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病弱だった少年の幼女と暮らす異世界生活  作者: 資本主義の豚
序章 異世界転移、からの・・・
3/61

現状確認!

「知らない天井だ……。いや、なにこれ。」


目が覚めると完全に独房としか言いようのないところに俺はいた。


「ようやく目覚めたか」


耳障りな声で吐き捨てるような言葉が聞こえた。


いや、なにこれ?どうなってんの?


「はっ、わかってねぇのかよ。お前は売られたんだよ、あの兄弟にな」


アレンさんとガレンさんに売られた?


「あいつらは裏の業界ではちょっとばかし有名な盗賊でな。そんなことより自分の心配をするんだな。お前の首に隷属の首輪がついているだろう。ステータスを確認してみな、隷属状態になっるからな。

まあ、お前にはすでに買い手がいるから処分にはならねぇのが不幸中の幸いだな」


――良かったな――男は嘲笑うようにそう言った。


確かにここは平和な日本じゃない。警戒心の薄さがまずかったという事か……


やばいな、奴隷がどんな扱いをされるかは分からないが、ロクな扱いで無いのは明らかだ。


どうにか脱出できれば良いのだが……


「っと、悲嘆に暮れる暇もないか。とりあえずステータスの確認をして、その後は脱出方法でも考えるか。『ステータス』っと。」



_______


名前:リョウガ・タナカ 17歳 人族

職業:なし  状態:正常


レベル:1 HP100 MP100


      力15   防御10

      敏捷10  魔力10


スキル 通常:なし

    ユニーク:言語理解 アイテムボックス 魔法適正

    EXユニーク:健康体


加護:女神の加護


装備:隷属の首輪

_______


…………あれれ、おっかしいぞー?


いかん、思わず名探偵っぽい言葉を発してしまった。


ステータスには装備として隷属の首輪がある。しかし、隷属の状態になっていない、ということは恐らく『健康体』か、『女神の加護』の効果で隷属になっていないのだろう。でもあいつはそれを知らないみたいだ。


これは使えるんじゃないか?ただ、鑑定みたいなのがあると厄介だな。そればっかりは祈るしかないだろう。



それより、いい加減スキルの詳細な効果が知りたい。正直、『女神の加護』なんて仕事してる気がしない。


「どうすりゃわかるんだろうね」


こう、なんか知りたいなって思えばいいのかな?

まあそんなに単純なわけが……


『言語理解』・・・異世界の言語を理解し、使用可能にする


『アイテムボックス』・・・アイテムを収納することが出来る、ただし生物は収納不可。また、アイテムボックス内では時間が停止する


『魔法適性』・・・すべての魔法に適性を持つ


『健康体』・・・自分の体にかかる負担を完全無効化する。また、状態異常にならず、病気にもかからなくなる


『女神の加護』・・・何かいいこと起こるかも※現在無効化中


あっ……



さて、どこからツッコむべきか……

てかやっぱり女神は仕事してなかったんだな。

あいつはいつか殴ろう。


そして隷属になっていないのは恐らく『健康体』に『体の負担になる』と判断されたからなのだろう。


取り敢えず脱出自体は可能そうだな。


ただ、脱出した所で見つかって再度捕まるのは最悪のパターンだ。タイミングを図ることが大切だろう。




******


そんなこんなで時間をつぶしていると、あいつがやってきた。


「来いや」


腹立つが逆らうわけにもいかないので、今は従っておく。





連れてこられたのは小綺麗な広間だった。


そして俺以外にも何人も奴隷達が横に並べられ、部屋の中央にあるテーブルでは、二人の男が話している。


「では、三十人で金貨二十枚ということでよろしいですね」

「ああ、構わない。今後もよろしく頼むよ」

「ええ、もちろんです。またの御来店をお待ちしております」


男はさっきまでとは打って変わって殊勝な態度で頭を下げる。


正しく小悪党って感じだな。



俺は、というか俺達はこれから奴隷としてもう一人の男のところに行くのだろう。

その前にこれから同僚となる俺以外の奴隷を見ておこう。


まず、俺の右隣にいるのはトラみたいな耳のある見た目三十歳くらいのおっさんだ。おそらくは獣人ってやつなんだろう。夢が広がるね!


まあ、うまく逃げないとそれどころじゃないけどね!!


次に、左隣にいるのは、耳のとがった、おそらく年齢は二桁いってないであろう幼女だ。


こっちはおそらくエルフなのだろう。相当な美幼女だ。

……ただ、完全に目が死んでいる。まさしく、死んだ魚のような目をしている。


ほかにも、まだまだ同僚(奴隷)はたくさんいる(話の流れからして全員で三十人だろう)のだが、露骨にきょろきょろするわけにもいかないので、あまり見ないようにしておく。





******


買われた俺たちは、馬車に乗せられて、森の中を突き進んでいる。

正直馬車の中のお通夜みたいな空気で居心地が悪い。


まあ、奴隷として買われたんだから当たり前か。


そんなことを考えていると、森の中にある屋敷のようなところにたどり着いた。


そして、悟った。悟ってしまった。



外装は普通の屋敷、しかしその実態は決して普通ではない。


誰だろうが、この屋敷を一目見たらきっと理解するだろう。


なんだかんだ、俺は奴隷というものを楽観視していた。

最低限の人権は確保されているものだと。


その甘さがダメだったと理解した筈なのに。全く、自分が嫌になってくる。



そう、俺たちがここですることは、








『人体実験』なのだろう。






俺はここから生きて出ることができるのだろうか……






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