序章 暗雨-Black rainy- 〜Prologue〜
Night of Blood第一章は、主に二つのカテゴリーから構成されています。
1.Daytime ver.
キャラクター達の日常生活、
ギャグテイスト風味の、少し軽めな話です。(日中の話)
2.Midnight ver.
キャラクター達の非日常、ファンタジーの部分が集約されています。
シリアス風味で少し重く、ところにより残酷な表現があるかもしれません。(夜間の話)
その日は、暗い雨の日だった。
忘れたくても、記憶から離れることはない、
人の涙を代行したかのような、暗く悲しく、冷たい雨の日だった。
みな、泣いていた。
どこを見ても、そこには泣きじゃくる人の壁。
ただその中心にいながら、私だけがただ静かに、暗い空を見つめていた。
真冬に降る雨、それは冷たく寂しく、私を世界の中で
「孤独」にしてくれた。
寂しくはない。
怖くはない。
降りしきる雨すらも、冷たいと感じることはない。
もはや、この身にあたたかい温もりなど不要だと、そう感じていた。
私はその日に、他の誰でもない自分自身を殺した。
この世界に生きるのは、私によって作られた偽りの私。
舞台を演じる俳優のように、私という役を演じるだけの私。
私は、弱かった私を、
絶対に、許さない。
雨があがれば、そこにいるのは偽りの私。
私の命は、たった一つの約束のために…
ただそのために、この世界で、
偽りの私が演じる、偽りの日常を歩み続ける。
―世界は偽善で出来ている、
偽られた感情が真実なら、
何を信じて生きられるのか―
その問いに、答えてくれるべき人は、
…私の前で今、永遠の眠りについた。