アーミーラビット!
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「うへぇ……さすがに疲れたわ……」
気が付けば朝になっていた。一晩中、放魔石を使った神器の作成をしていた。夕方まではアリスと一緒にしていたが、アリスが寝た後もついつい作り続けてしまった。
「うみゅー……お兄ちゃん、ねむってないのー?」
「ああ、ついやっちゃた」
「ねないのは体に良くないの。今からでもねむるべきなの」
むむむ、一理ある…。それに、アリスを心配させるなんて言語道断である。
いや、アリスに心配されるってシチュエーションは嬉しいけどね。
「そうだな、じゃあ昼くらいまで寝るか!」
「じゃあ、アリスもいっしょにねるの!」
アリスと一緒に寝るのもずいぶんと久しぶりだな。
******
目が覚めると太陽は真上を少し過ぎたところだった。
「おはよー、って時間でも無いな」
「元気になった?」
「うん、バッチリだよ」
それにしても、微妙な時間だな。これからどうしようかな?
よし、ギルドに行こう!ランクも上げたいしね。
「アリスー、お昼ご飯食べたらギルドに行こっか」
「うん!」
よしよし、では行きましょうか。
「うーん……Eランクってなかなかピンとくる依頼がないよなーって、なんじゃこりゃ?」
そこに書かれていた依頼は、
『アーミーラビットの討伐 推奨ランクE 』
アーミーラビット……?
兎か?でも、アーミー(軍隊)って書いてるし……
やべぇな。だんだん気になってきた。
「アリス。これどう?」
「いいよー!」
二つ返事である。依頼を確かめたかすら疑わしい。
まあそれ程に俺を信頼して居るのだろう。
この依頼の達成条件はアーミーラビット二十体の討伐。多くないか?とも思ったが、レナさんに聞くと、「そもそも、アーミーラビット一体一体はゴブリンよりも弱いんですよ」って言われた。
自分が弱いから群れる。イワシのようなものだろうか?
アーミーラビットの討伐に来た俺達は草原を歩き回り、ついにそれと思わしきものを見つけた。
探し始めて少しした頃に、レナさんからアーミーラビットの特徴を聞いていなかったと思ったのだが、実際は聞く必要などなかった。
と言うより、レナさんはこれを知っていたっぽい。
アーミーラビット(と思わしきもの)を見つけた時には衝撃が走った。
かの兎は、全身がまるで迷彩服を着ているかのような色合いで、行進していた。
「ほんとになんだこれ……」
「かわいいの〜」
ふぁ!?かわいいか?これ!
イヤでもちょっと待てよ……一応色以外は普通のうさぎだ。確かにコレはかわいい――
約五十体ほどのアーミーラビットの群れを率いていたのは、一際大きなうさぎだった。
体長は約1メートル。右耳はなく、左目には切傷。その体は筋肉に覆われ、その鳴き声は「グァァァ!!!!」
って、お前はダメだ。絶対に兎ではない。どっからどう見てもヤクザのオッサンだ。
「グルァァ!!」
「「「キュイーーー!!!」」」
ボス兎が声を上げると、兎達は一斉に動き出した。
「ほんとに軍隊だな」
呟きながら、アイテムボックスから剣を取り出す。
『硬剣デュランダル』。アダマンタイトで作った、とにかく硬く、そして鋭い剣だ。
――ズパンッッ!!
およそ剣とは思えない音を鳴らして兎を切る。
隣を見ると、アリスも順調に兎を倒し続けていた。
「グガァァァ!!!」
ついにボスのお出ましか!
ボス兎はかなりのスピードで突進してきた。
「おいおい、こいつほんとにEランクかよ!」
動きをよく見て。
一閃!!
――ズドンッッ!!
「やっぱ、デュランダルは剣じゃねぇよ……」
「んー?おわったのー?」
アリスがトコトコと歩いてきた。
「おう、終わったよ。後は回収して帰るだけだね」
「ん、あれは人か?」
大量の兎をアイテムボックスに放り込んでいると、兎のいた場所の近くに人が倒れていた。
「おい!大丈夫か!?」
倒れていたのは、額から小さな角の二本生えた女の子だった。
年齢は、アリスよりは少し上だろう。十歳くらいに見える。
その子はやせ細り、全身傷だらけだった。
「アリス!!」
「んっ!わかったの!」
アリスは答えると、すぐに回復魔法を使った。
女の子は光に包まれ、傷が治っていった。
「放って置くわけにも行かないから、取り敢えず起きるまではここにいるか。野営の道具って持ってたっけ?」
「大丈夫!ちゃんとあるの!」
「じゃあ大丈夫かな」
結局その日は、彼女は目覚めなかった。
悪夢でも見ていたのか、「うぅ……お父さん、やだよ……」と魘されていたので、頭を撫でてやると一応それ以降は、魘される事は無くなったようだ。
「んっ、…あれ、ここは?私、生きてるの?」
「ふぁ〜〜あ。おっ目が覚めたか!」
いかん。いつの間にか寝ちゃってたみたいだ。
「おっ、おはようございますっ!あなたが助けてくれたんですかっ!?」
「んー?まぁそうかな?ちょっと待ってね、妹起こさなきゃ行けないから。」
「アリスー、朝だよー。起きてー」
「ん、今日は起きてるの!」
なぬ!?アリスが起きてるだと!?
「あの子が心配だったの」
なるほど、そういう事か。
「大丈夫。ちゃんと目が覚めたみたいだよ」
「じゃあ、アリスも会いに行く!!」
「もちろん」
「お待たせ」
「大丈夫です!」
「それなら良かった。俺はリョーガ。この子は妹のアリス。君は?」
「私は……私の名前は無いんです……」




