ランクアップ試験!――終了――
結局、俺達は(自称)そこそこ強いEランクってことで納得してもらった。
おそらく誰一人納得してないのだろうが……
あと、大量のグレイトウルフの素材をゲルドさんが買取りたいとの事だったのですべて売ることにした。
ただし、ボスの金色の狼については使い道を思い付いたので取っておくことにした。
そうそう、件のボスだが、『プリズムウルフ』というグレイトウルフの亜種個体である事がわかった。
こいつは百年に一度現れるかどうかの魔物らしく、魔物の活性化とも関係が有るように思われる。とは、ゲルドさんの談。
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数日後、俺達は無事にシリアの街に到着した。
シリアもそこそこ大きな街なのだが、リベラに比べたらしょぼく見えてしまう。
改めてリベラってSUGEEEEEEEEE!!って思いました。
「皆さん、ここまで有難うございました。途中でいろいろありましたが、何とか切り抜けることが出来ました」
ゲルドさんも嬉しそうにしている。
「いや、俺達は当然の事をしただけだ。それに、イレギュラーがあったといえども、リョーガ達が居なければ確実に全滅していた。例ならこいつらに言ってくれ」
あらら、俺達を立てて下さるの?
でも、褒められて悪い気はしないよね。
「ええ、リョーガさんとはいい商談もできましたしね」
グレイトウルフはなんと一体のにつき金貨二枚、日本円にして二十万円で買取ってもらえた。
しかも、これが五十体もあるので合計で金貨百枚、まさかの一千万円でのお買い上げである。
日本の小市民だった身からするとこんな大金持ってて犯罪に巻き込まれないかが不安だ。
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「おい、ちょっとツラ貸せよ!」
一昔前のチンピラに成り下がってしまったらシンくんから謎のお誘いが入った。
「どうした?なんか用?」
なるべく犯人に刺激を与えないように行動するんだ!!
って、別に彼は犯罪者じゃないけど……
「決闘だ!決闘しろ!!」
「は?」
「それでは、ルールを説明いたします。
禁則事項は、殺傷のみです。勝利条件は相手の降参および気絶です。
それでは、正々堂々戦い抜いてください」
どうしてこうなった……
何が楽しくてこいつと決闘せにゃならんのだ……
不本意とはいえ受けちまったものは仕方がない(押しが強すぎるんだよ……)、全力……は出さずに勝っていきましょうか。
シンくんの武器は木剣、それに対し俺はいつも通り素手である。
戦闘は一瞬で終わった。面倒だからね。
シン君の上段切りを、剣の腹を叩く事で払い、首筋に手刀を当てる。
これで俺の勝ちだ。
先程まで荒れ狂っていた彼とは別人だったかのように、シンくんは落ち着いていた。
「済まなかった」
彼はおもむろに口を開いた。
「焦っていたんだと思う……若手の有望株だと言われ調子に乗り、できないことはないと自惚れていた。ありがとう、お前のおかげで目が覚めたよ」
………………な、なんか感謝されとる〜〜。
しかも、茶化せる空気とちゃうよ!どないしましょか!?
「いや、俺は気にしてないよ。お互いまだまだ若いし、のんびりやっていこうよ」
ちょっとジジ臭い台詞だが偽らざる本心だ。
俺は年取らないけどね。
「…………そうだな!焦ったっていいことないもんな!」
結局、シンくんとはいい友達になれたのだった。
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「いや、意味わかりませんから……」
リベラの街に帰ってきて、試験の結果をレナさんに報告ているのだが、イマイチ分かってくれない。
信じられないってよりは、信じたく無い。そんな思いが感じられる一言だった。
「俺だってわからねぇけどよ。見ちまったもんはしょうがねぇんだよ」
「それにしても!グレイトウルフの群れにプリズムウルフだなんて有り得ませんよ!」
ジョンさんとレナさんの口論は激化していく。
耳を澄ますと……
「うるせぇよ!この絶壁!!」
「なんですって!?」
俺は何も聞いてない。いいね?
一時間後、ようやく話が纏まった。
結局、俺達三人はDをすっ飛ばしてCランクになることが決まったらしい。
流石に試験が必要なBランクには、飛び級は不可能なのだとか。
俺達は、宿への道を歩いていた。
「サクっと終わると思ってたのに、蓋を開けるると面白いこともあったなー」
「おでかけ、たのしかったの!!」
「また、どこかに連れて行ってくださいね?」
二人もご満悦。試験でこんなに楽しめるとは、まさしく一石二鳥だな。




