パーティー名を考えろ!
そうそう、全く関係ないのですが、ロリババアは幼女に含まれると思いますか?
ちなみに私は含まれないと思っています。
その日、依頼を受けに行くとレナさんからこんな話をされた。
「リョーガさん、そろそろパーティー名を考えてみてはどうですか?」
「はぁ、パーティー名ですか?」
「ええ、リョーガさんとアリスちゃんとユキちゃんはパーティーですよね?
だったらパーティー登録しておいた方がいいのではないかと思いまして」
パーティー登録とは、ともに行動するパーティーをギルドカードに記録するというものである。
この街では俺達はリョーガのパーティーなんて呼ばれているが、それもパーティー名が存在しないからで、パーティー名を決めると正式にCランクパーティーになれるのだそう。
さらにパーティーを組むと自分達のランクよりランクの高い依頼を受かられたりといいことづくしなのだ。
とにかく、パーティーを組むことは問題ない。
たが、決定的な問題がある。
「それが、パーティー名なんだよ」
「…………なあ、何で俺がここにいるんだ?」
大きな疑問と少しの苛立ちを孕んだ声。
「仕方無いじゃないか、シン少年よ」
「しかたないの!」
「仕方無いですね」
三人で言いくるめる。
「うるせぇよ!自分達のパーティー名くらい自分達で考えろよ!」
「それができたらお前なんて呼んでねぇよ!」
売り言葉に買い言葉。俺も彼もアホの子状態である。
「まあ、安心しろ。シン少年。もう一人特別ゲストを呼んである」
「あ?特別ゲストだぁ?」
「おっ、来たみたいだな」
やってきたのは、エルさんだった。
「なんでだよ!?」
シン少年がうるさいが放置だ、放置。
「久しぶりですね、エルさん」
「ええ、お久しぶりですリョーガさん」
まあ、久しぶりと言っても例の合コンの時に会っているのだがあれは互いに消し去りたい記憶なので触れない。
「それで、パーティー名を考えるでしたっけ?」
「ええ、あまりいい名前が思いつかなくて」
「でしょうね。実際私達も二週間くらい悩みましたし」
「げっ!そんなにかかるのかよ……」
やはり大事なパーティー名は一朝一夕では決まらないということか。
「で、シン少年よ。君のとこのパーティー名は何なんだ?」
「俺とエリーか?『ヴラドの誓い』だよ」
「おおっ。なんかかっけぇ。どうやって決めたんだ?」
「俺達の出身がヴラド村だからだな」
シンプル過ぎるぞこいつの思考。
「だいたい、パーティー名なんて深く考える必要はねえんだよ。自分たちがどうありたいかを言葉で表すのがパーティー名なんだ」
なっ?簡単だろ――シンくんはそう続けた。
「どうありたいか、ねぇ」
じゃあ、これしかないわな。
アリスとユキを見る。二人とも頷いている。
「『家族』をテーマにした名前だな」
シンくんもエルさんも何も言わないが微笑んでいる。
「まっ、お前ならそういうと思ってたよ」
「何!?お前みたいな馬鹿に見透かされていだと!?」
「お前は俺をなんだと思っているんだ!?」
熱血系主人公でしょうよ。
「でも、これで方向性が決まりましたね!あとは具体的なパーティー名を決めるだけですよ!」
「ええ、でもさっき決めました!」
二人がこちらを向く。
「パーティー名は『ファミリア』です」
『ファミリア』
ドイツ語かなんかで家族って意味だったと思う。
俺達を、そして俺達がどうあるかを表す言葉としては最高のものだろう。
そんな感じのことを全員に伝えると、
「うんっ!もちろんそれでいいのっ!!」
「これで自他ともにお父さんの家族だと認められるんですね……!」
「おっ!リョーガにしてはいい名前を考えるじゃねぇか!」
「いいと思いますよ!あなた達らしくて」
と、まあ全員が納得してくれた。
俺自身かなりいいパーティー名を思い付いたと思っていたしね。
******
「こんな感じでパーティー名が決まったんですよ」
「『ファミリア』家族ですか……。いいですねそういうの」
翌朝早速レナさんの元へパーティー登録をしにきた。
レナさんのお墨付きももらえたところで、正式にパーティー登録をした。
「これで皆さんはCランクパーティーです。パーティー間での諍いにギルドは関与しませんので、ご注意ください。まあ、皆さんに限って揉め事なんかはないと思いますけどね」
そう言ってレナさんは話を終えた。
そして、これが後の世界最強のパーティー『ファミリア』の始まりである。




