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指名依頼!――終結――

魔法幼女の真の力ってやつですね

大前提として、エルダートレントには移動性がない。

これが俺達にとって最大の優位性だろう。


そして、手数という点で見ると無数の枝を鞭として使用するエルダートレントには圧倒的に劣っている。

そこをどうカバーするかが腕の見せどころである。




……とはいえ、こいつを倒すことはそこまで難しくはない。


Sランクを超えてすらいる可能性のある魔物ではあるが、俺達には及ばない。


一人で戦ったとしても皆勝てるだろう。



しかし、こいつは練習台にちょうどいい。


最近効果がよくわからないスキルも手に入れていることだし、エルダートレントさんで試そうという算段だ。


「ユキ!空間機動を使ってみて!」

「はいっ!」


ユキが空中へと駆け上がった。


襲い来る枝をときに空を踏んで避け、ときに断ち切ってと次々に対処していく。


「エグすぎー」

「ユキかっこいいの!」


かっこいいどころじゃないんだよなぁ。


巨人を倒す人たちでもできないような動きでエルダートレントを翻弄する様子は正しく剣の鬼だ。刀だが。


縦横無尽に空を走り回りエルダートレントの枝をほとんど切り落としたところでユキが降りてきた。


「……折角ですがこのスキルはあまり使えませんね」

「えっ!?なんで!?」


見事に使いこなしていたし、性能はかなり良かったように感じたが……


「これを使うとお父さんから貰った服が傷ついてしまいますから」


確かにユキの言う通り和服が少々破れてしまっている。


とはいえ、


「そんなに気にする必要は無いよ。その服はすぐ直るだろうからね」


俺達の服は全て、『自動修復』のスキルが付与されている。よっぽどボロボロにならない限りは暫らくすると直るのだ。


「それでも、です!この服は私にとっては宝物ですから!」

「そっか、大切にしてくれ嬉しいよ。でも、『空間機動』を使わなきゃいけない時はちゃんと使ってね?服よりユキの方が大切なんだから」

「うっ……はいっ!」


元気に返事をしたユキの頬は心なしか赤みを帯びていた気がする。





「アリスは『解放』ってスキルを使ってみて」

「うんっ!」


『解放』

これもまたよくわからないスキルである。



「よしっ!『解放【忍耐ガブリエル】』」


アリスの周りの空気が変わった。


絶対零度に到達するのではないかというほど温度が下がっている。


その余波でこちらまで寒くなってくる。


「いくよ〜!【コキュートス】」


アリスの魔法が発動すると同時にエルダートレントが凍った。


Sランククラスの魔物が無詠唱の魔法一発で即死したのだ。


「想像以上だな……」


少なくとも、解放したアリスに水系統の魔法で、俺は太刀打ちできないだろう。


それほどに強力な一撃だった。


「やった!倒したの!!」

「流石アリスだね」


なでなで


「もっと!もっと〜!」


なでなでなでなで


「お父さん……」


アリスをずっと撫でているとユキに白い目で見られた気がしたので中断する。


「じゃあ、こいつを回収して、さっさと帰ろうか」


そう言って、俺はエルダートレントをアイテムボックスにしまう。



そして、森を抜けるべく歩き出す。







…………あれ?なにか忘れてるような……







******


ギルドにやってきた。


「レナさん、調査終わりましたよ」

「そうですか!何かわかったことは?」

「とりあえずエルダートレントぶっ倒して来ました!」

『はぁ!?』


レナさんだけでなくギルドにいたすべての冒険者が驚愕の声を上げる。


「って、なにか証拠はありますか?疑ってるわけじゃないんですけど……」

「ありますよ、死体を持ってきています」

「それでは、解体場で出して貰えますか」



ギルドの裏口から出ると、倉庫のような建物がある。そこは魔物の解体場になっており、巨大な魔物はそこで解体するということになっている。


「ということで、これですね」


エルダートレントの死体を見たレナさんはまたも驚愕し固まっている。


「……レナさん?」

「はっ!?し、失礼しました!ちなみにこれはどのように倒されたのですか?中心まで凍っているのですが……」

「ああ、それは――」

「アリスがやったの!」

「ということです」

「…………」


再度固まるレナさん。





レナさんが復活するのを待って、再度話が進められた。


なんでも、あのエルダートレントは『狂化』という状態になっており、単体でSランクに匹敵するらしい。


まあ、これは予想できていたのだが。


そして、あの森にはエルダートレントを『狂化』状態にした存在がいるはずで、そいつが全ての元凶と推測できるとのこと。


元凶を発見することは叶わなかったとはいえ、俺達の発見は十二分に報酬に匹敵するので、そのまま報酬を戴いてギルドから出た。




宿への道すがら俺は『解放』の強さを思い出し呆れ返っていた。


そんな感じで、初めての指名依頼は幕を閉じた。




******



「あっ!!白茸採ってない!!」


どうやら、北の森には近いうちに行くことになりそうだ。


















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