指名依頼!――ゾンビゲーはシューティングが基本―
ついに初投稿から一ヶ月……
長かったような、短かったような、長かったような、みじ(ry
体が半分腐ったオークを目にし、俺達は、
「んにゃ〜〜!!??」
「いやーーーっっ!!」
「きめぇぇぇーー!!」
と、三者三様?のリアクション。
仕方ないじゃん、何か腹のところから小腸みたいなものが垂れ下がってんだよ?俺みたいなクールな男だって多少は焦るよ。
普段魔物の解体をする時はそんな事思わないのに、不思議だね。
俺が叫んでいる間に、進展があったらしい。
アリスがオークに対して雷撃を放ったのだ。
そこそこ全力で放たれた雷撃が命中し、オークは消し炭になってしまった。
「ってあれ?俺は何であんなに怯えてたんだ?」
「そういえば……グロテスクではあるものの、そこまで怯えるものではありませんよね…」
『それは、あの魔物が『狂気』のスキルを使用していたからです』
『狂気』?それは一体……
『対峙したものに本能的な嫌悪感を与えるスキルです。マスター達、特にアリスさんは簡単にレジストしていましたが、本来はかなり凶悪なスキルです』
ふむ、そんなスキルを持った魔物がいたのは偶然なのか、それとも……
******
森の探索を初めてはや二時間。
俺達は、囲まれていた。
「多くないっ!?」
「うちまくるの〜♪」
「えいっ!!」
敵は腐った魔物の群れだ。
オーク、ゴブリン、ウルフ、さらには上位種族のトレントまでいる。奴らは約三百の軍勢で俺達を囲っている。
それに対して、最初はおのおの魔法やら剣やらで対処していたのだが、途中から面倒くさくなり、今では三人とも魔法銃を両手に持ち魔力弾で魔物を倒している。
まるでゾンビゲームだ。バイ〇ザだ。
いくら多勢に無勢とはいえ、雑魚がいくら集まっても俺達に勝てるはずもなく、二十分程度で群れは殲滅できた。
「どう考えても異常発生と関係あるよね、これ」
「あっ!」
「ん?どうしたアリス?」
「あのね、あっちの方になにかいっぱいいるの!」
「むぅ、これの元凶か?」
「ん〜ん、木のおばけなの!」
木のおばけ……トレントか?
「もしかして、それは腐ってなかったりする?」
「うん!アリスだってエルフだもん!そのくらいわかるの!」
エルフとしての感覚なのか?
もともとエルフは森の守り手なんて言われるくらいだし……もっとも厳密にはアリスは既にエルフじゃないんだけどね。
「それじゃ、そっちに行くか!」
『トレント』
北の森でも上位種族に位置する、悪意を持った植物の魔物だ。
高さおよそ2メートルとあまり高くはないが、枝を利用した攻撃や、稀に風の魔法を使用するCランクの魔物だ。
つまり、
「こいつも本来俺達が相手するべき魔物じゃないんだよなぁ……」
いくら俺の目の前で丸太になっていたとしても、これはCランクの魔物なのだ。
さて、どうしてこうなったかというと、
『丸太』、かの彼〇島でも多用されていた万能系アイテムである。
って、違う、そうじゃない。
気を取り直して。
あっ、回想シーン入ります――
「ん!あれ!木のおばけなの!」
「何!?あれは――めっちゃ質のいい木材じゃないか!!」
――異常、回想終了!
この結果があれである!
「でも、こいつらは原因じゃなかったな」
「ん……残念なの」
「それではさらに奥に向かいましょうか?」
「そうだな。ほれ、アリスも元気出せ!」
「うんっ!」
子どもは元気が一番だよね。
******
北の森最深部。
そこには一体のトレント、いや、トレントだった者がいた。
彼は多くの人を殺した。
彼に立ち向かうもの、彼を討伐しようとするもの。
そして、数年前彼を仕留めんと襲ってきた、Aランク冒険者を倒す事で、彼は『進化』した。
ただ人を殺すだけの存在から、森を支配する支配者たる個体へと。
そう、トレントはエルダートレントに進化したのだ。
進化した彼は考えた。どうすればこの人間が蔓延る世界で生き抜けるのかを。
そして、ついに思い至った。
自分より、更に上位の存在の力を借りることに。
北の森最深部、捨てられた祭壇。
そこに封印されている死せる竜の帝王を蘇らせ、その力を借りる事を決めた。
だが、それが間違いだった。
死せる竜の帝王が、エルダートレント如きに力を貸すなど有り得るはずがなかったのだ。
しかし彼は気付かなかった。その事実に、
それゆえに…………




