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序章

 ――いかなる組織でも、ほころびは些末な場所から訪れる。

       国家においても、それは同じだ。

                   『民主論』作者不詳










   序章



 小ぶりの斧が陽光を受けてきらめいた。

 振り下ろされた切っ先が、太い麻紐を切る。ひもはしゅるりと宙を舞い、先頭に結わえられた大きな板のような刃を落とす。


 大地に吸い寄せられるように、分厚い刃が、下で待つ男の首へとむかう。


 肉がちぎれる音がして、噴き出した血が彼女の衣服に染み付いていく。


 同時に、ぽーんと、その首が宙を舞った。

 長く尾を引く朽葉色の髪。



 ――あの人が死んだ。



 次はわたしだろうと、彼女は粛然とした面持ちで、目を伏せた。

 差し出された麻袋を被せられようとした、そのとき。


 色とりどりの髪色が集まる群衆の中に、あの赤がね色を見つけた。

 彼は必死にこちらへ駆けよろうと、人混みを裂いている。その、優しい碧眼と目が合った。


 瞬間、これまでのことが彼女の脳裏を駆け巡った――

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