ランクアップ試験!――無双のお時間です――
多分通貨についていろいろ変えると思います。
混乱させてしまったらごめんなさいm(_ _)m
「フフフ…フハハ……フハハハハハ!」
正しく笑いの三段活用を使用しながらグレイトウルフに向かって腕を突き出す。
千刃ナイフの全ての刃が一体のグレイトウルフに刺さる。
うーん、これは威力が低過ぎて集団戦では使い物になんないなー……
『ではこれは要改良という事で、アレを使ってみてはどうでしょうか?』
なるほど、アレならこの状況に合っているな。
俺はアイテムボックスに『千刃ナイフ』を仕舞い、新たに一本の武器を取り出した。
『金剛杵ヴァジュラ』、帝釈天インドラが大悪魔ヴリトラを討伐する為に作った神器だ。
棒の両端に四本ずつ刃が着いた棍棒のような形状をした神器である。
「さて、これなら行けるでしょう!」
俺は、接近していたグレイトウルフの横っ腹に向かって金剛杵で殴りつけた。
すると、「キャウン!」と犬のような声を漏らしながらグレイトウルフは絶命した。
「流石は帝釈天様の神器だな……
雷の性能が異常すぎるでしょうよ……」
そのまま、金剛杵で何も無い空中を薙ぐ。
すると、ビームサーベルのように杵から雷が出て、十体程のグレイトウルフを感電死させていく。
「ウォォォーーーン!!」
最奥にいたボスが吠えた。
自らの出る幕だと悟ったのだろう。
「それならっ!アリス、ユキ、雑魚は任せた!俺はボスを叩く!」
「ん〜!」「わかりましたっ!」
これで残りのグレイトウルフは大丈夫だろう。
そのボスは他のグレイトウルフ達とほとんど同じ大きさだ。
決定的に違うのは体色だ。綺麗な黄金色である。
「ほうほう、なかなかに強そうじゃないか」
「……グルルゥ!!」
低く唸ると、ボスはこちらに突進してくる。
(速っっ!!)
多分時速百を超えてる。かなり怖い。
「まぁ、何とかするけどねっ!!」
俺は素早くボスの横に回り込み、横から金剛杵でぶっ叩く。
違和感。
確かに雷を流したはずなのに、それがボスの体から流れ出たように感じる。
すると、やはりボスは大したダメージを受けていないようで軽く距離を取ってから最接近してきた。
「くっっ!」
今度は横に飛んでしっかりかわす。
時速百キロオーバーとはいえ、別にかわせない事は無い。
かなりしんどいのであまりやりたくないが……
『マスター、どうやらあの魔物は電気を受け流す性質を持っているようです』
なるほど……あの金色は電気を表しているって事なのか。
でも、
ソフィアさん、アレ使えばいける?
『問題ありません。確実にあの犬を仕留めることが出来るでしょう』
そう、もちろん金剛杵でぶっ叩くだけが俺の戦い方ではないのだ。
元々、俺が一番に欲し、手に入れた力は『健康体』である。
しかも、魔改造されて『体に対する負担を無効化する』なんていう一文が追加されてたりする。
この能力を上手く使えないかとソフィアさんと共に検証したところ、『体に対する負担』の正体について多少理解する事ができた。
『健康体』は、想像以上のチート能力だった。
ポケ〇ンで例えると、突進の反動が無くなり、破壊光線で一ターン行動不能にならなくなるのだ。
バランス崩壊甚だしい。こんなの居たら誰でも悪用するというものだ。
話がそれてしまったが、俺が言いたいのは『健康体』の素晴らしさと、その応用性である。
そして、金剛杵について俺が考えついたのは、自身が感電死するレベルの電流を流す事である。
最初から持ち手に電流を流さない様には作っているのだが、多少は持ち手にも流れてしまうものである。
その僅かな電流だけで持ち主が死んでしまうような電流なら、かなり強い電流になるだろう。そんな子供みたいな考えだったのだが、『なるほど、それはいい考えですね』と、ソフィアさんがやけに感心していたのが記憶に新しい。
「さぁ、かかって来いよ!」
俺は鷹揚にボスに告げる。
それに気分を害したのか、ボスはこちらに向かって雷のブレスの様なものを放つ。
「って、そんなのもあるのかよ!!」
よろめきながら何とかかわす。
『別に金剛杵で受け止めることも出来ましたよ?』
先に言って欲しかった。
「来ないならこっちから行かせてもらうよ!」
俺がボスに向かって金剛杵で殴りつけようとすると、ボスはかわさずに逆に牙で俺の首を狙ってくる。
だが、
「予想通りだよっ!」
ボスの牙が俺にたどり着くよりも速く、金剛杵がボスに触れる。
ボスは問題ないと思っていたのだろうが、流れる雷は先ほどの比ではなく、ボスは体を痙攣させ動かなくなった。
「ふぅ〜。なかなか強敵だったな」
後はアリスとユキだが……
「終わったの〜」「終わりましたよ」
よし!何とか二人より速く終わらせられたな!
「じゃあ、グレイトウルフは回収するか!」
「おっけ〜!」「わかりました」
Bランクの魔物なら結構な金になると思い、アイテムボックスに仕舞おうとすると、
「おいおい、待ってくれよ!
何なんだよお前達は!あの群れを三人で倒すのか!?」
先程まで呆然と虚空を眺めていたジョンさんが何とか意識を取り戻したようだ。
「いやー、何かと言われましても……Eランク冒険者?」
自分で言うのも怪しいものである。
「なわけあるか!!」
デ、デスヨネー。
この後エルさん達にもめちゃくちゃ質問された。




