、死竜は生竜よりも弱いのが基本だ」
「いや、中位竜と言われても、俺は竜の格付け?なんて知らないし……」
「はぁ!?冒険者からしたら一般常識だぞ!?」
「そ、そうなのか……。悪いが教えてくれないか?」
「しゃあねぇな……」
バロンによると、竜といっても多くの分類があるそうだ。
最上位から、御伽噺レベルの存在の龍種、全ての竜を従える竜王、世界に四体しか存在が確認されていない竜帝ときて、その下に上位竜、中位竜、劣竜と続くそう。
劣竜がワイバーンやシーサーペントなどの竜と呼べるか微妙な存在で、大体がCランクの魔物だ。
中位竜からはかなり強くなり、中位竜はAランク、上位竜はSからSSランクだそう。
中位竜を一人で倒せるのがSランク、上位竜を一人で倒せるのがSSランクの基準になっているそうだ。
「ってあれ?SSSは?」
「ああ、ありゃ伝説みたいなもんだ。俺も冒険者をやって長いが、奴らを見たって噂は一度も聞いたことがねぇ。だから、SSランクの通称が『人類最強』なんだよ」
なるほど、どんなやつなのかは気になっていたのだが、それを知る方法はないのか。
そして、やたらとかっこいいなSSランク……
『人類最強』って……
「話を戻そう。どこまで話したっけか?
まあ、いいや。つまり、その死竜を倒すのがBランクへの昇格試験の内容ってことになる。ただし、死竜の討伐なんて元々Cランクがやる事でもないから、拒否することもできる。そういう話だ」
「断った場合は?」
「特に何も。ただ、次の昇格試験まで待ってもらう事にはなるな」
なるほど、断る分には何の問題も無いと。
どうしよう、俺は別にどっちでもいいんだが……
「お兄ちゃん、がんばろっ!」
「私たちならきっと合格できます!」
まあ、そりゃそうだよね。
もともとやる気満々だったし。
それじゃ、もちろん、
「昇格試験、もちろん受けさせて貰います」
******
「まあ、受けるだろうことはわかってたんだけどな」
なんですと!?
「嬢ちゃんたち、案外戦闘狂だからな。まあ!一番好きなのはお前みたいだがな。良かったじゃないか、両手に花だな」
バロンがニヤニヤしながら言ってくる。
前前から思っていたが、この世界の人たちのロリコン率おかしくないか?
アリスとユキが超絶美少女なのは間違いないが、恋愛相手って年ではないだろう。
実際、日本なら街を歩くだけで警察とO・H・A・N・A・S・Iしなければならなかっただろう。
いとこや姪で誤魔化すことに失敗すると、最悪豚箱にぶち込まれる事案だ。
にもかかわらず、冒険者連中は俺を見る度、やれハーレムだの、両手に花だの、挙句には昨晩はお楽しみでしたね、だの……
二人の教育に良くないんだよ!!
特に最後のやつ!確かに数日に一度くらい二人と一緒に川の字になって寝ることはあるが、その台詞はおかしいだろう!?ってか、どこでそういう情報を仕入れてくるんだよ!?
まあ、つまり何が言いたいかというと、同郷《日本人》と会った時にロリコン扱いされないといいなぁ、って事だね。




